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2013年11月19日 (火)

ブラームス 交響曲第3番 バルビローリ、ザンデルリンク

Azumayama_3

先週末の晴れ渡った吾妻山山頂。

このモミジは、春紅葉なので、春から夏が一番赤くて、いまは寂しく、焦げたような色合いになり果ててました。

それでも澄んだ初冬の青空には、とても美しく映えて見えるのでした。

朝早くに登ると、地元の方だけ、少ししか遭遇しないので、この空と海の絶景をひとり占めにできます。

11月の神奈川フィルの定期演奏会は、ふたつの第3番。

ブラームスの交響曲とラフマニノフのピアノ協奏曲。

ともに、秋から初冬にかけての悲しみ本線、哀愁号みたいな、泣き節の音楽です。

なんてすてきなんざましょう。

  ブラームス   交響曲第3番 ヘ長調

  ラフマニノフ  ピアノ協奏曲第3番 ニ短調

       ピアノ:清水 和音

  垣内 悠希 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

          2013年11月22日 金曜日 19:00 みなとみらいホール


ピアノソロが、若い田村響さんが、健康上の理由から降りることとなり、清水和音さんに。
わたくしと同年代、大学生の頃、清水さんの人気、特に、キャピキャピ系の女子大生からの人気ぶりはすごくて、まぶしすぎた。
そんな和音さんの、円熟のラフマニノフが楽しみだ!!

今宵は、まずブラームスの方を。

ブザンソン優勝の若い垣内クンが、どんなブラームスを聴かせてくれるか、まったくの未知数です。

でも、間違いなく、そうならないであろう演奏の音源を今日はあえて聴いて、当日のサプライズを期待したいと思いました。
おまけに、往年のウィーンとドレスデンの響きを堪能しちゃうわけですよ、お客さん。

Brahms_sym3_barbirolli

  サー・ジョン・バルビローリ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

                         (1967.12 @ウィーン)


セラフィムの廉価盤になったとき、一挙に買いそろえて聴いたバルビローリのブラームス。
大学の頃ですから、もう37年も前のレコードです。
今でもきれいに保存してありますよ。
アバドの4つオケを振り分けた最初の全集のレコードとともに、実家の棚に永久保存クラスの存在です。

このある意味バルビらしい、粘着質のブラームスは、不思議とウィーンフィルの濃厚サウンドとマッチして、どこまで愛らしく、切なく、哀しく、ふるいつくような優しさにあふれてます。
一方で、フォルテの輝きや雄々しさは薄目で、ウィーンフィルの丸っこい音色が魅力的。

ウィーンフィルは、カラヤン、このあと、ケルテス、ベーム、バーンスタイン、ジュリーニ、レヴァインとこの曲を録音していますが、ウィーン訛り丸出しなのが、このバルビ盤が随一だし、バルビローリという刹那的で歌い回しに執着したケレン味たっぷりの指揮者の個性をたっぷり引き出したのもこのオーケストラならではというところ。

わたくしは、この3番の交響曲、歳と共に第2楽章が一番好きになりました。
秋空のような寂しさと、中間色系のウォームな響きがいかにもヨーロッパの自然と空気を感じさせてくれます。
この楽章の一番素敵な演奏が、またこのバルビ盤です。
ブラームスの英雄交響曲なんて、思ってもみたくないワタクシには、こんないじらしい歌心に満ちた演奏がいいのです。

ついで、この楽章が、渋さとともに、シャープな男気さえも感じさせるのがザンデルリンク盤。

Brahms_sanderling

  クルト・ザンデルリンク指揮 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団

                       (1972.3 @ドレスデン)


ちょっとゴツゴツした感じもするブラームスだけど、東西分離時代、古き良き、古式ゆかしいドイツの音色を一番受け継いで保っていたドレスデンの魅力が100パーセント味わえる名録音。

この録音の頃に、ザンデルリンクとクルツに率いられ来日した初ドレスデン。
テレビやFMで何度も聴きました。
ザンデルリンクの指揮で、ベートーヴェンの8番とブラームスの1番。
中学生ながらに、その音色の渋さはよくわかりました。
なんたって、ブラームスはカラヤンやアバドばっかりでしたからね。

中間トーンの、木製の手作り感と、頑固親父みたいな一徹さ。
この指揮者とオケにしてしか味わえない渋いブラームス。
同時期に指揮者であった、スウィトナーが振ると、もっと甘さが出て、ほのぼの感が増すのですが、ザンデルリンクの容赦のない厳しさは、頑迷だけど、ちょっぴり微笑むブラームスの味わいがあるのです。

そしてキモの2楽章は、ほんとーに、渋くてハードボイルドだけど、ドレスデンの優しい音色は言葉にできません。

同時期のアバドの演奏も好きだけど、オケとの兼ね合いは、なんといってもこちらの方がずっと上。
ドレスデンのブラームス。
ザンデルリンク以降、あんまりよくない。
ハイティンクは1番しかないし。

ティーレマンが、ほどよく枯れてくれるのを待つしかないけど、オケ自体がかつての姿は一面で、よりインターナショナルに変わってしまった。。。。もう味わうことのできない、絶滅してしまった音色なのだろうか・・・

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コメント

クルト・ザンデルリング、僕の大学3年頃が最後の来日。
行ってないのです。

CDは、なぜか買っていたのに。。いろいろ。。
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ドレスデン。
2007年10月ファビオ・ルイジが音楽監督に就任するから、一度行ってみたかったドレスデンへ行きました。

レパートリー公演としての、フィガロ、ドンカルロ。
新演出上演だったマイスタジンガー。
3演目とも、ファビオ・ルイジ指揮。フィガロは座付きで固めて手堅く。
ドンカルロは、豪華キャスト。
マイスターは、新演出2日目。Walter役がやはり降板。けど、それでも豪華キャスト。面白くて。ルイジ居なくなったら、もうやってない。あれは、演出家が常に観て指導しないと無理な演出だもん。演出家直属の助手かでないと。。
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さておいて、ティーレマン。いつ本気にドレスデンのレパートリーに本格的にメスを入れるのだろう。

ザルツブルグ復活祭のクーデターで手に入れたクーデターの演目いつ上演するのだろう。

ファビオ・ルイジがおとなしくドレスデンに居れば、グローバル化は避けられないドレスデンも、まだカペルマイスターの居場所はあったよ。

その演目、およそみんなティーレマンが得意でしょ。。

どんどん、都会的になるよ。
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次の都会的なサウンドに化けるオケとオペラ両方の顔を持つ<Haus>はどーこだ?

やっぱり、ライプツィッヒ・オペラだ。ゲヴァントハウスの。シャイーの後釜がまともにオペラ振り出したら都会的になってしまったりして!まだ、シャイーがオペラに顔を出さないから、今の’音’の状態なんだから。このオケの指揮者、オペラに顔を出さないのが通例だったんだし。
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ちなみに、ファビオ・ルイジ、いろいろゴソゴソ動いたから、大嫌い。。。になってます。エージェントのせいだけど。

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ドレスデン、ゴタゴタ事、好きな<Haus>だね。。

投稿: 都会的サウンド飽きている人 | 2013年11月19日 (火) 23時32分

「絶滅してしまった音色なのだろうか」に同感です。自分が大学生だった1978年に、ブロムシュテットの指揮で日比谷公会堂でドレスデンを聴きましたが、聴いたことのない重低音の凄みを感じたと記憶しています。昨年、ティーレマンの指揮でサントリーホールでドレスデンを聴きましたが、かつての独特の凄みは感じられませんでした。

投稿: faurebrahms | 2013年11月20日 (水) 00時21分

都会的サウンド飽きている人さん、まいどです。
ドレスデンのごたごたは、もう名物の域に達してますね。
ルイージの前はハイティンク。
主席も、ちょっと変わったところを引っ張ってくるけれど、以外にそれがはまっていたのがかつての頃。
若杉さん、フォンク、ブロムシュテットなどなど。
いまは、ティーレマンだけど、隣国のチョンさんも近い存在。

ゲヴァントハウスのヴェルディはシャイーでありますけど、未聴ながら、少し興味ありです。
ルイージ・ドレスデンのリゴレットDVDはよかったです。
そんな感じで、ドイツのハウスのイタリアものが、軽やかでリズミカルなのは、うれしい半面、待てよ・・の感ありです。

やはり、ドイツのオケは、東西以前が個性的でした。

投稿: yokochan | 2013年11月22日 (金) 00時53分

faurebrahmsさん、いつもありがとうございます。
ブロムシュテットとのコンビは最強でしたね。
そして、このオケの重低音は、ほんとに驚きでした。
わたくしも、ハイティンクとやってきたときのブルックナーで、低音もさることながら、音の大きさと、絶対にうるさくならない響きに心底びっくりでした。

昨今は聴いてませんが、ティーレマンでもそういう風だったのですね。

投稿: yokochan | 2013年11月22日 (金) 09時22分

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