シューマン 幻想小曲集 ブレンデル
神宮外苑の参道をお散歩してきました。
昨日の低気圧で、黄色く色づいていたイチョウも、散ってしまって、黄色い絨毯ができあがってました。
春のピンクの絨毯と、秋の黄色い絨毯。
日本の四季は、ほんとにきれいなのだ。
シューマン 「幻想小曲集」 op12
ピアノ:アルフレート・ブレンデル
(1982.3 @ロンドン)
ひさしぶに聴くシューマンのピアノ曲。
遅すぎる晩秋を、本格的な冬の始まりに見て、感じてしまったから。
そんなロマンティックな心情に、ぴたりと寄り添うのが、シューマンのピアノ作品だし、ブラームスの室内楽、そしてディーリアスの感覚的な音楽。
「幻想小曲集」、この曲を初めて聴いたのは、高校生のとき。
そう、17歳ぐらいですよ。
オッサンになりはてた自分にも、そんなときがあったんですよね。
NHKFMで、午後のリサイタルっていう番組が、平日、毎日あって、日本人演奏家による室内楽と器楽演奏、歌曲が放送されてました。
それを録音しまくることで、知り、開眼していったオーケストラやオペラ以外の世界。
シューマンのピアノ曲の数々も、ここで知りました。
多感な高校生の心に、ショパン以上に、ひびきました。
ショパンのような直截なロマンや憧れじゃなくって、もっと複雑で、近づくと離れてしまうような手に負えないモヤモヤ感がを感じました。
そのある意味、いびつな情熱の吐露が、若い自分には、女性的なショパンよりも、男性的なロマンティストとしてのシューマンを感じたのでありましょう。
高校生の時には、思いもしなかったほど、その何百倍もの音楽を、しかも当時には聴くこともできなかった音楽たちを聴いた、いまの耳でこうして聴いても、シューマンはあのときと変わらずに鳴り響いてます。
いくつになっても、歳を経てもシューマンはシューマン。
夢を垣間見させてくれます。
1.夕べに 2.飛翔 3.なぜ? 4.気まぐれ
5.夜に 6.おとぎ話 7.夢のもつれ 8.歌の終わり
1837年、26歳のときに作曲されたこの曲集は、ライプチヒ訪問時に親しくなったイギリスの女流ピアニスト、ライドラウに献呈されております。
これら8曲の日本語訳の邦題は、ほんとうによく出来てると思います。
それぞれの曲の持つ、雰囲気を、本質的に捉えてしまっています。
「幻想小曲集」という大きなくくりと、これらの各曲の邦題だけで、もうなにも解説はいりません。
短い、日本語のそれぞれを思いながら、これらの曲を聴くだけで、もうこと足ります。
夜への関連性が強いのですが、昼に見た、素敵な光景や、会った人のことを想いながら聴くと言う意味でも、夜の音楽でもあります。
ブレンデルの明快でありながら、ふくよかタッチのピアノは、そんなシューマンを聴く人のロマン的心情を優しく包んでくれてやみません。
いい夢みましょう~
| 固定リンク
コメント
「午後のリサイタル」聴いていました。
あの頃のFM放送は音楽の宝庫でした
自分にとってシューマンは手強い作曲家ですがショパンよりも聴いた時の充実感はあります
「幻想小曲集」は昔からルビンシュテインのLPで聴き続けています。
投稿: パスピエ | 2013年12月12日 (木) 20時35分
パスピエさん、こんばんは。
やはり!ですね。
ほぼ1日中、クラシックが、時間帯でジャンルを分けて楽しめましたね。
多くを学びました。
ショパンの耳当たりのよい音楽も麗しいですが、シューマンはまた格別ですね。
ルービンシュタインやホロヴィッツ、ケンプといったところが、やはり懐かしいですね。
投稿: yokochan | 2013年12月12日 (木) 23時34分
『午後のリサイタル』、ショーソンのPfとVn、弦楽四重奏の為のコンセールからの、『シシリエンヌ』が、番組のテーマでしたでしょうか。何か、他の番組と取り違えて、居るかも知れませんね。今では、『全日本音楽コンクール』の予選参加者の皆様の演奏を、オン・エアしてくれる番組におきまして、あまり録音されていない珍しい作品が屡々取り上げられてますので、渋い未知の作品とのめぐり逢いには、狙いかも‥(笑)。
投稿: 覆面吾郎 | 2020年11月18日 (水) 18時11分
夕方4時ごろの「午後のリサイタル」は、レパートリー拡充にほんと役立ちました。
続けて朗読の時間のような番組もあり、そこでの音楽もクラシックでわくわくしてました。
いまはラジオはまったく聴かなくなってしまいましたが、情報量はいまより格段に多かったような気がします。
投稿: yokochan | 2020年11月21日 (土) 07時08分