ワーグナー 「ジークフリート牧歌」 クナッパーツブッシュ指揮
クリスマスの日、いかがお過ごしでしたか?
あっ、日本には関係ない?
そうなんですよ、クリスマス・イブに燃え尽きてしまう日本のクリスマスは、あまりにもお祭りじみていて、浮かれまくる方々をみていると悲しくなります。
仏さまの誕生日を、仏教徒でない海外の人が、「祝仏さま」などと、お祭り騒ぎをしていたら日本人はどう思うでしょうか。
そんな了見の狭いこと言っても始まりませんね。
でも、クリスマスは、家族揃って、日頃の感謝を述べあいたいですね。
それでこそ、翌朝のプレゼントの喜びも増すというものです。
クリスマスではありませんが、静かな朝、自分の誕生日に、こんな素敵な音楽で目覚めた女性も幸せです。
ワーグナー 「ジークフリート牧歌」
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
(1962.11@ミュンヘン)
生誕200年のワーグナーの年、例年にも増して、ワーグナーを聴き、そして書きました。
いつもおんなじようなことばっかり書いてごめんなさい。
今年の、ワーグナー記事、今日を入れて実に34本。
あと1本考えてますので、2013年は、35本。
1870年12月25日、ワーグナー56歳の年に、ルツェルンの邸宅の回廊で、愛する妻コジマに感謝とともに、その誕生日に捧げられ、演奏された「ジークフリート牧歌」。
おりから作曲中のリングの「ジークフリート」の旋律を用いた愛らしい音楽。
この名称は、同時に、まだ1歳の愛息子ジークフリートへの思いも込められてます。
あの性悪とか、いろいろ言われちゃうワーグナーも、人の子なのです。
家庭をちゃんと愛してるのですね。
そんな、サプライズの朝日の眩しい光景を思い描きながら、この美しく、情感のこもった曲を聴くとまた、こちらも、暖かい気持ちになります。
楽劇のジークフリートは、人ずれしていない自然児で、2幕前半までの竜ファフナーを殺すまでの性格そのものが、このジークフリート牧歌の雰囲気なのでしょうか。
もちろん、旋律的には、その後の展開の、森の小鳥や、ブリュンヒルデと出会ったあとの、平和の旋律などが、ここに盛り込まれているわけですが。
初演時の、各楽器1本の室内楽版の透明感ある演奏も好きですが、オーケストラ版の抒情的でロマンティックな様相も好きです。
今宵のクナッパーツブッシュの演奏は、もちろん後者のフルオーケストラのものですが、この演奏はカラヤンや、バレンボイムなどの滑らかな演奏の対局にあります。
少しデッドな録音もあって、ごつごつと無愛想な雰囲気。
当時(62年)のミュンヘン・フィルは、武骨そのもので、ヘタクソにも聴こえる。
このころは、そんなものだったのかもしらんミュンヘンフィル。
そのあとのケンペやチェリが偉大だった。
で、このクナ盤は、同じコンビのブルックナー8番がそうであるように、妙にクセになる、安心する雰囲気。
この緩いモコモコ感は、ワーグナーの精一杯の優しさのようであって、ビューティフルな演奏にはない、ドイツのまことの響きを感じます。
木製のちょっと硬いベットで目ざめた感じです。
朝食は、硬いドイツパンに、甘いスグリのジャムに、ちょっと苦いコーヒー。
そんな朝を迎えるのも清々しいものじゃないですか。
銀座の書店、教文館。
クリスマス、おめでとうございます。
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