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2014年1月26日 (日)

神奈川フィルハーモニー第295回定期演奏会 ゲッツェル指揮

Minatomirai201401

神奈川フィルの定期演奏会、今回は土曜の午後でした。

マフラーや手袋のいらない気候に、ホールへ急いだあとは、汗ばむほど。

きっと元気を与えてくれそうなコンサートになるぞ。

その予想は、完璧に当たり、それ以上の大充足感を与えてくれました。

ゲッツエルさんの指揮者としての豊かな個性とその力量と、神奈川フィルの美音と底力。

それらをいやというほどに体感できました!

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    ブラームス    ヴァイオリンとチェロのための協奏曲

                      Vn:石田 泰尚   Vc:山本 裕康

    ヘンデル(ハルヴォルセン編)    パッサカリア~アンコール

    ワーグナー    「タンホイザー」序曲

    R・シュトラウス 「ばらの騎士」組曲

     J・シュトラウス 「狂乱のポルカ」~アンコール

  サッシャ・ゲッツェル指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

              (2004.1.25 @みなとみらいホール)

冒頭、力いっぱいの出だしを聴いた瞬間、あっ、違う! と思いました。

それほどに、この日の神奈川フィルは、鳴りが違う、終始、胸のすくほどの鳴りっぷり。

そして、気のあったデユオ、石田&山本コンビは、最強。

艶やかな山本さんならではの、ソロの開始。
毎度ながらの優しいけれど、キリリと引き締まった見事なカデンツァはぴたりと決まった。

そのあとの柔らかな木管を引き継いで石田さんの、繊細きわまりないソロ。

そしてふたりの気合いが織り混ざった二重奏を経て、オーケストラがまた強く答える。

もうこの開始早々で、本日のコンサートの成功は約束されたようなものでした。

仲間のソロを盛りたて、つつみこむようなオーケストラの雄弁さも見ごと。

素敵だったのは、第2楽章で、ホルンと管に導かれ大らかにユニゾンで歌う名旋律に、心の琴線に触れるかのような大いなる感動を覚えました。
いかにもブラームスらしい、ふくよかで、たっぷりした響きがこのオーケストラから聴こえるのは、シュナイトさん以来ではなかろうか。
ピチカートに乗って奏でるお二人のソロ、美しすぎる、優しすぎる。
泣きそうになりました。
ずっとこの楽章が続いて欲しいと思いましたね。

そしてアタッカで突入した3楽章は、ソロもオケもノリノリ。
心湧き立ち、ドキドキしながら聴きましたよ。
この曲で、いつも思うのは、エンディングの場面がちょっと唐突なとこ。
でもそれもまた、一興と思わせるキレのいい終結部でございました。

しなやかに、大胆に、ときには繊細に、そして鋭く、劇的に!

そんな表現が集結したかのような、ヴァイオリンとチェロのデュオアンコール。
もう、言うことはありませんね。
完璧すぎます、カッコよすぎますよ、石田さん・山本さん。

休憩後は、わたくしお得意のワーグナーとR・シュトラウス。
ここへきて、オーケストラ、アクセル全開、フルスロットル。

耳にタコができるほどに聴き倒した「タンホイザー」だけれども、この日の「タンホイザー」は、高カロリーで、切れば血が吹き出るほどの濃密度。
しかも、全体の見通しもよく、オペラの全体を集約したかのような筋立ての見事さと、完結感とに溢れてました。
ゆったりと巡礼の合唱で始まり、その後のヴェーヌスブルクの妖艶な世界は、少し健康的。
崎谷さんを中心とするソロも美しい。
やがて曲が盛り上がってゆくと、それにつれてテンポもアップ。
金管も加わって、ヴェーヌスブルクの世界を押しやり、輝かしい勝利へと向かう。
その様が一気加勢で、その勢いはとどまるところをしらない。
聴く方も興奮が高まる一方だったが、オーケストラも夢中になって弾いているのが、拝見していて丸わかり。
ゲッツェルさんの棒に、完全に魅せられてしまいました。
劇的に終結したあと、すぐさまにオペラの幕が上がるかのようなそんな感興に満ちた演奏でございました。

そして「ばらの騎士」。
「ばらキシ」は、わたくしの最も好きなオペラのひとつ。
何度も舞台で観てまいりました。
そんなわたくしに、あの華やかな舞台が思い浮かぶような、華麗な演奏が、繰り広げられました。
高らかに鳴り響くホルンの鮮やかな出だし。
かのカルロス・クライバーもかくやと思わせる、生き生きと鮮度ピチピチの開始部に、わたくしはいきなりノックダウン。

何百回と聴いてきた「ばらキシ」のなかで、もうこれは一番!

上気する高揚感と、そのあとの銀のばらの献呈の場の透明感と、濃厚なロマンティシズムと出会った若い二人のドキドキ感すら感じる麗しき高揚感。
ウィーンの本場は、かくやと思わせるオシャレで、しなやかなワルツ。
オックス男爵のように、鼻歌まじりに、踊りだしたくなっちゃう。

そして、感動が最高潮に高まった、最後のクライマックスの三重唱の場面。
「いつかくることはわかっていた、でもこんなに早くやってくるとは・・・・」
元帥夫人の諦念にあふれた胸の内をあらわす美旋律を、石田コンマスは心をこめて弾き、そしてオーケストラは言葉に尽くしがたいほど、美しく鳴り響き、むせかえるほどのゴージャス・シュトラウスサウンドを聴かせてくれるのでした。

最後の男爵の賑やかな退場と威勢のいいエンディングでは、ゲッツェルジャンプも繰り広がられ、いやがうえでも興奮が高まり、曲の終了とともに、わたくしブラボーかましちゃいました!
大喝采の会場。
何度も呼びだされるゲッツェルさん。

それに応えて、「フリッソ・ポールカ!」と宣誓。
すぐさま、大爆発のような派手ハデの超絶ポルカ。
喧騒と狂乱渦巻く元気まんまんの曲。

腰をくねくね、お尻ふりふり、大きくなったり、小さくなったり、指揮をやめて、首だけで拍子とったり・・・・。
もうなんでもありの、ゲッツェルダンス全開

いやはや、最高に楽しかったし、とても音楽的で素晴らしい指揮だった。

この人の指揮棒の先には、音楽が張り付いているのか、というか、その先から音がまき散らされるのだろうか。
聴衆を虜にしてしまう。
そしてそれ以上にオーケストラの皆さんも夢中にさせてしまう。
ある楽員さんに、こんなによく鳴ったのはシュナイト以来でしたと話したら、同感いただきました。
まさに、そう。
神奈川フィルの魅力を100%引き出してくれた、そんなゲッツェルさんなんです。

若い団員さんも増えてフレッシュさに磨きがかかる神奈川フィル。
ますます楽しみだし、応援にも力が入ります!
本日、日曜日のミューザでの公演もソールド・アウトとのよし。

アバドが亡くなって、ちょっとしょげてたワタクシ。
シュトラウスでは、アバドを思い、落涙しました。
でも、ゲッツェル&神奈川フィルに元気にしてもらいました。
ありがとう!

Umaya

ビールとブルーダルと、ゲッツェルと。

We Love神奈川フィル懇親会は、興奮冷めやらず、大いに盛り上がりました。

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神奈川産の食材と出来立ての横浜地ビール。

こちらは、フィッシュ&チップスで、お魚はハマチでしたよ。

あらたなメンバーと、遠来のメンバーも加わって、とても楽しいひとときでした。 

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コメント

昨日はありがとうございました。

確かに最初の出だしから音の鳴り方が全然違いましたね!
あれほど神奈川フィルの魅力を引き出してくれるとは予想以上でした。

次シーズンは面白くなりそうですね!
遠方ではありますが何としても来ます!
また宜しくお願い致します。

投稿: syllable | 2014年1月26日 (日) 20時36分

syllableさん、先日は、遠征お疲れ様でした。

あの時代の音をご存知のsyllableさんですから、すぐに、おわかりになりましたよね。

いかに、指揮者の存在とその力というものが、大きなものかわかりますね。

来シーズンも楽しみですし、チケットも取りにくくなるかもしれませんよ。
またのお帰りを、お待ちしております。

投稿: yokochan | 2014年1月27日 (月) 22時00分

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