ショパン ピアノ協奏曲第2番 ポゴレリチ&アバド
お正月の吾妻山のスイセンの群生。
満開で、いい香りをふりまいてました。
学名は、ナルキッソス。
そう、ナルシストは、ギリシャ神話の美少年から来た言葉。
あまりに美しいけれど、いいよる女性を片っ端から断り、あげくには、水鏡に映り込む自分の姿に恋するように呪いをかけられ、自分に恋焦がれて死んでしまう。
下をうつむく、水辺に咲くこの花に、その名前がつけられたよし。
日本水仙は、そんなことは思わせず、清潔清楚な雰囲気でありますね。
白と黄色と緑がよろしい。
新春名曲シリーズ。
ショパン ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調
Pf:イーヴォ・ポゴレリチ
クラウディオ・アバド指揮 シカゴ交響楽団
(1983.2 @オーケストラホール、シカゴ)
2曲のショパンのピアノ協奏曲は、最初は、1番を聴き、2番はだいぶ後で聴いた。
中学生という多感な時期に聴いたアルゲリッチとアバドの1番の名盤。
少し大人になると、その1番を聴くのが何故か恥ずかしくなって退屈するようになってしまった。
大学生の頃に、真面目に聴いた今度は2番の方。
こっちの方が好きになった。
ショパンのピアノ作品全般を万遍なく聴くようになったからか、そのリリシズムが、この曲の第2楽章にもっともよく表れていると思ったものだ。
そして、自分の結婚式では、式中に流す音楽を自ら選曲し、この2番の2楽章を流しました。
今思えば、これもまた恥ずかしいことなのですが・・・・・。
その時に使った音源が、今日の演奏です。
1829年、ショパン19歳の時の作品で、出版の関係で、この曲の方が先で、1番は翌年の作曲。
有名なお話ですが、ロマンティックな2楽章は、ワルシャワ音楽院を卒業したばかりの声楽家、コンスタンティア・グラドコフスカ嬢のことを思いながら作曲したとあります。
甘~いエピソードですねぇ。
6歳上のジョルジュ・サンドや、ポトツカ伯爵夫人、婚約までした若いマリア・・・モテモテショパンを思うと、恋愛感情は、いかにショパンの創作を刺激していたかわかります。
わたしら凡人が、そんなことしたら、怒られてオシマイですが・・・・・。
ポゴレリチ様も、その道にかけてはなかなか。
師であり、妻でもあったアリス・ゲシュラッゼの死もありました。
とはいっても求道的な面もあるポゴ様ですから、何を考えてるかわかりませぬ。
指揮する、我らがアニキ、アバドも、それなりに、そちらもありましたね。
芸術家は、お盛んだということで。
しかし、若き日の、ポゴレリチのピアノの多彩さと恐るべき推進力といったらございません。
他の演奏が、これ聴いちゃうと、やたらとヤワに聴こえてしまう。
テンポを自在に動かし、強弱の対比も凄まじく、それでいて非自然さはなく、いつの間にか、聴く側はすっかりポゴ様のピアノに飲みこまれてしまい、夢中になってしまうという按配であります。
ことに、2楽章はすんばらしい!
シャープさも感じる鋼のような表情に感じる抒情。
変な表現ですが、甘さ一切なしの、ロマンティィズム。
両端楽章の活力あふれる変幻自在ぶりにも耳が離せませぬ。
そんなポゴに、アバドとシカゴ響は、完璧について行きます。
こんなハイスペックのオーケストラを、響きの薄いショパンのオケに使うなんて、なんと贅沢なことでしょう。
ときに、威圧的な分厚さをオケに感じますが、アバドは、さっと押さえこんでしまいます。
オケは2楽章で、そっとささやくような絶妙の背景を作り出しておりました。
デビューした頃のポゴレリチを、砂川しげひささんが描いてました。
レコ芸の連載から。
そんなポゴさまと、わたくしは、よく見たら同い年。
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コメント
鬼才なのか、それとも音楽を解体新書のように演奏する演奏家なのか判らない現在のポゴレリッチ。
デュトア指揮フィラデルフィア管の来日公演でも37分かけて、この2番を演奏してしまって。
協奏曲は、’合わせ物’なので、お互いの歩み寄りが大切。指揮者・オケが合わせられてしまったのこの公演、疲れた!
’合わせ物’、やっぱり、アバド指揮。デュトア指揮。マゼール指揮のものがもっとも安定している。。。
ポゴレリチの現在の演奏は、「ちゃんと譜面に書いてある指示記号読んでよ。」と言いたいです。以前、前半だけ聴いて帰ってしまいました。何時に終わるか判らないから。。
投稿: T.T | 2014年1月 8日 (水) 07時17分
砂川しげひさの描くポゴレリッチ、懐かしいです
あの頃のポゴレリッチに憧れてました
そのピアノよりもファッションに、です(^^ゞ
多分レコ芸誌に載ったチェックのジャケットに皮のパンツ姿!格好いいな~、それに似たものを買い求めたものでした。
投稿: パスピエ | 2014年1月 8日 (水) 19時17分
T.T さん、こんにちは。
日本でも、この曲を演奏しているのですね。
アバド盤は、だいたい33分くらい。
だいぶ伸びてますね。
最近のポゴレリチをわたくしは聴いていないので不明ですが、逆に、スリルと新しきものを求めて、同世代の人間がどう変化していくか、とても興味があります。
合わせものの達人は、あとオーマンディと、マリナーとハイティンクでしょうか。
投稿: yokochan | 2014年1月 8日 (水) 23時49分
パスピエさん、こんにちは。
レコ芸は永らく読者でしたので、このシリーズ、全部持ってます。
旧体制時代のムラヴィンスキーとか最高傑作でした!
そして、ポゴ様のファッションですか!
パスピエさんも、お洒落ですね。
革のパンツは、わたしもよく覚えてます。
髪型も斬新でしたね。
いまは、坊主頭のようですが。
投稿: yokochan | 2014年1月 8日 (水) 23時54分
ポゴ、いろいろ言われるけれど、実際聴いた経験からすれば、やっぱり凄い。何度か前のサントリー・リサイタルにおける「テレーゼ」にはぶったまげましたが、そう弾かなければならない必然が、ずしりときました(それでいて、自分に課した科が一旦外れた時のテンションの高さ、燃え尽き度がまた凄い!)。
ショパンの第2協奏曲、未だもって僕の決定盤です。ポゴもいいが、アバドの振ったシカゴが最高!シカゴ狂としても、協奏曲伴奏がさほど多くないこのオーケストラにして、決定的成果といえましょう。
投稿: IANIS | 2014年1月 9日 (木) 01時55分
IANISさん、おはようございます。
ポゴ様を聴いた感想ありがとうございます。
ますます興味のわきます。
CDでは収まりきれないライブでのその姿と演奏を、確認してみたいです。
それにしても、ここでのオーケストラは立派ですね。
あとは、全然違う嗜好ですが、プレヴィンの演奏も好きです。
投稿: yokochan | 2014年1月10日 (金) 08時46分