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2014年1月 8日 (水)

シューベルト ピアノ五重奏曲「ます」 ギレリス&アマデウスSQ

Azumayama_4

毎度の画像ですが、お正月の吾妻山は、相模湾を背景に菜の花が咲き誇っております。

春まで、この菜の花は一部頑張って、桜の花と華麗な饗宴を行います。

初夏にはつつじ、紫陽花、夏にはいち早くコスモス。

今日の名曲は、室内楽から、心弾むような素敵なメロディのこの曲を。

Trout_gilels_1jpg


  シューベルト ピアノ五重奏曲 イ長調 「ます」

         Pf:エミール・ギレリス

         Cb:ライナー・ツェペリッツ

   
         アマデウス弦楽四重奏団

    
                  (1975.8 @トゥルク、フィンランド)


シューベルトの音楽には、どこもかしこにも「歌」がある。

その朗らかな「歌」と裏腹に、どこか悲しい死の影のようなものも聴いてとれる。

でも、この「ます」には、ちょっと風変わりな編成ということもって、家族的な雰囲気も漂ってます。

1919年の秋口に書かれたこの作品は、オーストリア北部の町で鉱山業を営み、音楽を愛するアマチュア・チェリスト、パウムガルトナーさんの依頼によって書かれました。
ときに、シューベルト22歳。
その生涯は、あと9年しかありません。

昨日のショパンは、19歳の作品で、39歳の生涯。
モーツァルト35歳、シューマン46歳、メンデルスゾーン38歳。
早世の作曲家たちのなかでも、シューベルトは一番若くして亡くなり、そして、オールジャンルにわたったその作品数も非常に多い。

歌曲「ます」の旋律を第4楽章の主題として、変奏曲形式として、全体が5つの楽章に。
ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの編成。
だから、この曲は、低音域が厚みがあり、その分、ピアノの軽やかさと、高音域が引き立つように聴こえて、見事な5という数字のバランスを保っています。

Trout_1

「ます」の旋律は、まず弦楽だけで、優しく、親しみを持って奏でられます。

Trout_2


そして、第1変奏から、ピアノが登場。
弦が、さながら水のさざ波のように、たゆたう中、ピアノは、その中を泳ぐ鱒のように、ときにトリルを聴かせながら、気持ちよさそうにメインテーマを弾くのです。

こんな素敵な旋律と、その変奏の展開って、ちょっとないですよ。

歌の人、シューベルトに脱帽です。

きっと初演で、チェロを弾いたであろう依頼者のパウムガルトナーさんは、幸せな気持ちで、一家団欒のようにして、こお曲を楽しんだことでしょう。

ほかの4つの楽章も、みんな素敵ですよ。

思わず深呼吸したくなるような、みずみずしい第1楽章に、さわやかで、次々に転調していって微細にムードが変わる2楽章は、いつまでも浸っていたくなります。
快活なスケルツォの3楽章、陽気な終楽章でおしまい。

今宵の演奏も、ちょっと古めだけど、思い出の1枚。
高校生の時に、よく聴いたものです。
硬派なイメージのギレリスは、西側に出てきてDGに録音をたくさんし始めて、柔和さと、音の深い探求ぶりとで、実は凄いピアニストなのだということを痛感したものです。
ブラームスやモーツァルトの協奏曲に、ベートーヴェンのソナタなど。

アマデウスとのコラボレーションが、とても新鮮だったこの1枚。
全員が、生真面目にこの曲に取り組みながらも、どこか微笑みを絶やさす、まろやかな美しさにあふれた名演だと思います。
ベルリンフィルの名物コンバス奏者、ツェペリッツも嬉しい。

ブレンデルやペルルミュテールもよく聴いてきた1枚ですね。

Azumayama_5

こちら側の海は、三浦半島。

子供たちが寒いのに、薄着で元気に、縄跳びで遊んでいました。

お正月の光景です。

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コメント

yokochanさんの写真のとおり、「春」のイメージですよ、「ます」は。ニックネームの基となった「ます」の変奏曲楽章より、僕は第1楽章や、どことなく民族舞曲調のフィナーレが好きですが。
僕がこの曲で選ぶとしたらブレンデルの演奏かな?ギレリスのピアノだと、硬質で冷たい印象があるんだけれど、どうでしょう?

投稿: IANIS | 2014年1月 9日 (木) 02時02分

菜の花、いいですね。お浸しにして食することができますから。

そちらだと、2月中旬以降なら、’ふきのとう’が現れてきても良いはず。
自分は、たくさん山から採ってきて、ふき味噌を手作りしますよ。。
東京にいる間はできませんでしたが、今年から再開ですね。


グラモフォンのジャケットの黄色。菜の花の黄色。ふきのとうも黄色。

菜の花 も ふきのとう も食感の’適度なさりげない苦味’が命。

シューベルトの’ます’は、ピアノと弦楽器が妙なる調和を生み出していることが命。均衡が保たれているから価値があるのであって、バランスが崩れると’苦味’がある演奏になってしまいますね。こちらは苦味欲しくない。

投稿: T.T | 2014年1月 9日 (木) 02時43分

IANISさん、ここでは名曲シリーズの側面をクローズアップしましたので、4楽章を強調しましたが、わたしも好きな楽章は1楽章です。
そして久しぶりにギレリスの演奏を聴いて、硬いイメージよりは、柔和さを感じましたが、それはアマデウスとツェペリッツありき、ということもあるかもしれません。
ベートーヴェンやブラームスをちょっと確認してみます。
DGの録音イメージもあるかも。

そして、やはり、ブレンデルですね。同感。

投稿: yokochan | 2014年1月10日 (金) 08時51分

T.Tさん、おはようございます。
ジャケットと写真のマッチングに気づいてくださり、ありがとうございます。
山上で、この光景を見たときに、この音源を思いました。

菜の花は、食してもよしですね。
辛子和えが好きです。
そして、ふきのとうは、天ぷらもいいですねぇ。
いずれも、少しのエグ味が決め手でしょうか。

シューベルトにも、きりっとした音色が必要ですが、苦みはあまり相応しくないですね。
冬の旅を、ぼちぼち聴いてみたいところです。

投稿: yokochan | 2014年1月10日 (金) 08時59分

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