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2014年3月22日 (土)

神奈川フィルハーモニー第297回定期演奏会・名曲シリーズ 金聖響 指揮

Minatomirai20140220

冷たい雨の降る20日木曜のみなとみらい。

あの日も雨でした。

そう、4年前の4月のシーズンオープニングの演目、第3番で始まった、聖響&神奈川フィルのマーラー・シリーズ。 

シリーズ最後は、CD化された昨年2月の10番でしたが、その日も雨。 

定期と翌日(晴れ!)の名曲シリーズと、本当の最後となった、マーラーの6番を、お腹一杯になるまで堪能した二日間でした。

ちなみに、わたくしが聴いた聖響&神奈川フィルのコンサートは31公演。
自身のブログで、お天気を調べてみたら、そのうち雨が9公演。
これを多いとみるか、普通と見るかは、みなさまにお任せいたします(笑)。



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    藤倉 大  「アトム」

     マーラー  交響曲第6番 イ短調 「悲劇的」


     金 聖響 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

                 (2014.3.20@みなとみらいホール、
                        3.21@相模女子大学グリーンホール)


定期が21時終了。その後も聖響さんの引退セレモニーがあったので、21時30分。
翌日は、場所を相模原に移して、14時開演、16時終了。

こちらは、両日ともに聴いて、酒飲んで、あーだこーだ言ってるだけだから楽なもんだけど、楽員さんと指揮者は大変だ。
相模原のホールで、長い列のサインに応じる聖響さんも、ちょっとお疲れ気味の様子でした。

ともかく、2日間、こちらとしては大満足のうちに終了。

オーケストラ、指揮者、楽団のみなさん、お疲れ様でした。

そして、神奈川フィルの公益財団への移行が19日に正式決定。
こちらも朗報、おめでとうを心より、申し上げたいです。

まさに、4年前から始まった、神奈川フィルの存続問題クリアーへの闘い。

ちょうど、聖響&神奈川フィルのマーラー・シリーズの歩みに同じくするように、その終了とともに、財団移行が認定。

このコンビのマーラーが、高く評価され、聴衆動員も増し、世評も高まった4年間でした。
5年前に、聖響さんが常任指揮者に就任した時の対向配置・ピリオド演奏の「エロイカ」に、戸惑った自分。
以来、その試行錯誤に不満を隠せず、仲間と愚痴をこぼし合った。
それだけ、現田・シュナイト時代のなみなみと、たっぷりした豊穣な音に慣れ親しんでいた、ということなのであります。
 しかし、マーラー・シリーズのスタートで、すっきりとこだわりの少ない明るいそのスタイルに新鮮さを感じ、眼前に繰り広がられるマーラー演奏を毎回、本当に楽しみにするようになり、耳にタコができるほど、聴きこんできたマーラーを、さらにまた親しく近く感じることができるようになったのでありました。

「彼らのマーラーは、美音の神奈フィルサウンドをベースに、さらりとした客観性を持った解釈。
それが回を増すごとに、歌心も増して、音楽もマーラーそのものを語り出すようになった。
震災のこと、楽団存続に向けた意欲、などの要因も作用して。
でも、そこには常に若々しさがありました。」

自分としては、そんな風に思ってます。

震災翌日に行われた、黙祷のあとの、マーラー6番1曲だけのコンサート。
その場に居合わせたひとりですが、あの時の異常ともいえるテンション。
演奏する側も、聴き手も、全身全霊を込めてマーラーという音楽を媒体に、あの出来事に向かい会わねばならぬ、切なさ、恐怖、悲しみを、体中で感じた80分間でした。
あの時にしかできなかったマーラーの6番。

そして、今度のマーラー6番は、あのときとまったく違う。

流れがとてもよく、最初から最後まで、一気に聴かせてしまう、指揮者・オケともに手の内にしっかりとマーラーが入ったと思わせる演奏。
そこには、若さとともに、余裕も感じられ、きれいに整えられた音たちは、ともかく美しい。
アルマのテーマとも呼ぶべき第1楽章の第2主題が熱く奏されるとき、第2楽章の連綿たる旋律、ともかく、神奈フィルの弦の美音が、たっぷり詰まってます。
ほんとは、もっともっと歌いあげてもよかったくらい。

1月のゲッツェルさんは、爆演系だけど、あのときは、かつての神奈川フィルの豊穣サウンドもしっかり導きだしていました。
聖響マーラーは、美しく、素直で嫌味はまったくないのですが、マーラーの持つ、正邪清濁なんでもありの奇矯さが幾分後退気味だったかもしれません。

それでも2日間とも、随所に熱く燃え上がる場面はありました。
終楽章が、こんなにカッコよくて、こっちまで体を動かしたくなることってありませんでした。
みなとみらいでは、寄せては返すような闘争とダメージの終結部、少しばかり走りすぎてしまったように感じましたが、相模原では、修正され、着実さがましました。
そして、その相模原では、終楽章の冒頭、不気味な蠢きのような苦悩の表出を、テンポを落として、音量も落として、じっくりと描きました。
そこから、徐々に立ちあがるオーケストラ。
その対比が、実に見事でした。

ハンマーは2発。
6番のハンマーを叩かせたらもう、平尾さんしかいません。
左手のハンマー台に、そろりそろりと向かう姿に、「その時、平尾さんが動いた・・・・」なんて、自分の中で思って、来るぞ来るぞと構えて待ちうけます。
そして、どっかーんと一発。
いい、6番は、やっぱ、これやで。
振りおろした瞬間、発声体の台が、浮き上がるのも見てとれました。

2台のティンパニの強打も痛烈。
左右の袖に何度も行き来する、カウベル叩き。
7人の打楽器奏者のみなさんを見てるだけで楽しいのも、マーラーならでは。

9本のホルンが、一斉にベルアップしての咆哮。
ホルン女子も実にウマイ、安定感でてきましたね。お父さんはうれしいのだ。

輝かしい金管セクションに、若いメンバーも神奈フィル木管サウンドをしっかり受け継いで、安心して聴いていれるとういう、これもまたうれしさ。

そして、万全の美音弦楽セクション。
エキストラの皆さんも多く交えて壮観極まりありません。
どんなときでも、石田コンマスの繊細で美しい音色のソロは、しっかりとホールの隅々に届きます。
いつも、彼がそこに座っていてくれるという安心。
神奈川フィルのファンの心も、きっとそうです。
崎谷さんとともに、神奈川フィルの弦をこれからも引っ張っていってくれることを願います。

両日ともに、大和音のあとの、ピチカートによる、突然の終わりの訪れのあとの、長い長い静寂。
この静寂までが、曲の一部、音楽の一部と思わせるほど。
みなとみらいの方が、長かったかな。

熱く駆け抜けるような、みなとみらい。
まとまりがよく、ほぼ完璧な仕上がりだった、相模原。

どちらも自分には、素敵な神奈川フィルのマーラーでした。

あ、そういえば、1曲目の若手作曲家、藤倉氏の作品。
曲の終わりの方に、メロディの萌芽が垣間見られるのですが、そこはベルクのようにも、メシアンのようにも感じ、なんとも心地よかったのですが、わたしには、この15分間の捉えどころのなさが、そのまま、この手のゲンダイオンガクというジャンルへの理解そのものなのでありまして、それ以上を語る資格はございません。

相模原では、オーケストラが下がったあとも、続いた拍手に応えて、聖響さんが、ひとり舞台袖にあらわれ、喝采を浴びておりました。
5年間、どうもお疲れ様でした。
そして、多難な時期を、見事乗りきっていただいて、本当にありがとうございました。
途中、不平も述べましたが、終わりよければすべてよし。
素晴らしい功績を残されました、感謝しております。
新たなポストの吉報もお待ちしたいと思います。

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連日のロビーコンサートも聴きました。

そして、なんと切ないお知らせが。

首席トロンボーンの倉田さんと、首席ヴィオラの柳瀬さんが、ともに3月一杯で退団。

石田さんも加わって、最高にゴージャスで、エンターテイメント感抜群のミニコンサート。

歌うトロンボーンとして、多くのファンを持つ倉田さんは、素敵なテノールとトロンボーンの二役を、艶やかな柳瀬さんのヴィオラを背景に披露してくれました。

最後は、「ショーシューリキ~♪」と「神奈フィル~♪」に、大喝采sign03

お二人のいない神奈川フィルは、寂しいけれど、新天地でのご活躍を切にお祈り申し上げます。

(→倉田さんのコンサートの記事)

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ちゃっかりブルーダル君、@相模大野。

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桜木町では、ビールを飲んで、お魚を食べ・・・・・

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相模大野では、緑茶ハイに焼き鳥や、オムレツを食べ・・・・・

こんなに楽しませていただける、神奈川フィルと、We Love 神奈川フィルのメンバーのみなさん。

また新たな4月が始まります。

3年前のあの時の教訓と思いも風化させないように、胸に刻みつつ、ワタクシも頑張りたいと思います。
今回は、長文、失礼しました。

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