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2014年3月 4日 (火)

むかし話、ルツェルン訪問

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いまのところ、人生で唯一のルツェルン訪問は、1989年でした。

25年、四半世紀も前の出来事。

そう、わたくしの新婚旅行だったのですよ。

少人数のツアーだったけれど、チューリヒ、ウィーン、ミュンヘン、ヴュルツブルク、ルツェルン、ジュネーヴ、パリ。

豪華な1週間。

そのなかに、ウィーンでのオペラ鑑賞や、ふんだんな自由時間、憧れのワーグナーのノイシュヴァンシュタイン城も入ってました。

思えば、いまやクラシック音楽と無縁の、かみさん。
よく、着いてきてくれたもんだ。
いま思えば、奇跡とも呼べる。

現在、そんな企画を持ち込もうものなら、「あんた、ひとりで、勝手に行ってくれば、お金はしらないよ・・・」という定型文が、冷たく言い放たれます。

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ルツェルンは、コンパクトで、ルツェルン湖を中心とした、歴史とドイツ中世的なヨーロッパの雰囲気あふれる、とても美しい街でした。

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湖の周辺は、このようにリゾート感あふれる光景。

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ちょっと中に入ると、教会の尖塔が立つ、厳かで清廉な雰囲気。

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一番最初の画像が、ルツェルンの代名詞とも呼ぶべき、湖とつながるロイスを横断することのできる「カペル橋」。

木製の、中世当時そのままの歴史的建造物。

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橋の中は、このように全面、通し屋根に覆われていて、梁の部分には、宗教画があしらわれているんです。

ところが、このカペル橋は、私が訪れた4年のち、火災で焼失してしまいました。

いまは、復元されてますが、ほんとうにいい時期に見ておいてよかったです。

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メインの橋(焼けてしまった)から西側には、旧橋があります。

この景色の美しさ。

シューベルトが、佇んでいそうな雰囲気でしたよ。

教会や、湖畔の公演、中世の歴史感じる史跡、そして、かのワーグナーゆかりの館など、ルツェルンの街は、音楽好きにとって、外せない街なんです。

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             (1989年、ルツェルンで入手した地図の一部)

左手が、カペル橋。

真ん中に赤マルしたとろが、コングレス・ザール。

いまの、文化交流センター、ルツェルン音楽祭の本拠地です。

ホテルが、またきれいで、ホスピタリティ満載でした。

荷物の取り違えがありましたが、それは、日本人内のツアーの仲間同士。

お互いに、あれあれ、と笑い合うことで問題ないのでしたが、ホテル側は、そんなこととは関係なく、最高の部屋をあてがってくれたし、その部屋には、とんでもなく素晴らしいフルーツの盛り合わせと、お詫びのレターが添えられてました。

ドイツ語圏のスイスに、日本人として、おおいなる親近感と、感謝をいだいたものです。

そこゆくと、同じスイスでも、フランス語圏のジュネーヴは、もっとラフで、おおざっぱ。
イタリア語圏は、行ったことありませんが、それまた違うのでしょうね。

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夜、ひとりで、ルツェルンの街に散策にでてみました。

市街のあちこちにひろがる、こんな素敵な絵のような光景。

ともかく、人も少なく、行き交う人も、他人を気にとめることもなく、安全きわまりありません。

昼に渡ったカペル橋の西の旧橋を渡って、対岸を歩きました。

ルツェルン音楽祭の、コングレスザールの手前に差し掛かりました。

ほんとに、小さな市民劇場があり、そこは、周辺が真っ暗な中にも、暖かな暖色の照明によって、浮かびあがってました。

ヨーロッパの街々は、当時、日本のように、すべてが明るい照明によって白日のもとにさらしだされる雰囲気はまったくなくって、暗さと明るさの対比が豊かで、安らぎの美しい雰囲気があった。

そんなことを思っていたら、耳に届いた劇場からの音楽。

チレーアの「アドリアーナ・ルクヴルール」でした。

ドイツ語圏のここ、ルツェルンで、まさかに聴いたイタリアオペラのフレーズ。

劇場の外へ、まる聴こえ。

そのすべての節々を、当時から理解していた大好きなオペラ、「アドリアーナ」を、ここで立ち聴きしようとは!

ルツェルン湖のほとりで、わたくしは、いつまでも、音響対策の緩い劇場から漏れてくる音楽に、ひとり聴きいったのでした。
開演中だったし、ともかく、ひとっこ一人いないんです。

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湖には、白鳥さんも。

このルツェルン訪問から14年後、最愛のアバドが、自らオーケストラを立ち上げ、音楽祭の中心になろうとは、思いもよらぬことでした。

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2010年に、行こうと思えば行けた。

仕事のこともあり、決断できませんでした。

残念なことをしましたが、アバドがこの地を愛したことが、自慢じゃないけどよくわかる。

ともかく美しく、優しい街、ルツェルン。

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コメント

やはり、小生はクラヲタ様とは似た境遇です。
89年、わたくしも新婚旅行で、アンカレッジ経由、小さなツアーでウィーンとパリに行き、楽友協会とシャンゼリゼ劇場でコンサート。今や、こんな企画では妻が・・・・。

投稿: faurebrahms | 2014年3月 5日 (水) 05時56分

ルツェルンの音楽祭、今回は、アンドリス・ネルソンズが、あの高い値段のコンサートの指揮を振るのかと思うと、残念に思います。少し凋落していくような気がしています。

金持ちの人が行くコンサートの趣きのあるルツェルン音楽祭。

Zurichからは、すぐなのだけど。Zurichのオペラハウスの演目と噛み合わないのが難点です。

8月30日あたりから9月の音楽祭最終日。または、イースターの時期のルツェルン音楽祭も悪くはないから行きたいですね。
イースターの時期に訪れられれば、Zurichも兼ねられますし、他国の劇場も合わせられますから。

投稿: T.T | 2014年3月 5日 (水) 08時43分

おお!カペル橋ではないか。なに!焼失?ええ?放火?狂ったヤツはどこにもいるんですね。私もお約束のスイス観光をしてきました。faurebramsさんもご同輩なんですね。うれしい^^
ワグナーの家も見てきました。夜はおなじみのチーズフォンデュを食べながらビールでした。アルペンホルンの演奏があり、酔った仲間に暴力的に推薦され私も演奏してきた思い出があります。若かった。20代でした。
今となっては、妻に同様の旅行を提案しても全く相手にされず、子供が中2、高2になったら行こうと、今から少しずつ内緒の貯金をしています。ああ!しかしその日は本当に来るのだろうか。ブログのタイトルのごとく、オランダ人のように成就の日を待ってさまよっています。

投稿: モナコ命 | 2014年3月 5日 (水) 09時25分

faurebrahmsさん、こんにちは。
同じ年の
新婚旅行に、同じような思いだったのですね。

当時は、アンカレッジ経由でしたから、同時に数時間ですが、初アメリカを体験しました。
空港の待合室にいた、大きな北極熊のはく製を覚えてます。

投稿: yokochan | 2014年3月 6日 (木) 09時34分

T.Tさん、今年のルツェルンは、急場しのぎですから、ネルソンスしか空いてなかったのだろうと思います。
返す返すも、アバドの新ブラームス・チクルスが実現しなかったことが残念です。

ルツェルン祝祭管は、今後、多様な指揮者によって任されていくのでしょうか。
私的には、ハイティンクであれば文句なしです。
あとはムーティ。

夏のシーズンは、音楽祭巡りのみですから、うまくハウスのオペラが見れないのですね。
もう気力的に、海外は無理かもです・・・・

投稿: yokochan | 2014年3月 6日 (木) 09時40分

モナコ命さん、こんにちは。

みなさん、等しくルツェルンには、それぞれの思いでがおありなのですね。
カペル橋が消失したニュースを、朝のNHKで見たときは、愕然としましたが、見事復元されてます。
ヨーロッパ中世の数少ない木の遺産ですから、大事にして欲しいものです。

わたしは、ルツェルンで何を食べたのか?
まったく記憶がありませんが、翌日のジュネーヴでは、確かにフォンデュを食べてます。

しかし、家族と伴った場合、音楽会、それもワーグナーなんて、もってのほかと相成りますね。
バイロイトが、チンケな演出で魅力半減しましたので、国内で一生を終える予感大です(笑)。
モナコ命さんには、是非、上陸成就をして欲しいと願ってます。

投稿: yokochan | 2014年3月 6日 (木) 09時49分

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