弦楽四重奏によるロシア音楽~情熱と哀愁~
神奈川フィルのヴァイオリン奏者、平井さんが第1ヴァイオリンを担当する、弦楽四重奏のコンサートに行ってきました。
2度目のホ-ル「ラ・リール」。
昨年は、同じ神奈フィルのチェロ奏者、迫本さんのコンサートでした。
きれいに響くホールで、拡散しすぎず、むしろ音に芯があって、リアルに耳に届きつつ、4つの楽器が美しくブレンドしてました。
土曜の午後、桜もほころび、外はうららかな陽気。
ごらんのように、中庭が窓の外に見えて、とても気持ちがいいコンサートなのでした。
ハイドン 弦楽四重奏曲「ロシア四重奏曲第2番 冗談」
ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲第8番 ハ短調
ライオネル・バート 「ロシアより愛をこめて」
ショスタコーヴィチ 「ポルカ」
ボロディン 弦楽四重奏曲第1番、1・2楽章
チャイコフスキー 弦楽四重奏曲第1番~アンダンテ・カンタービレ
ロシアより愛を込めて ~ アンコール
ヴァイオリン:平井 茉莉 ヴァイオリン:森垣 悠美
ヴィオラ :佐藤 裕子 チェロ :柳本 直子
(2014.3.29 @ラ リール 文京区大塚)
ロシアに関連づけられた演目ばかり。
爽快、洒脱、濃厚、悲観、楽観、自然感、ロマン・・・。
あらゆる要素が入り混じったのがロシアの音楽。
若い4人の女性奏者たちによるカルテットは、そんな、ロシアン・ムードを溌剌と表出しきってまして、聴いてて、拝見してて、とっても眩しかった。
①初聴きのハイドンの「冗談」
春の暖かさに気持ちがほぐれ、終楽章まで爽快に。
でも、最後は、平井さんのフェイント攻撃にはまり、拍手しちまいました。
というのも、ハイドンさまの、いたずら心が終楽章に仕込まれていて、休止で終ったと思ったら、まだあった・・・
いつぞやの、神奈フィル音楽堂での「川瀬ハイドン90」でも、見事引っかかったワタクシなのでございました。
②大好きなタコ8
常套と引用の一杯詰まった、この8番の四重奏曲。
ふだんは、重苦しさと死の影、そして不可解さを常に持っていたこの曲。
今日の、明るい日差し溢れるホールで聴く、若い彼女たちの感性の前に、ショスタコの惜別の念の音楽は、どこか明るい未来志向へと変わった感がありました。
はなはだ、勝手な思いでしたが、ショスタコ演奏は、こうして、いろいろあり、なんでもありと、思った次第。
この曲をやりたかったとの、森垣さん。
ほんと、インパクトある音楽です。
作曲者の名前が、音符に織り込まれ、終始登場するフレーズも明快。
第10交響曲で、完全織り込み済み。
それとチェロ協奏曲や、マクベス夫人の虚しい旋律。
楽しかった。
③THE OO7
ロシアンです。かっチョよかった。
④タコ・ポルカ
諧謔の見せかけの姿のピチカート。
これまた、楽しい~
⑤ボロディン~
「お~い、お茶」のCMで使われてた1楽章は、よく聴くけど、曲名が思いだせなかった曲でもあります。
その伸びやかな曲調にぴたりの演奏と、夜想曲の2楽章の夢想的なロマン。
平井さんに、きっとしみついている、美音の神奈フィルサウンドが、しっかりと聴かれました。
加えて、ほんと、いい曲だわ。
⑥チャイコ
こちらもメロディメーカーのご本尊様。
副主題の哀愁感が、とてもよし。
各楽器での橋渡しが美味。
美しい演奏でした。
このような、美しいサウンドで、ワタクシ、お酒を飲みたくなりました。
音楽界は、着実に、若い世代と女性へと流れが変わってます。
日本は問わず、世界のオーケストラを見てもそう。
わたくしのようなオジサンは、過去を懐かしむ前に、若い方々のフレッシュで、果敢な演奏に耳を傾け、忌憚なく聴き、素直に楽しむこと。
そのことを心に刻むべきなのでしょう。
すてきな演奏会を楽しみました。
拝見!
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