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2014年5月17日 (土)

神奈川フィルハーモニー第299回定期演奏会 現田茂夫指揮

Minatomirai20140516

来月をピークに、日も長くなってきましたね。

金曜は、遠来の客人が飛行機で飛ぶ前に、打ち合わせも兼ねて、夕方にちょっと一杯(実際は3杯)。

電車に乗って、しっかり睡眠で、気が付くと関内。

そこから、ハマスタを覗いて、主が今日はいないことを確認して、ぶらぶらと、みなとみらいホールへ。

5月の定期演奏会は、こうして始まりました。

Kanaphll_201405

   團 伊玖磨     交響組曲「アラビア紀行」

   モーツァルト    ヴァイオリン協奏曲第4番 ニ長調 K218

                 Vn:崎谷 直人

   ドヴォルザーク  交響曲第7番 ニ短調

     現田 茂夫 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

                 (2014.5.16@みなとみらいホール)



5月の新緑の季節には、いつも現田さんが帰ってくる。
去年はヴェルディ、一昨年はワーグナー、そして今年はドヴォルザークがメイン。

この曲の配列をみて、当初は、短めのプロだな、早めに終わりそうだから、たくさん飲めるぞ・・・、なんて思っていた自分。

ところが、いざ終わってみると、21時30分。
「アラビア紀行」を甘く見過ぎていました。
まさに、親方たちをさげすんではならぬ、のザックスいわく、神奈川所縁の團先生をあなどってはならぬ、という思いに満たされました。

團先生は、今年生誕90年で、一夜明けた本日5月17日が御命日。
「夕鶴」「ひかりごけ」などのオペラを何度も指揮している現田さんは、團作品のプロフェッショナル。
2006年1月に、この「アラビア」と、「シェエラザード」というエキゾチックプログラムをやってますが、この少しあとから神奈フィルを聴きだしたので、わたくしは、初「アラビア」でした。

①「回教寺」、②「河」、③「遊牧民」、④「遺跡」、⑤「祭礼風舞曲」

5つの部分からなる、演奏時間38分の大曲。

打楽器、鍵盤楽器も勢ぞろいの、ゴージャス極まりない、まさにオール東洋といった感じの各曲で、これまたゴージャス好きの現田さんにぴったり。

  
それぞれ面白かったけれど、悠久を感じさせ、オーボエ3女性が活躍の②「河」と、バルトーク風のミステリアスな④「遺跡」では、ヴァイオリンの分奏が見ていて不思議。
そして、お祭り⑤「祭礼風舞曲」は、聴いてる、こちとらも体をゆすぶりたくなる感じで、むしろ「和テイスト」の原初的なリズムに快感。
最後に、①冒頭の部分(たぶん)が回顧されて、盛大に終了。

面白かったです。
このコンビで、團シリーズなんぞ、ナクソス録音して欲しいですね。

2曲目は、がらりと変わってモーツァルト。

新コンマス、崎谷さんのソロ。若いけれど、豊富な経験と輝かしい経歴の崎谷さん。
室内楽に秀でる、期待のコンマスなんです。

最初は硬かったけれど、暖かい仲間のバックに囲まれ、すぐにほぐれて、リラックスして曲に溶け込むようにして演奏する崎谷さん。
その語り口は、とても自然で、音色は、繊細でピュア。
1楽章の技巧的な場面では、アグレッシブさも。
そしてどんな静かな場面でも、一音一音がホールにしっかり響いていて、明快そのものでした。
ヨアヒム作のカデンツァが、こんなに立派に、しかもモーツァルトの本作に溶けあってるのも、実に気持ちのいいものだ。
ということで、文句なしの崎谷さん、神奈フィル・ソロデビューでした。
 現田さん指揮するオーケストラは、音をしっかり抑え、ソロをマイルドに取り巻くような優しいバックでした。こんな、ソット・ヴォーチェ・モーツァルトも悪くない。

そして、耳にさらに優しく届いたのが、アンコールのハイドンの四重奏。
モーツァルトとばかり思いつつ聴いてしまいましたが、いい曲、いい演奏、そしてそれを微笑みながら聴いているわれわれ聴衆に、オーケストラの皆さんでした。

後半は、ドヴォルザークで、時計は8時45分。

8・9番は、聴けば確かにいいと思うけれど、ふだん聴くには、5~7番かな。
メロディアスな旋律が、次々に飛び出してくるドヴィルザーク・サウンド満載の曲なんです。
これもまた、現田さん向きの作品でありまして、さらに、神奈川フィル本来のキラキラ系の美音を、さりげなく、くすぐるようにして引き出す指揮者ですから、悪かろうはずがありません。
コクや深み、民族臭、そのあたりとは無縁かもしれませんが、ワタクシは、こんな輝かしい神奈川フィルの音が好きだったんです。
指揮棒を持たなくなった現田さんは、その分、音楽に細やかな表情がついてきたような気がします。
先にあげた、懐かしくも親しいいくつものきれいなフレーズを、こんな風に気持ちよく聴けたのも久しぶりでした。
ことに第2楽章は、絶品でした。
ボヘミアの情景ならぬ、日本の田舎の田園風景を思って聴いたのですから。
素敵なスケルツォのあと、アタッカで始めた終楽章の勇壮な盛り上げも巧みなもので、ティンパニの神戸さんの一撃も見事に決まったフィナーレなのでした。

若い奏者のみなさんも、しっかり馴染んで、お互いが知り尽くした指揮者とオーケストラ。
聴くわれわれも、すっかり馴染んだ自宅でくつろぐ感があって、ほんとうにほのぼのとした気持ちになりました。

次は10月の「千人の交響曲」がこのコンビ。

そして次回300回記念定期は、若いシェフ、川瀬さんの「復活」です。

来週も音楽堂で、宮本さんの指揮で、ハイドンとビゼーにズッキーことファゴットの鈴木さんでモーツァルト。

まいど、こんなに近くに感じて、楽しませてくれるオーケストラはありませんぜ。

神奈川フィルを聴きに、みなさんも横浜へGO!

Seiryumon_20140516

先月も忙しかったけれど、今回も短時間集中飲食懇親会。

楽団から、中崎さんにもお越しいただき、久しぶりの台湾料理のお店。

ビールおいしい。

Seiryumon_20140516a

具だくさんのチャーハンはいつも美味しかったけど、今回は、あんかけチャーハンでしたよ。
エビ・カニ、たっぷり。

これもまた、コンサートの楽しみ。

みんなで、さっきのコンサートのことや、神奈川フィルのこと、世間のことなどなど、語って飲むんです。

こちらにも、どうぞ、みなさまお越しくださいませ。  

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