神奈川フィルハーモニー音楽堂シリーズ第1回定期演奏会 宮本文昭指揮
こちらは、前回、みなとみらい定期のときに撮った1枚。
桜木町駅の陸橋から。
ここからの眺めもいいもんです。夜もきれいです。
ハイドン 交響曲第1番 ニ長調
モーツァルト ファゴット協奏曲
バッハ 無伴奏チェロ組曲第1番~クーラント、ファゴット版(アンコール)
Fg:鈴木 一成
ビゼー 小組曲「子供の遊び」から
行進曲、二重奏、ギャロップ
交響曲 ハ長調
宮本 文昭 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
(2014.5.24 @神奈川県立音楽堂)
先週に引き続いて、神奈川フィル。
今度は、古典と、古典の形式をまとったロマン派作品を。
シュナイトさん時代から、この音楽堂で聴いてきた古典・ロマン派の印象深い演奏の数々。今回、自分のなかで、また忘れられない演奏会がうまれました。
それは、宮本さんの、集中力の高い指揮ぶりに、オーケストラがまともに反応し、まさに、オケも聴き手も、みんな乗せられてしまった感があったからなのです。
初めて聴いたハイドン1番。
カワイイ曲ですよ、と数日前の記事にコメントを頂戴してましたが、たしかに。
15分あまりのサイズもそうですが、100曲以上にのぼるハイドンシンフォニーの原点が、このようにさりげなく、慎ましく若書き的存在であったことが、妙にうれしかったんです。
このような曲でも、気合のこもった宮本さんの指揮ぶりに目が離せません。
生き生きハツラツ、ピリオドじゃなくたって、こんなに弾みのいい音楽が引き出せる。
第1と第2ヴァイオリンのトップの掛け合いも面白かった。
さて、2番はどうなってんだろ・・・・。
ついで、ズッキーこと鈴木一成さんのファゴット協奏曲。
思えば、この曲も演奏会では初めて聴く。
まじまじと楽器を拝見すればするほど、その演奏姿も含めてユニークな楽器であります。
オーケストラに拮抗してのソロとなると、なかなか難しい楽器なのでしょうが、そこはさすがにアマデウス様。
大きな音のでる楽器は登場せず、優しく包み込むような、あたたかいオーケストラです。
まさに、そんな感じの、みんなにこにこした仲間たちに囲まれて、鈴木さんは、堂々とした演奏ぶりでした。
ファゴットというと、ユーモラスで、ちょっともったり系の楽器のイメージがあるんですが、そうした印象は、少し感じさせながらも、思わぬ俊敏さを見せたり、清らかな抒情を感じさせたりと、いろんな側面を引き出したモーツァルトの腕前。
そしてこの曲のいいところを、まったくそのまま引き出した鈴木さんのソロは、どこもかしこも万全で、この楽器が自分の体の一部のように一体化しているみたいでした。
若いのに、音が練れていて、不完全なところがどこにもなく、何度も書きますが、モーツァルトのいいところが、そのままそこにあった、という感じでした。
残念なのは、1楽章のカデンツァに、さぁ入らんとしたとき、彼のほぼ眼前で携帯が鳴り響いてしまいました・・・。
ホール全体がびっくりの瞬間でしたが、2楽章以降、なにごともなかったかのように演奏を貫いたステージ上のみなさん、素敵すぎでした。
後半は、ホールに南欧の風が吹いた楽しいビゼー。
陽気のいい昼下がりにビゼー。なんて贅沢なんでしょ。
お隣の仲のよさそうな年配のご夫婦、横目でみたら、ご主人はこっくりと。
そんな気持ちもよくわかる、気持ちのよいビセー。
「子供の遊び」の、二重奏は、子供たちの夫婦きどりのおままごとの様子ですが、ほんと優しい音楽に、かなフィルのしなやかな弦楽器の音色にございました。
一転、元気良いギャロップは痛快でしたね。
そして、交響曲ハ長調。
調和のハ長は、耳に明るさと心地よさを届けてくれます。
全力全霊の宮本さんの指揮は、この曲に来てピークに達しました。
どんどん耳に飛び込んでくる元気なフレーズでホールが満たされた第1楽章。
第2楽章は、オーボエの優しく哀調あふれる旋律が魅力。
古山さんのソロは美しくきまりましたし、先輩鈴木さんの合いの手の相変わらず素敵。
その後の連綿たる弦楽器の展開に、わたくしは、「カルメン」の花の歌を思いまして、やはりビゼーは、オペラの人なんだなと確認した次第です。
そのあたりの、こうしてくれぇ~的な、宮本さんの熱い指揮ぶりに、かなフィルの美音は、ここでも炸裂しておりました。
元気のいいスケルツォに続いて、快速テンポをとった終楽章では、興奮を覚えました。
ビゼーの交響曲に興奮してしまうなんて、自分としては、思ってもみないことでしたね。
それだけ、集中と一生懸命、全力投球の宮本さんの指揮姿にほだされたわけであります。
みなさん、顔を合わせあい、にこっとしたり、ともかく演奏してて、きっと気持ちがいいんだろうなぁ、と観察する、わたくしも頬が緩みっぱなしのビゼーにございました。
宮本さんが載った指揮台が、ビゼーでは、斜め左方向、すなわち第1ヴァイオリン側に、少しづつ動き出し、接近していったことを、ここにご報告しておきます。
もっと長い曲だったら、どうなっていたでしょう(笑)。
神奈川フィルとの相性もよさそうな宮本さん。
また登場していただきたいところですが・・・。
音楽堂のあとの楽しみは、「野毛」進攻であります、ハイ。
小さいお店が多いけれど、路地路地に、いいお店がたくさん。
こんなのつまんじゃいました。
美しい〆さばをば、ぱくり。
もうそれこそ、数か月ぶりの日本酒。
いい音楽会に、おいしい肴とお酒。
ここまでが演奏会の流れとしてのひとくくり。
ご一緒いただけた皆さん、お世話になりました。
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