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2014年5月20日 (火)

ウォルトン ヴァイオリン協奏曲 ケネディ&プレヴィン

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日差しの中は、暑いくらいですね、5月の陽光。

でも、木蔭へ入ると、ほんとに気持ちがいい。

夏は、どこもかしこも暑くてまいるけど、4、5月は、実に過ごしやすくてよろしい。

10,11月も同じく好きでありますな。

どちらも、英国音楽がお似合い。

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  ウォルトン  ヴァイオリン協奏曲

       Vn:ナイジェル・ケネディ

  アンドレ・プレヴィン指揮 ロンドン交響楽団

           (1987.7 @アビーロードスタジオ、ロンドン)


ウィリアム・ウォルトン(1902~1983)。

イングランド北西部マンチェスター州のオールダム生まれ、晩年はイタリアに居を構え、ナポリ湾に浮かぶイスキア島に80歳で没するのですが、その死は83年のことですから、いまだに記憶に残ってます。

その作品数は、作曲に慎重で筆が遅かったこともありますが、決して多くはないものの、広範なジャンルに渡っていて、交響曲、管弦楽曲、協奏曲、室内楽、器楽、オペラ、声楽、吹奏楽と、ほぼすべてに残しておりますし、映画音楽もあるんです。

有名どころでは、交響曲第1番と、スペクタクルな声楽曲「ペルシャザールの饗宴」があげられるほか、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのそれぞれ1曲づつの協奏曲も演奏頻度が高いです。

その作風は、時代を考えるとティペットなどにくらべると保守的で、大胆でカッコいいブリテンのシャープな音楽造りと、抒情的でメロディアス、そしてときに大胆な和声を聴かせるR・V=ウィリアムズなどのエッセンスをそれぞれ併せ持ったような感じです。
その響きは、ときにミステリアスで、陰りをおびることもあり、ときには、神々しいくらいに眩しく輝かしいこともありなんです。

一度ハマると、聴けばすぐウォルトンとわかるくらいに特徴がありますが、わたくしが聴いたウォルトンは、まだ半分もありませんので、今後、録音も増えていくことも合わせて期待したいところです。

ヴァイオリン協奏曲は、1939年の作。
ヤッシャ・ハイフェッツの委嘱により書かれ、ロジンスキーとクリーヴランド管との共演で初演。
さらに初レコードィングも、ハイフェッツによって、シンシナシティで行われてますが、ハイフェッツは、1943年にオーケストラ、ことに打楽器に手ををくわえた版も、作曲者自身の指揮により録音しております(1950)。
いまでは、一般に改訂版が演奏されております。

3つの楽章からなり、全曲は約30分。
アンダンテ・トランクィロの抒情的な第1楽章は、ふたつの主要な主題に泣かされます。
どちらも哀感と、クールなひんやり感あふれる忘れがたい旋律であります。
ヴァイオリンの技巧的なカデンツァにも引き込まれますね。
さすがは、ハイフェッツを前提に書かれた作品であります。

さてここで、この曲全体を覆う雰囲気なのですが、20年代後半から繁茂に訪れるようになったイタリアの陽光。それを感じることができるのです。
そのイタリアのまばゆい日の光と地中海の輝きとを愛したウォルトンは、のちに56年になって、イタリアに居を構えることとなります。

憂いに満ちた1楽章ではありますが、そのクールながらも透明感を感じますし、なんといっても、第2楽章のスケルツォが、ナポリターナ・カンツォネッタなのです。
陽気なわけではなく、そのリズムをたくみにモダンに処理しておりますし、ヴァイオリンの超絶ぶりも楽しいです。

3楽章は、ヴィヴァーチェで、オーケストラは、明るく開始。でも、ヴァイオリンソロは、リリカルな歌で応じます。
陽気さと、抒情的な歌とが交差しながら曲は進行し、耳が離せないほどに魅力的なのですが、最後のエンディングに近く、第1楽章の最初の哀愁に満ちた旋律が感動的にヴァイオリンによって奏され、聴く側はえもいわれぬ至福の結末感を味わうこととなります。

若かった頃のケネディと、まだ背中がピシっとしていたプレヴィンとの演奏は、悪かろうはずがありません。
ケネディさんには、当然ながら、妙にはじけたところもなく、いたく真摯に、この素敵な協奏曲に取り組んでいて、暖かな抒情が、プレヴィンのマイルドなオーケストラとともに魅力的でありました。
ほんというと、もっと鋭角にビシッとした切れ味も効かせて欲しかったりもしましたが・・・。

このケネディ盤と、ヘンデル、ベルを持ってますが、最近出たT・リトルも聴いてみたいですし、なんといっても、本家ハイフェッツを聴いたことがないのは、いけませんね。

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コメント

ハイ、yokochanさま~。お元気ですか~?

今回は、ウォルトンのヴァイオリン協奏曲ですねぇ~。ん~、正直ウォルトンは、僕もあまり聞いたことがないのですが~、スペクタクルでドラマチックな交響曲第1番や、渋いけれど憂愁溢れるヴィオラ協奏曲は何回か聞いたことがあります。

ヴァイオリン協奏曲に関しては~、以前CDでBBCラジオクラシック・シリーズが出た時に、ウォルトンも何枚か買いまして、確か~アイオナ・ブラウンさんのソロで聞いた覚えがあります。しかしながら、その時はあまり印象に残らず、そのCDも手離してしまいました。

それで今回、yokochanさまに触発されて、You-Tubeのアップ動画で~五嶋みどりさんのソロで聞いてみました。ん~確かに、貴殿のおっしゃるように~クールな透明感の中に独特の哀愁があって、カデンツァも技巧に富んで、なかなか聞き応えがありますねぇ~! おまけに五嶋みどりさんも入魂の演奏で素晴らしかった!

さて、yokochanさまのおっしゃられるように、この曲は~あの稀代のヴァイオリンの名手・ハイフェッツを前提に書かれたとのこと~。やはり、この協奏曲の初演者を抜きにしては、この曲を云々することは出来ないのでしょうね?

投稿: Warlock Field | 2014年5月22日 (木) 09時53分

Warlock Fieldさん、こんにちは。
ご返信遅くなりまして、申し訳ありません。

ウォルトンは、ティペットよりは、保守的な様相があって聴きやすいのですが、それでも限られた曲しか聴いてないです。
先ごろ、歌曲集を入手しましたので、じっくり聴いてみたいと思ってます。
あと、全然、顧みられない第2交響曲も。

みどりさんの弾くこの曲があるんですね。
さっそく、確認してみたいと思います。
日本女子では、諏訪内さんも録音しておりますし。

そして、新旧(改訂前後)のハイフェッツ、ことに、改訂前の方は是非、聴かなくてはと思ってます。
ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2014年5月24日 (土) 09時33分

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