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2014年6月19日 (木)

ビゼー 「カルメン」 デ・ブルゴス指揮

Red_rose_1

まだ開く前の真っ赤なバラ。

バラの花の、もしかしたら、一番美しい姿かも、と思ってます。

こんなの、妖艶な美女に投げられた日にゃ、おいらもう・・・・。

あ、いえいえ、いまは、男子が、女子に花は捧げるもんですな。

Redrose2

そのバラも、品種にもよりますが、やがて開いて大輪となり、芳香もふりまいて、そして、はらはらと散ってしまいます。

あぁ、哀しきバラよ。

酒と薔薇の日々は、長くは続かないと申しますし、ディーリアスの声楽作品、ダウソン詩の「日没の歌」にも、そう歌われてます・・・・。

Bizet_carmen_burgos

  ビゼー  歌劇 「カルメン」

 カルメン :グレース・バンブリー    ドン・ホセ:ジョン・ヴィッカース
 ミカエラ  :ミレルラ・フレーニ      エスカミーリョ:コースタス・パスカリス
 フラスキータ:エリアーネ・ルブリン   メルセデス:ヴィオリカ・コルテス
 ダンカイロ:ミシェル・トレフォン     レメンダード:アルベルト・フォリ
 モラーレス:クラウデ・モメーニ      ツニガ:ベルナルト・ゴンチャレンコ

 

 ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス指揮 パリ・オペラ座管弦楽団
                              パリ・オペラ座合唱団
                                木の十字架少年合唱団

                                                   (1969、70@サル・ワグラム、パリ)


今日もビゼー、そして「カルメン」。

誰もが知ってる、泣く子も黙る「カルメン」。

万人の知る「カルメン」のイメージは、爆発的な南国前奏曲に、かっちょええ「闘牛士の歌」、妖艶な「ハバネラ」。
これらに絞られるのではと、思います。

確かに、これらは、スペインと奔放な女性という、このオペラの持つ大きな要素をあらわすものなのです。

そして、同じように、このオペラの重要なモティーフは、前奏曲の後半の暗い運命をあらわす宿命動機。
それから、カルメンの正反対の女性、清純なミカエラの愛らしいアリアと、その存在。
そして、なにより、「花の歌」。
 ドン・ホセが、カルメンの強烈な目線に人生初めて会って、別な世界に目覚めてしまった。
その想いが、彼女が投げた一輪の花に集約されていて、ボクちゃんは、すべてを投げ打って、カルメンに夢中になっちゃった。
そして多情なカルメンの気持ちをつなごうと、愛を込めて歌うアリアがそれ。

「カルメン」という、あまりにポピュラーなオペラの持つドラマには、まっとうな男が道を踏み外し、故郷の母も恋人も捨て去り、アンダーグランドの住人となり、思いきり愛した女を殺害するまでの、人生踏み外し物語なんです。
ナイフによる殺傷という、ヴェリスモ的な結末を持つ、これまた血なまぐさいもの。

その半面を見ると、女主人公のカルメンの自由すぎる生き様。
単に、移り気な女性として描かれるだけじゃなくて、縛られることから常に離れていたい自由を謳歌するフリーダム人生。
そのためには、ドン・ホセの殺意すら自らを解放する一手段として受け止めたカルメン。
 そんな風に解釈し、演出もできる、そんなビゼーの描いたカルメンではなかったかと思います。

ですから、「アルルの女」のカップリングとしての管弦楽作品組曲では、とうていわからない「カルメン」の世界は、オペラ全曲を聴き観ることで理解できるものと思います。

しかも、かつてのギロー編のレシタティーボ版では、緊張感がなさすぎなので、いまや、コミーク版として、セリフ付きの劇的な上演や録音の方が、このオペラの本質に迫れるものとなってます。
スペインの風物ながら、フランス語なのも、思えば奇妙なのですが、そこは、天才ビゼーの素晴らしい筆。
匂い立つ音楽、旋律の数々、そして、そこに厳然としてある悲劇的な暗さ。
ほんと、完璧なオペラのひとつです。

今宵は、全曲を聴く時間がないので、要所を何度かにわたってツマミ聴き。

2度目のブログとなります音盤で。

先ごろ、癌のため80歳で逝去した、ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴスの指揮で。

デ・ブルゴスは、日本でもお馴染みの指揮者でしたが、わたくしは、一度も実演に接するこがなかったです。
読響を聴くことがあまりなかったからですし、ベルリン・ドイツ・オペラやウィーン響との来日でも聴かなかった。
 もったいないことをしましたが、デ・ブルゴスの来日で、一番印象に残ってるのが、フィルハーモニア管との来日のこと。
NHKの招聘だったので、テレビ・FM放送がありました。
万博以来の、名門フィルハーモニアの来日は、78年頃でしたか。
ムーティが指揮者だったころで、デ・ブルゴスの演目は、ディーリアスの「村のロメジュリ」、メンコン、ブラ2。

スペイン一色のイメージの強かったデ・ブルゴスが、実は、ラファエル・フリューベックというドイツ系でもあったということを、そのとき知りました。

ですから、その後の経歴も、スペインとドイツにポストを歴任したわけです。
ワーグナーも、ドイツ的に、しかも明晰に聴かせる名指揮者だったのですね。

このカルメンでは、パリのオペラ座の少し荒っぽいところもラテンの血でもって解放しつつ、スピーディな解釈でもってキリッと仕上げた全体像を造り上げてます。
本場ものとかはいいたくない、スマートな演奏ではないかと思いますね。

歌手はでこぼこありますが、一番しっくりくるのが、バンブリーのカルメンで、肉太・肉欲系の濃いカルメンじゃ、まったくなくって、贅肉少なめ、スポーティなカルメンに思いますがいかに。
同じく、フレーニのミカエラも、ミミ系のカワユサ。
 一方のホセ君のヴィッカースは粘着系、闘牛士は古風系、ということで少しアカンです。

ビゼーも、シューベルトやメンデルスゾーンのように、早世系の天才だったこと、ますます実感できます。

アバドが、ベルガンサととも施した、もっと優しく知的なカルメン像。
わたしには、いちばんの演奏でありますこと、最後に記しておきます。

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