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2014年6月 6日 (金)

チャイコフスキー 交響曲第5番 クルツ指揮

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6月の小便小僧クンは、傘をさしたり、レインコートを着たりという予測に反して、なんと野球のユニフォームをまとってましたよ!

そして、なんで、オリックスバッファローズなんだろ?

その答えは、吉田一将選手というピッチャーが、JR東日本出身の期待の大物だからなんです。

そして、いま交流戦の真っただ中ということで、在阪の球団も、首都圏のファンの目にとまりやすい、ということもあるんでしょうね。

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背番号14。

リアルなユニフォーム、素晴らしいです。

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 チャイコフスキー 交響曲第5番 ホ短調

   ジークフリート・クルツ指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団

                     (1978 @ドレスデン)


今月の月イチは、チャイ5です。

しかも、ドレスデンのチャイ5。

多くのドレスデン・ファンの聴き手から、絶賛されている名盤。

そのシュターツカペレを指揮するのは、ジークフリート・クルツです。

クルツは、CD音源も少なく、最近の方はその名前すら聞いたことがないかもしれませんが、ドレスデンの街とこのオケにとって、切ってもきれない間柄なんです。

1930年ドレスデン生まれ、最初はトランペット奏者としてスタートし、その後、指揮活動とともに、作曲家としても活動するようになります。
1960年頃から、ドレスデン・シュターツオーパーでオペラを中心にピットで大活躍。
その膨大なレパートリーは、ドイツものから、イタリア・フランス・ロシアと広範に及んでおりまして、70年代には、音楽総監督もつとめました。
ドレスデンとは、ずっと一貫した付き合いを保っておりまして、同時に、ベルリンのシュターツオーパーとも良好な関係を築いておりました。

まだ、存命中のようですが、東西ドイツの統一後の活動は、あまり報じられてないようです。

私がクルツを知ったのは、73年のドレスデンの初来日時に、ザンデルリンク、ブロムシュテットとともに、来日したときのこと。
NHKの放送は、ザンデルリンクのブラ1の演奏会を放送しましたが、このときのドレスデンは、いぶし銀の「ドイツの本物」という評価で、ドイツのオケといえば、西側のオケぐらいしか、登場してなかった日本に、驚きの感動を巻き起こしたものでした。
 その数年前に、ゲヴァントハウスがマズアとともに、やってきていたのですが、ドレスデンの感動は、その比ではなかったものでした。
 テレビでみた、ブラームスと、アンコールのオベロン序曲を、いまでもよく覚えてますよ。

そんな、ドレスデンを支えていたのが、クルツという職人のような指揮者だったのです。
ちなみに、そのときの来日では、「新世界」で、そのあとの、再来日となる78年には、このチャイコフスキーの5番を指揮しているんです。
 ベルリン・シュターツオーパーとの来日でも、スウィトナーとともに、何度も来演してますし、東独のオペラや、伴奏録音でも、よくみると、この人の名前は、意外なところで発見したりします。

 経験豊かなオペラ指揮者として、見た目は頑健なオヤジなのですが、その演奏解釈は、とても柔軟で、極端なことはせずに、自然な流れでもって、音楽をあるがままに聴かせるタイプに思います。
 ドレスデンが好む指揮者の、典型的なタイプではないかと。
ブロムシュテットや若杉さん、フォンクなどに通じます。

このチャイコフスキーも、全体を、インテンポで、すっきりとおしとおし、オーケストラの持つ力と魅力を、さりげなく自然に引き出すことに成功してます。
 かといって、武骨だったり、愛想が悪かったりすることはなく、出てくる音のひとつひとつが、チャイコフスキーのメロディにしっかり奉仕するように、完璧なまでの表現性を備えているんです。
こんなに、どこにも不満のないチャイ5って、自分にとっても珍しいです。
大仰にならない、慎ましさも、これまた微笑ましく、聴きあきない良さがありますし。
最後のフィナーレも、テンポを崩さずに、普通に終わるけれど、充実した音が目一杯詰まっていいるので、大いなる感銘を受けることが約束されております。

このクルツの指揮を得て、いわゆる、ドレスデンで、みなさまが思い描く音色や響きが、100%堪能できます。
分厚いけれど、しなやかな弦に、うなる低弦。
甘く、マイルドな木管に、うるさくないブリリアントな金管。
そして、なによりも、ダムのいるホルン・セクションの素晴らしさ。
オケが、どんなになっても、ホルンを聴き分けることができるし、聴いたことのないようなフレーズがちゃんと聴こえる。
2楽章の質感のよい、甘さも備えたソロには泣かされます。

誉めちぎりがすぎますか。

わたくしは、ここ数年、これを1度聴くと、3回は繰り返し聴いちゃいます。

いい演奏ですよ、これは。

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コメント

この演奏、仰るように2楽章のホルンはじめ、本当に良いです。東側時代のドレスデンの音がすると思います。

投稿: faurebrahms | 2014年6月 6日 (金) 23時27分

faurebrahmsさん、こんにちは。
やはり、お聴きでしたか、この演奏。
いまのドレスデンでは、失われた「ドレスデン」の響きがしますね。
そんな、ドレスデンは、スゥイトナーとブロムシュテットまででした。

投稿: yokochan | 2014年6月 7日 (土) 22時48分

1991年 ベルリン国立歌劇場日本来日公演。まず、オットマール・スイトナーが引退して来日しなくて、結局、指揮者陣でまともに普通に来日したのは、ハインツ・フリッケだけでは。

ジークフリート・クルツがオットマール・スイトナー指揮の”魔弾の射手”振るといって結局来なかった。


1991年、ベルリン国立歌劇場の指揮者陣として、ジークフリート・クルツを覚えているのでけど、どうでしたっけ。

ハインツ・フリッケ指揮の”トリスタンとイゾルデ”がNHK教育TV でも放送されて。

何かが根底から壊れていたベルリン国立歌劇場の指揮者の1人として覚えています。

ジークフリート・クルツ という指揮者のことを。

4演目中、トリスタン以外S券28000円の時代でしたね。

投稿: T.T | 2014年6月13日 (金) 19時18分

T.Tさん、こんにちは。

フリッケさんとクルツさんは、どうも見た目も似てたような気がするし、ついつい混同してしまいますね。

ベルリンと来たときは、何を指揮したか不明ですが、モーツァルトやフィデリオではなかったかと・・。

あとフリッケさんのトリスタンは、NHKホールで観劇しました。
あんまり記憶がないですが、舞台が赤い布(イゾルデの衣裳)だらけだったような・・・・

投稿: yokochan | 2014年6月14日 (土) 11時23分

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