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2014年6月 9日 (月)

ワーグナー 「森のささやき」 テンシュテット指揮

Forest

緑茂る森の景色。

遠景は、丹沢山系、大山です。

雨は嫌だけど、ある程度降らないと、夏が心配だし、緑も褪せたような色で夏を迎えることになっちゃう。

今日、首都圏は梅雨の晴れ間も広がりましたが、夜はまた雨。

Tennnstedt_1

  ワーグナー 楽劇「ジークフリート」から「森のささやき」

   クラウス・テンシュテット指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

     
           
                        (1980.10@ベルリン)


森を描いた音楽をまた聴きます。

こちらは、オペラの中の一節を抜き出して、管弦楽作品としたもの。

オペラには、「森」の場面が、とても多く出てきます。

思い出しただけでも、「魔弾の射手」、「ジークフリート」、「ヘンゼルとグレーテル」、「マクベス」、「ファルスタッフ」、「ルサルカ」、「利口な女狐の物語」、「真夏の夜の夢」・・・・、などなど。

こうして見ると、ロマン派と民族楽派、それからシェイクスピアであります。

ロシア・フランスは、少なめ。

森は、立派な登場人物と化してるんです。

いろんな、ロマンティックな物語を生みだしてきたのが、「森」とそのイメージなんですね。

ワーグナーのこちらは、ご存知、「ニーベルングの指環」4部作の3つめ。
大作のヒーローでもある、ジークフリートの青春時代と、大人になりかけまでの物語を描きますが、その舞台は、大半が「森」と、そして「山の頂き」。

自然児のジークフリート君が、自分と似ても似つかない醜い育ての親ミーメが自分の父親じゃないことを知り、ある意味安心し、自分の命とひきかえに死んでいった母ジークリーンでのこと、そして女性への憧れを歌います。

「ラインの黄金」で現れた美の神フライアのモティーフも登場し、母と女性への想いをあらわします。
そして、木管たちは、森の小鳥たちのさえずりを、楽しげに、優しげに歌います。

こんな場面を聴くと、ワーグナーの筆の冴えは、ほんとうにスゴイものだと思いますね。

本編では、小鳥たちへの歌のお返しに、草笛を造って吹きますが、てんでダメ。
代わりに、お得意の角笛を吹きならしますが、その高らかな角笛(ホルン)は、森に眠れる大蛇(ファフナー)を起こしてしまうことになるんです。
その後は、決闘。

オーケストラピースとしては、ここが省略されて、2幕の最後の場面へと接続されます。
大蛇を倒して、その血を浴びて、口に含んだとたん、小鳥たちの声が聴き分けられるようになり、なんと、彼女は、山のてっぺんに眠る美女ブリュンヒルデのもとへと、導くのであります。
 歓喜して、育った森から元気よく飛び出すジークフリートを、音楽は快活に明るく盛りあげ後押しして閉じます。

悲劇と謀略の渦巻く「リング」にあって、この第2幕の終わりと、第3幕のみが、ハッピーな内容になってます。

数多く出てる、「リング」の管弦楽曲集。

オーケストラのすごさと、いま聴けば、やっぱり本物だったテンシュテットの指揮とあいまった、こちらの1枚がいい。
カラヤンもいた時代ですが、アバド就任前の、ドイツのオケ、っていう見事な鳴りっぷり。
 テンシュテットが亡くなって、もう16年も経つけれど、しがらみのないロンドンでの活動は、居心地がよかったかもしれないけれど、ドイツのオケにポストを持って欲しかった。
ゲヴァントハウスとか、ドレスデン、バイエルンとかね。。。

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コメント

yokochanさんへ

テンシュテットも聴かれるんですか、
てっきりアバドだけかと思っていました。
アバド好きの人がテンシュテットも聴くというのは珍しいですね。
テンシュテットはアバドとは全くタイプ違う指揮者ですから。

私はテンシュテットが大好きでした。
1984年と1988年の日本公演は東京での公演を全部と神奈川公演や千葉公演も全てのコンサートを聴きに行きました。

生で聴いたテンシュテットは想像していたよりは職人的な面もありましたが、マーラーでのファンタジー溢れる演奏やワーグナーでの堂々たる巨匠的な演奏は忘れられません。
テンシュテットこそは次世代の巨匠だと強く思ったものです。
残念ながらテンシュテットは病に倒れてしまいましたが、生きていれば間違いなく次世代のドイツ音楽の巨匠になっていたと思います。
ファンサービスという面でも飾り気がなくファンには誠実な対応をしてくれた心優しい素晴らしい人でした。

投稿: マッキー | 2014年6月10日 (火) 07時50分

マッキーさん、こんにちは。
テンシュテットは、デビュー時からしばらくは聴きまくりました。
当時、マーラーブームに乗り、全集の初CDも数万円で予約購入。

しかし、その後、急速に冷めてしまい、聴かなくなりました。
唯一の例外は、ワーグナーとシュトラウスです。

今回、久しぶりに聴いて、当時の感銘もよみがえりました。
ワーグナーと、オペラ作品は、素晴らしい指揮者です。

この際、マーラー全集を、チョイスして聴いてみようかとも思ってます。

それにしても、マッキーさんは、テンシュテットを数々聴かれてるのですね。
素晴らしいです。

もう少し健在だったらと、わたしも思ってます。
オペラ音源などが発掘される日を待ち望んでます。
ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2014年6月12日 (木) 00時42分

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