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2014年7月17日 (木)

ブルックナー 交響曲第5番 マゼール指揮

Maazel_wienerpo

マゼールと結びつきの強かった音楽都市のひとつは、ウィーン。

ウィーンフィルハーモニーとは、デッカの初期録音から、ずっとわたくしたちに馴染みのあるものでしたね。

思い出すだけでも、指がいくつあっても足りないくらいに、ウィーンとは数多くの録音を残してます。

ウィーンフィルとは、何度も来日してますが、最初が80年で、そのときはテレビ観劇。
田園と第5という、やたらと定番のプロを、NHKホールからの生放送で聴きました。
後日、ウィーンでの未完成とともに、このときの第5は、正規に発売されております。

その次の83年の来日公演を聴くことができました。
シューベルトとマーラーの5番のプログラム。
マーラーは、その当時のマーラー熱もあって、忘れることのできない凄演奏でしたが、シューベルトも、弾むような心意気のよい、清々しい演奏だったのです。
休憩中に、あの楽しい雰囲気の終楽章を口ずさんでいた人がいたのを、いまでも覚えてますよ。

そのあと、86年にもこのコンビはやってきて、チャイコの5番をメインとしたツアーでした。
これは聴くことができませんでしたが、ウィーンフィルが日本で自国もの以外の、ましてチャイコをやった初の機会だったかもしれません。

アバドのベルリン就任で、へそを曲げてしまったマゼールに、大人げなさと、アバドを揶揄する発言に怒りを覚えたわたくしは、それまで、マゼールを積極的に聴いてきたのに、裏切られたようで、以来、オペラを除いてあまり聴かなくなってしまったんです。

そのあたりまでの来演演目でお気づきのとおり、なぜか、「5番」ばかりなんです。

ベートーヴェン、シューベルト、チャイコフスキー、マーラー。

そして、ウィーンフィルとのコンビで、忘れてはならない名品が、ブルックナーの5番なのであります。

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   ブルックナー  交響曲第5番 変ロ長調

  ロリン・マゼール指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

                    (1974.3 @ウィーン、ゾフィエンザール)


ジョージ・セルのあと、クリーヴランド管を救い、最高のコンビネーションを生んだアメリカでのポストを持ちつつ、ウィーンでも継続的な活動が進行していたマゼール。

当時、専属だったデッカ=ロンドンチームの優秀録音のイメージも加わり、華やかな活動が目立った70年代のマゼールです。

この時代のマゼール、すなわち、クリーヴランドを中心に、ウィーンとロンドン、パリの録音が、実は、わたくしは一番好きなのです。

40歳代の血気あふれるマゼールの、完璧な棒さばきと、オーケストラを強引なまでに我がものとしてしまう、強靱な意思とその力。

どのオーケストラも、マゼールの指揮に、魔法がかかったかのようになってしまい、マゼールの世界に奉仕してしまってます。

あのウィーンフィルが、アバドのもとでは、自由自在に、のびのびとふるまっていたのに。
ベームのもとでは、ガチガチになりつつも、優美なモーツァルトを演奏してたのに。

かの有名なマゼールとの「ハルサイ」のキテレツてきなおもろさは、ハルサイ史上、いまもってナンバーワンだと思います。

その彼らの同時期のブルックナーは、これまた、新鮮きわまりない果実の甘みも、苦みも、ともどもに味わえる雰囲気豊かな名演なのでした。

ブルックナーの交響曲のなかでも、硬派な形式を持ち、禁欲的な宗教観も背景に感じさせる荘厳な作品。
ですが、そればかりでは、堅苦しくガチガチの演奏になりがちなのですが、マゼール&ウィーンフィルは、先にも書きましたような甘味さも含めせながら、明るく伸びやかなユニークな5番を造り上げました。

全体の構成と、かっちりした様式をしっかりと踏まえ、ブルックナーならではの、横へ横へ伸びてゆく旋律線を、ブツ切れにならないように、しっかり聴かせる。
リズミカルな場面も、生き生きとした味わいにあふれてる。
ドラマティックな展開も、急くことなく、堂々としている。
でも、細かなまでに、表情づけが豊か。
デフォルトする場面は少なめで、あくまで全体に流れはナチュラル。

そんな、ブル5に仕上がってます。

バイエルンとのブルックナー全集は、ひとつも聴いてませんが、こちらのウィーンでの5番は、きっとマゼールのブルックナーの一番の演奏ではないかと、確信してます。

Maazel_po

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コメント

ブログを読ませていただいている時、部屋に流れていたのはマゼールのブルックナー5番VPOでした。どちらかというとブルックナーよりマーラーに向くマゼールの音楽性ですが、この演奏はいいですね。変に重々しくならず透明感を大切にした演奏ですね。クリーブランド管弦楽団との相性がよかったのもよくわかります。彼らとのプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」も忘れられない演奏です。またLPで耳にしたデッカの素晴らしい録音も最高でした。大活躍する打楽器、咆哮するホルン、艶やかなトランペットソロ、名演を余すところなく捉えた銘録音でした。次はこれを聴くことにしています。

投稿: ornellaia | 2014年7月18日 (金) 12時03分

クラヲタ様の記事を読み、当該CDを引っ張り出してきて聴きました。デッカによるVPOの艶ある録音、マゼールの随所の味付けと全体構成の良さ、素直ではないけれども素晴らしいです。
尚、7月30日頃発売されるV P Oとの9枚組チャイコフスキーとシベリウスも、絶品です。

投稿: faurebrahms | 2014年7月19日 (土) 06時18分

ornellaiaさん、こんにちは。
バイエルンで全曲残してますが、ちょっとだけ興味があります。
でも、むしろニューヨークでのマーラー全集をダウンロード音源でなく、CD化で残して欲しいと思います。

そして、このウィーンでのブル5。
ほんといいですね。
今回、ひさしぶりに3度も繰り返し聴いてしまいました。

クリーヴランドでのプロコフィエフは、同時期に出たプレヴィンに飛びついてしまいましたので、出た当時、FMで部分的に聴いたのみで、いまに至るまで全曲聴いてません。
これを機に、入手しようと思います。
しかし、デッカのクリーヴランド録音は、ほんとにいい音でしたね。

投稿: yokochan | 2014年7月19日 (土) 18時18分

faurebrahmsさん、こんにちは。
レコード発売時、2枚組のずっしりした音盤は、いまや1000円でおつりがくるくらいの1CDとなりましたが、鮮明なことにかけては、変わりありませんね。
面白い演奏であり、デッカの優秀録音も冴えてます。

チャイコフスキーとシベリウスは、いまにいたるまで、ひとつも手にしたことがなく、聴いたこともありません。
これまた、これを機に、最新のものをねらってみようと思ってます。

投稿: yokochan | 2014年7月19日 (土) 18時27分

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