マーラー 交響曲第1番「巨人」 ドゥダメル指揮
真夏の夜の東京タワー。
何度もいいますが、墨田のスカイツリーより、こっちの方が、何十倍も好きだし、美しい。
撮影スポットもだいぶ極めてきました。
ここは、電線がキモですが、春には桜と一緒に撮れる場所なんです。
そして、ここには、オープンスペースのバーが出来てました。
ほぼ、この景色を見ながらお酒が飲めちゃうみたい。
閉店準備中だったので、入れなかったけど。
マーラー 交響曲第1番「巨人」
グスターボ・ドゥダメル指揮 ロサンゼルス・フィルハーモニック管弦楽団
(2009.10.8@ウォルト・ディズニー・ホール、LA)
若いから、なんでもOK,ごんごん、行きなされ。
そんなイキのいいマーラーです。
何度も聴くと、鼻についてくるけれど、ライブだったら、初聴き音源だったら、きっとそう思って、聴き古したこの曲に、夢中になってしまう、そんな演奏。
1981年生まれ、33歳のベネズエラ生まれの指揮者、ドゥダメル。
ご存知のとおり、音楽新興国、中南米ベネズエラの音楽メソッドが生み出した希望の星。
その彼が、いまや若くして、クラシック音楽界、世界の希望の星へと短期間に昇りつめました。
その彼が持つポストは、母国のシモン・ボリバル・ユース・オケ、エーテボリ響にロスフィルです。
中南米に、北欧に、米西海岸ですよ。
ひっぱりだこのドゥダメル君、ロンドン、ミラノ、ウィーンフィル、ベルリンフィル・・・、もう世界制覇しちゃった感が強いです。
日本でも、すっかり認知され、手兵との熱狂的な来日のほか、スカラ座とも昨年。
ことしは、ウィーンフィルとともにやってくる。
若き日々の苦労生活が嘘のような、こんな順風満帆の音楽人生。
まさに、シンデレラストーリーですよ。
アバド、ラトル、バレンボイム、サロネンら、錚々たる先輩指揮者たちからも熱烈バックアップを受けてのことも、大いにプラスです。
思えば、われらが小澤さんも、西洋音楽の世界に切り込んだ、非欧米人としてのパイオニアでありました。
欧米中心の音楽界に切り込んだ小澤さんこそ、ドゥダメル君の大先輩でありましょう。
大巨匠がほぼ絶滅しつつあり、オーケストラ運営も厳しさが漂う。
一方で、世界的にみて、新興勢力のオーケストラが、その魅力と実力を開花させている。閉塞感漂う、従来の音楽界には、どうしてもスターが必要だし、ストーリーも必要。
ドゥダメル君に続いて、きっと、ほかの国々、ことに、隣国の大国からも、国の威信を背負った指揮者やオケが生まれてくるものと思われます。
そして、それにしてもどうだろう。
そうした演奏家やオケは、みんなそろって情熱的で爆発系。
中身は、あと付けか・・・・
かつて、日本の誇るN響が、海外に出ていったころ、精密な腕時計のような演奏ぶりと評価された。
そういうことなのだろう。
小澤さんや、若杉さんは、知的なバトンテクニックに裏づけられた説得力を持っていたのだから。
日本は先んじたけれど、ちょっと独特な地位を先に勝ち得た感じ。
ドゥダメル君は、爆演男子とずっと思っていて、正直、引きぎみだった。
でも、よくよく彼の指揮を、観て、聴いてみれば、至極まっとうで、どこにも機をてらったり、あざとい演出を施したりというところがなくて、本格派なのですね。
ビジュアルでいけば、イケイケ系のお姿なんだけど、その指揮ぶりは、師である、アバドやラトルのように、楽員を引きつける生真面目な表情と、的確なる拍子の取り方がまずは目につきます。
大ぶりは、その年ごろを考えたらしてません。
注目は、指揮台に生えたかのような両足が、微動だにしないこと。
地に足がついてます。
それでいて、左右、オケの全体を見渡す目力の強力さ。
確かに、指揮者であることのすべてを、持ってる、そんなドゥダメル君なんです。
昨年のスカラ座とのNHKの放送では、まったく慎重すぎて、面白みを感じなかったのですが、遡って、ロスフィル指揮者就任コンサートの4年前のマーラーでは、生き生きと鮮やかなドゥダメル君の姿がここにありました。
ロスフィルという軽やかかつ、明るく明晰なサウンドを持つオケは、ドゥダメルにはぴったりだと思います。
ここ1~2年で、世界のトップオケやオペラハウスに登場するようになったのですが、ここは、じっくり、ロスフィルとエーテボリで持って、英気を養って欲しいのです。
DGはなんで、ベルリンフィルとツァラトストラを録音させたり、ウィーンフィルとのライブも進めたりするんでしょう。
ロスフィルがあるじゃありませんか。
聴き手は、ロスフィルとのツァラを聴きたいんですよ。
メータとの比較をしたいんですよ。
音楽業界は、急かないで、このドゥダメル&ロスフィルの成長を見守り、記録していただきたい。
かつてのメータがそうであったように、ロスからステップアップして、ニューヨークかシカゴへ飛んで、そこから、ミラノやベルリンでいいじゃないか。
それだけ、人材不足なのかしらね。
ロスフィル音楽監督就任コンサートのライブのこちらは、緩急が鮮やかで、音は艶やか。
そして、ドラマテックな盛り上げは、ハンパなくすごい。
聴衆の熱狂ぶりも激しい。
でもさ、語りすぎの音楽も疲れるわ。
面白さ優先に、期せずしてなってるし・・・・。
それからすると、最近のドゥダメル君は、おとなしくなっちゃったかな??
アバドの後継者と思ってるから、じっくりと成長して欲しいな、ドゥダメル君よ。
ロスフィルの指揮者の選択は、ほんと、いいね。
2009年以降のドゥダメルは、非欧米のメータ時代の黄金時代を築いて欲しい。
そして、いまのアメリカのオケすべてにいえることは、日本人もいるけど、楽員の多くがアジア系なこと。
いずれも、ジュリアード系の腕っこきばかり。
こんなとこにも、クラシック音楽業界のいまの縮図を見る想い。
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