ブルッフ スコットランド幻想曲 ニコラ・ベネデッティ
もう何度も書いてます。
吾妻山の頂きにて。
ほんの15~20分くらいで、スニーカーひとつで、ひょいひょいと登れます。
途中、しんどい箇所はありますが、登れば視界がばっちり開け、富士山から、大山、相模湾まで、見渡すことができます。
わたくしの一番好きな場所であり、懐かしい場所でもあります。
この街に育ったわたくしは、幼稚園のときに遠足で登り、麓の小学校のときに、授業をはじめ、体育やなにかで、始終登ってました。
当時は、いまのように整備もされてなくて、メインはちょっと下にある吾妻神社で、頂上は、広場がちょこっとあるだけで、木々が茂って、見晴らし云々ではなかったように記憶します。
クラスで飼っていたウサギがいなくなって、放課後、みんなで、この山に探しに出ました。
猿にやられたとか、蛇が出たとか、いろんな証言があって、みんな必死でした。
勝手な、この行動に、知らなかった担任の若い先生は、教頭先生から大目玉。
大昔の話ですが、よく覚えてますよ。
懐かしいな~
ブルッフ スコットランド幻想曲
Vn:ニコラ・ベネデッティ
ロリー・マクドナルド指揮 BBCスコティッシュ交響楽団
(2014.1@グラスゴー)
ブルッフの音楽は、メロディアスで、どこか哀愁もただよい、こちらも懐かしさ満載。
>「スコットランド民謡を自由に用いた管弦楽とハープを伴なうヴァイオリンのための幻想曲」という長たらしい原題をもつ。
ロバート・バーンズが収集編纂したスコットランド・トラディショナルに感化されて書いた作品は、私にはまだ見ぬ英国高地地方、スコットランド地方の風景を思いおこさせる。
夢見るように遠くを眺めるようなロマンテックな音楽。
その音楽はまさにドイツ・ロマンティシズムであると同時に、英国独特の詩情にもあふれたみずみずしい桂曲。
前奏曲を入れて全5楽章、ときにしんみりと、ときに明るく快活に、そして終始ノスタルジックな音楽は、誰しも懐かしい故郷やまだ見ぬ懐かしい風景へとその思いをいざなってくれることだろう。<
以前の記事からそのまま引用しましたが、いまでもこれ以上の言葉はありません。
ドイツの音楽でありながら、スコットランドのテイストがたっぷり。
協奏曲第1番でもって、快活なブルッフを聴かせてくれていた、ニコラ・ベネデッティが4年ののちの今年に録音した「スコテッシュ・ファンタジー」は、明朗快活さはそのままに、しっとりと情感の豊かさも増して、自分の郷里の歌を奏でるかのようにして演奏しております。
スコットランド地方出身の彼女にとって、この曲は、まさに自国もの。
荘重な前奏のあと始まる第1楽章のノスタルジックな主題の心のこもった歌わせ方には、思わず涙が出そうになりました。
この旋律は、全曲に渡って、形を変えたりしてあらわれてきて、そのたびに、ほっとさせてくれる。
そのあたりのニコラさまの旋律の、いとおしみ方は、女性ならではの優しさと、若い感性のしなやかさでもって、とてもステキなのです。
元気のいい、一度聴いたら忘れられない終楽章においても、最後の最後に、ふっと立ち止まるように出てくるこの旋律にも、心動かされます。
緩徐楽章の3楽章も魅惑の歌に包まれておりますこと、申し添えます。
単なるビジュアル系の演奏者じゃない、本格派の彼女は、毎回、考え抜かれたアルバムを作りだしてきます。
ヴィヴァルディを中心とした「イタリア」に、銀幕に焦点を絞ったコルンゴルトのコンチェルトアルバム。
そして、今回は、スコットランドがテーマ。
解説書も彼女自身が執筆していて、いずれ国内盤を買い直そうかとも思うくらいの充実ぶり。
ニコラ自身のパーソナルな思いを、この1枚に集結させていると。
ふたつの異なる音楽、それは、ドイツの作曲家のスコッチと、スコットランド・ネイティブの音楽と。
後者は、自分が子供のときから、ずっと親しんできた音楽の世界。
こんな風に、語ってます。
そう、ブルッフをメインに、のこりはたっぷりと、スコットランドの音楽が詰め込まれてます。
バーンズのトラディショナルを中心に、わたしたち日本人が聴いても、どこか郷愁を覚える曲ばかり。
歌もあります、アコーディオンも、フィドルも奏でられ、ニコラのヴァイオリンとの競演もあります。
彼女の、FBとかツィッターをフォローしてますが、よくスコットランドに帰り、地元の人たちと演奏するのが楽しく書かれてます。
そう、このCDのタイトルは、「HOMECOMING」(帰郷)なのです。
ニコラたんの音盤に、ステキな1枚がまた加わりました。
過去記事
「チョー・リャン・リンのスコティッシュ」
「タスミン・リトルのスコテッシュ」
「ニコラのブルッフ」
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