ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」 プレヴィン指揮
芝浦から浜松町方面を望む。
休日ですので、オフィスビルの明かりは、ほとんどなく、マンションの明かりはちらほらあります。
江戸時代までは、ここは海。
運河がその名残であります。
ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」
アンドレ・プレヴィン指揮ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団
(1990.4.30 @ロイスホール、UCLA)
いわゆる「新世界」であります。
Fromが付いているから、「新世界より」とか、「から」とかになります。
そして、俗に言う、第9と呼ぶ方はまずはおりません。
とかなんとか書いてますが、これほどの有名曲になると、もうなにも書くことはありません。
この曲は、自分には、年末から正月にかけてのイメージがあって、何故かというと、小学生のときの、初レコードがこの曲でありまして、それは、親からのありがたいクリスマスプレゼントだったのです。
ケルテスとウィーンフィルの「新世界」と、カラヤンの「田園」、この2枚。
毎日毎日、その2枚のレコードしかありませんから、飽くことなく聴き続けた少年のワタクシ。
各種溢れかえる、音源は、いまやネットからのものも加わり、一度流しておしまい。
レコードをあれほど、大切に聴いた自分が、遠い存在のように感じます。
そんな思いもふまえて、ブログをやることの効能は、1枚のCDをじっくりと聴くという行為、そのものにも直結するということです。
さてさて、真夏の新世界、今宵は、アンドレ・プレヴィンのロスフィル時代の演奏で。
ジュリーニという大物がヨーロッパに去ったあとのロスフィルには、プレヴィンがやってきました。
1985年から89年の4年間ですが、ロスフィルの明るいサウンドには、プレヴィンはまさにお似合いで、ジュリーニ退任のあと、士気の落ちたこのオーケストラを、プレヴィンは見事立ち直らせて、フィリップスやテラークに多くの録音を残し、日本にもやってきました。
1楽章の繰り返しはなしで、演奏タイムは約41分。
そのわりに、テンポがゆったりめに感じるのは、プレヴィンらしく、丁寧にやさしく、音楽の隅々にいたるまで目を光らせているからでして、どこにも急いたところはなく、おっとりとした温和な演奏なのです。
懐かしさや、かっこいい旋律満載の超名曲ですが、こんな風な普通の温厚新世界があってもいいと思います。
旋律の歌わせ方も、いかにも優しいプレヴィンですよ。
聴き慣れた旋律の数々も、どこか新鮮に聴こえます。
埋もれてしまう各声部も、浮かび上がってきて、そちらも新鮮。
そして、第2楽章ラルゴのしみじみ演奏には泣かされました。
ことに、中間部の哀切あふれる歌い回しは、そうくるかって感じでたまりません。
聴き古した名曲も、いろんな発見を与えてくれる演奏で聴くのもまたいいことであります。
最近、プレヴィンの活動が聞かれないけど、もう85歳。
いつまでも元気にいて欲しいと思いますね。
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