ブラームス ルツェルン祝祭管弦楽団
ルツェルンのカペル橋。
そして、アバドの指揮姿と、ルツェルン祝祭管弦楽団のメンバーたち。
こちらは、2006年来日公演のゴージャスなプログラムから拝領いたしました。
亡きマエストロの創設スタートしたルツェルン祝祭管弦楽団のこの夏の演奏会がNHKで放送されました。
10年間、マーラーとその周辺の音楽をずっと取り上げ続けてきたアバドが、ブラームスのチクルスに取りかかろうとした2014年。
その意思を次いで、同じプログラムを引き継いだのが、アンドリス・ネルソンスでした。
ブラームス セレナード第2番 イ長調
アルト・ラプソディ
Ms:サラ・ミンガルト
交響曲第2番 ニ長調
アンドリス・ネルソンス指揮 ルツェルン祝祭管弦楽団
(2014.8.15.16 @ルツェルン)
いつもとほぼ同じルツェルンのメンバーに、お馴染みのホールの景色。
でも、指揮台には、アバドではなくネルソンス。
寂しいです。
そして、アバドの代役がネルソンスと発表されたときは、正直、がっかりしたものでした。
ハイティンクか、ムーティ、ヤンソンスがいいと、心の中で思っていましたから。
ネルソンスが受けたプログラムが、こちらの開幕コンサートと、ポリーニを独奏者とする、ピアノ協奏曲第1番と交響曲第3番。
おそらく、来年に、残りの協奏曲と交響曲を取り上げて、本来なら、アバド3度目のブラームス全集が完成するはずでしたのに・・・・・。
期待せずに聴きだしたネルソンスのブラームス。
これがまあ、いいじゃないですか。
全体を覆う大らかさは、このふたつの2番の作品にぴったりの雰囲気で、しかも、音楽の表情がとても生き生きとしいて、聴きなれたこれらの曲が、いま生まれたばかりの新鮮な感覚をもって聴こえてくる。
ネルソンスが、譜面から感じとった音楽が、この優秀なオーケストラから、そのまま出てきているみたい。
素晴らしかったのは、やはり交響曲のほう。
なかなかにたっぷりと鳴らしているものの、音楽は軽やかさを失わずに、音色も明るくて、若々しい。
アバドだったら、さらにもっと軽やかに歌いまくるかもしれなかった2番だけど、2楽章の思わぬ憂愁も悪くはない。かなりしっとりやってます。
そして、終楽章では、テンポアップの爆発は起こさず、音楽の流れに任せた自然な盛り上がりでもって、見事なフィナーレを築きあげました。
気持ちのいい第1楽章に代表されるように、ネルソンスの音楽作りは、息使いが自然で、抒情も劇性もそれぞれに、あるべき姿で表現され、無理がなく、気がつくと、こちらも彼の音楽に乗せられている感があります。
デビュー間もないころは、指揮姿がヤンソンスそっくりの、爆演系かと思いこんでいたら、そうでもなかった。
バイロイトでの「ローエングリン」は、あのヘンな演出だけど、音楽だけを聴くと、極めてまっとうで、美しい限りの演奏でありました。
歌い手や、演奏者も、きっとやりやすいであろうネルソンスの指揮なのです。
ですから、オペラが非常によろしい。
アバド亡き、ルツェルンの指揮台を、大先達の名に恥じぬ名演でもって飾ってくれたネルソンス、堂々の45分でした。
追悼コンサートでのマーラー3番も素晴らしかった。
今年のプロムスの放送で聴いた「戦争レクイエム」も緊張度の極めて高い名演だった。
ボストンでの活躍も、きっと約束されたようなものでしょう。
好調期に入ったと思われるネルソンス。
でも、ルツェルン祝祭管が今後、継続するとして、ネルソンスでは役不足ですな。
来年もブラームスをやるならネルソンス。
もうやらないなら、ハイティンクが短期間継いで、あとは、ラトルかな?
アバドのもとに集まったオーケストラだからどうなのかな?
アバドの薫陶を受けた指揮者や、仲のよかった指揮者たちで、というのもありかな。
天国のマエストロ、にこにこ見守ってるだろうな・・・
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