シュレーカー 「烙印を押された人々」 前奏曲
何度か登場の、六本木ヒルズのシュールなモニュメントと、遠景の夏の東京タワー。
10月には、東京タワーもオレンジ色になります。
このところ、忙しいいのと、別口ライブなどで、記事更新が滞ってまして、申し訳ありません。
聴きたい曲、書きたい曲、紹介したい曲など、それこそ、次から次にあるのですが、あれよと言う間に、日が経ってしまい、季節感も失い、記事のタイミングも失してしまうというもどかしさを感じてます。
今宵は、ときおり頭のなかで鳴りだす音楽のひとつを取りだしてみました。
シュレーカー 歌劇「烙印を押された人々」 前奏曲
エド・デ・ワールト指揮 デンマーク放送交響楽団
ゲルト・アルブレヒト指揮 ウィーン放送交響楽団
ケント・ナガノ指揮 ベルリン・ドイツ交響楽団
ヴァシリー・シナイフスキー指揮 BBCフィルハーモニック
いま、手持ちの「烙印を押された人々」の前奏曲にまつわる音源です。
最後のシナイフスキー盤は、オペラの全般をもイメージして、幻想曲風にしたてた「あるドラマへの前奏曲」という、ロングバージョン。
おおいに聴き応えがあります。
ですが、オペラ全体をつまみ聴くには、この曲はそぐわず、コンサートバージョンっぽい。
でも、時間がない時などは、わたくしは、とても重宝してます。
このオペラは、いろんなストーリーを入れ込みすぎて、焦点がぼやけぎみないつものシュレーカーのオペラの中にあって、2時間30分の長帳場ながら、ややこしい筋立てながらも、求心的なドラマになっていて、聴き応えも、劇としての面白さも高いと思います。
醜い男と思いこんでいる主人公、そして、その彼が同情と、やがて愛情を注いだのが、ヒロインで、彼女は美しいけれど、心臓が悪く、熱い恋などできる体でない。
そんな彼女をたらしこむ、遊び人のイケメン。
この3人に、快楽悪逆追及の貴族たちと、彼らが作った快楽のテーマパークに心奪われる民衆。
出てくる連中、みんなが、あかんレッテルを貼りたくなる、そんなオペラって珍しいですね。
成功したオペラでありますが、台本も指揮も、すべてひとりでこなす才人であったシュレーカーは、そのユダヤという出自ゆえに、華やかな第一線から締め出され、心臓の疾患も出てしまい、失意のうちに亡くなってしまう・・・。
いわゆる、「退廃のレッテルをナチス政権によって貼られた作曲家」の代表格であります。
この前奏曲、ほんとに好きで、痺れるような、甘味なまでの官能に、酔いしれるようにして聴いてしまいます。
ザルツブルクのフェルゼンライトシューレの特性を活かした、ケント・ナガノ指揮による映像の演出は、レーンホフによるもの。
仮面劇のようで、怪しくも、想像力を抱かせる秀逸なものです。
いずれまた、ちゃんとレビューしたいと思います。
ここにあげた前奏曲のみの演奏において、一番好きなのは、デ・ワールトによるものですね。
マーラーと、ツェムリンスキー、シェーンベルクと同列の存在としてのシュレーカーを感じさせる明快な演奏なんです。
新国あたりで、このオペラが取り上げられることは、永遠にないだろうなぁ~
過去記事
「デ・ワールト&デンマーク国立歌劇場」
「シナイスキー&BBCフィルハーモニック」
| 固定リンク
コメント