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2014年9月27日 (土)

バーバー ピアノ・ソナタ 三舩優子

Nakanoshinbashi

ぼろいカメラですが、普通に橋の欄干に固定して、サッと写したら、こんな感じに撮れました。

中野の街から、新宿高層ビルを望む。

川は、神田川でございます♪

Barber_mihune

   バーバー  ピアノ・ソナタ 変ホ短調

      ピアノ:三舩 優子

            (2009.8.6 @三芳町文化会館)


サミュエル・バーバー(1910~1981)のピアノソナタ。

初めて聴きました。

アメリカ、保守派のバーバーは、多作家で、交響曲からオペラまで、あらゆるジャンルに、そこそこの数の作品を残しております。

わたくしが、バーバーの音楽を初めて聴いたのは、いまや有名曲となった、ヴァイオリン協奏曲で、EMIが、シリーズ化した「アメリカ・ザ・ビューティフル」という音源シリーズの中の一環で、ハンソンの「ロマンティック交響曲」とカップリングされた、スラトキンの指揮によるものでした。

ハンソンも含め、郷愁と懐かしさを感じさせる作風は、現代を生きた作曲家として、かえって新鮮に思え、バーバーのイメージは、そのように自分のなかで定着していったのです。

その後に聴いてゆく、「弦楽のためのアダージョ」や「ノックスビル」なども、同じ延長線上に捉えました。
しかし、バーバーの音楽は、ノスタルジックな、ビューティフル・アメリカン一色ではなかった。
 交響曲や、他の協奏曲、オペラ「ヴァネッサ」などを聴き進むうちに、ロマンティックで簡明な側面に加え、シリアスで、ちょっと難解、シャープな顔を持ち合わせていることを認識するようになりました。

今回のピアノ・ソナタも、まさにそう。

4つのきっちりした楽章を持つ、古典的なフォルムのソナタで、第1楽章から調性がないようで、不安な雰囲気に気押されるけれど、バーバーらしい、というのもヘンですが、ふたつめの主題が旋律的で、ホッとしたりもします。
 スケルツォに相当する第2楽章は、2分あまりですが、めまぐるしくも可愛い感じ。
そして、深みを感じるアダージョの第3楽章は、かなり深刻な表情で、秋の日に聴くと、とても寂しい気持ちにさせてくれる。
何か、忘れものをしてきたみたいで、気がかりな感じ・・・
 名技性を要求される激しいアレグロの終楽章にも、どこか厳しさが先行し、不安な気分に押される感あり。
フーガ形式で書かれ、しかも複雑なリズムが錯綜し、素人のわたくしなんぞ、よくこんな音楽がばりばり弾けるな、と感心することもしきり。

しかし、どうだろう、ここに聴くバーバーの音楽は。

大好きな、ヴァイオリン協奏曲のノスタルジックなイメージにのみ自身の想いを限定していたにすぎず、交響曲や、ヴァネッサ、そしていま、このソナタを聴いた自分は、バーバーという作曲家を体系的に見直さなくてはならないと痛感してます。
 それは、まるで、バーンスタインの音楽を、キャンディードやミサ曲、交響曲をしっかり聴いて、自身の耳を再修正したことと同じように思う。

1947年、米作曲家同盟設立25周年に書かれた作品。
戦後、そして冷戦への不安など、まだまだ不穏な時代ですね。
この曲は、ホロヴィッツが初演し、そしてレコーディングもあります。
あと、クライバーンも好んだようです。

先日、バーンスタインの「不安の時代」で、共感のこもった見事なピアノを聴かせてくれた、三舩優子さんの、こちらのCD。
会場で買ったものです。
以来、何度も繰り返し聴いてます。
技巧の冴えもさることながら、4つの楽章のメリハリある描き分けと、濁りのない明確なその、ピアノの音に感銘を受けます。
鮮やかな終楽章に耳が行ってしまいがちですが、3楽章の灰色の世界に浮かぶ、ほのかな抒情に、いつものバーバーの顔が見え隠れしたりする、そんな優しい三舩さんのピアノがとても気にいりました。

ピアノ・ソナタ以外にも、バーバーの代表的なピアノ作品がたっぷり収録されてます。
晩年の透徹極まりない「バラード」や、ゆるやかな気持ちにしてくれる組曲「演奏」などなど。
またの機会に取り上げたいと思う桂品です。

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コメント

おお!三舩優子さん!ストライクです^^
バーバーのピアノソナタには余り興味がありませんが(すみません;;)優子ちゃんには興味ありありです!
なんです!このウルんだ目にセクシーな唇!コンサートに行ったら聴くことよりも見ることに集中してしまいそうです!イカンイカン。。。
そうなんです。オジサンはレコードのジャケットに心がゆれて購入した過去が多々あるのです。(この件についてはさまよえる様も同様と思われます)
でもイイんです。そういうヨロシクない楽しみ方もアリだと思います。曲目はバーバーでもブーブーでもいいので、早々に優子ちゃんのCDを購入しようとカタく決意しました。私の町でコンサートとかしてくれないかなー^^

投稿: モナコ命 | 2014年9月29日 (月) 18時21分

モナコ命さん、こんにちは。
どうです、美しい方でありましょう?

ジュリアードでも学んでますので、アメリカの音楽も熱心に取り組んでおられます。
実際に、お聴きして、すぐさまファンになりました。
是非、お聴きください。

この週末は、仙台のようですね。

そしてジャケ買いは、常にレコードの時代からありました。CDだとインテリアにはなりませんが、お部屋によく飾ったものです。

投稿: yokochan | 2014年10月 1日 (水) 22時58分

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