神奈川フィルハーモニー第303回定期演奏会 湯浅卓雄 指揮
イルミネーションが夜に映える、そんな季節になってまいりました。
横浜MM地区のコスモワールドから。
これから聴く、神奈川フィルのコンサートは、わたくしの大好きな作曲家の曲目ばかり。
ニタニタして写真撮ってたかもしれず。。。
エルガー 弦楽セレナーデ
コルンゴルト ヴァイオリン協奏曲
Vn:石田 泰尚
エルガー 交響曲第3番 (A・ペイン補筆完成版)
湯浅 卓雄 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
フォスター 金髪のジェニー(アンコール:Vn石田)
(2014.10.24@みなとみらいホール)
湯浅さんの客演によるエルガー交響曲チクルスの最終。
そして、神奈川フィルが誇るコンマス石田さんが、ついにコルンゴルトを。
以前に、藤沢で演奏したときは、聴き逃した。
わたくしのブログをご覧いただいてましたら、おわかりかもしれません。
コルンゴルト愛、ことにこのヴァイオリン協奏曲への偏愛ぶりは、狂おしいほどで、絶対に聴きたいと思っていた、石田&神奈川フィルの組み合わせに、プログラム発表時の昨年から、心待ちにしておりました。
そして、その夢が、満たされたいま、とても幸せな気分に、ずっと浸っております。
演奏は、終始、石田氏の思うペースによって貫かれていたと思います。
テンポは、1,2楽章はゆったりめ。
彼のヴァイオリンをお聴きになった方なら、誰でも想像がつくことでしょう。
繊細かつ華奢な音色は、コルンゴルトの持つ官能と憂愁を、完璧なまでに描き尽しておりました。
冒頭のソロから、わたくしは、心臓をぱくっと掴まれたようで、息苦しくもなるほどになってしまいました。
あぁ、このまま倒れたらどうしよう、でも、もう本望かも。
いや、最後まで聴かなくちゃ・・・・、なーんて思いながら(涙)
バリッと冴えたオーケストラも、それに応えて見事でした。
強音でも音割れすることなく、澄んでましたし。
そして、実演だと、とてもよくわかるコルンゴルトのマジックサウンド。
右に配した、ヴィブラフォンとシロフォン、左のチェレスタとハープ。
それぞれが呼応しあい、溶け合うさまは、まさにコルンゴルトの特徴で、その音楽が、当時、近未来的サウンドとして聴こえたことでしょう。
そんな夢みたいな音空間にも酔いしれました。
圧巻は、夢幻的な第2楽章。
ゆったりと連綿と、切々と奏でられる石田ヴァイオリンから、銀色の月の雫が舞い降りてきて、ホールにふりまかれるような思いにとらわれました。
耽美のあまり、音楽の在り方として、もしかしたら、すれすれの表現だったかもしれません。
ですが、いいんです、それで。
石田&神奈川フィルだから、いいんです。
これが、彼らの魅力なのですから。
いつまでも、永遠に浸っていたかった・・・・・。
一転、ばりばりの無窮動的な終楽章は、まさに、のりのり石田。
伸びたり縮んだり、縦横無尽のあの演奏スタイル。
おわかりいただけますね。
わたくしのドキドキも、こちらでは、大いに乗せられて、高まりました。
体動いてなかったかしら。
華麗なるテクニックは、ここにきて爆発。
流れるように、そして弾むようなオーケストラとともに、熱狂のうちにエンディングを迎えました
もちろん、わたくし、ブラボー献上いたしましたよ。
いくつも聴いてきた、コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲で、わたくしの中では、いまや一番の演奏となりました。
また聴きたい
さて、エルガー
ロビーコンサートも、エルガーで、弦楽四重奏曲の第2楽章。
歌にあふれた、とても美しい楽章を演奏したのは、崎谷さん、直江さん、山本さんに、高野さんの4人。
本日のコンサートの導入部に相応しく、かつ、弦楽セレナーデにつながる、巧みな選択だったかと存じます。
ステキな曲、弦楽セレナーデを、愛おしむように指揮された湯浅さんのもと、神奈川フィルの弦楽のしなやかで、スリムな響きは、極めて美しく、愛らしかった。
ここでも、第2楽章がとびきり素晴らしかった。
だがしかし、この曲の終わりに、嫌な予感。
静かに、楚々と終わる音楽なのに、間髪いれずの、ブラボー野郎がP席に。
ムッとしましたよ。
2階席の方でも、最近よく登場する、伸ばし屋さんが呼応。
休憩が終わり、会場アナウンスは、飴ちゃん注意(袋から出す音はやめて的な)と、指揮者のタクトが降りるまで、最後の余韻をじっくりお楽しみくださいと。
ということで、頼むから・・・という思いで、ペイン補筆完成版の3番にいどむ。
テヌートぎみに引きずるような印象的な主題から始まる部分で、そんな不安は、すぐに消し飛び、エルガーの世界に一挙に入り込むことができました。
この最初の場面で、もう決まったな、と確信。
湯浅さんにすべて委ねて大丈夫と思いました。
それほどまでに、英国音楽・エルガーの音楽の伸びやかな呼吸を、完全に体得されていて、オーケストラにもそれがしっかり伝わっているのがわかりました。
指揮棒を持たずに、ときにゆらゆらと体を揺らしながら指揮する湯浅さんの指揮ぶりは、その後ろ姿を見てると、尾高さんに似てるな、と思ったりも。
緩やかな第2主題での歌いぶりも、実に神奈川フィルらしく、コンマス席に戻ってきた石田氏のもと、心地よく演奏されてました。
あぁ、いいなぁ、これこそエルガーだな、と頬緩みっぱなし。
可愛い第2楽章では、中間部との対比も鮮やかで、楽しい聴きものでした。
そして、憂愁に包まれた3楽章は、わたくしの一番好きな場面。
ホルストの土星もかくやと思わせる重々しさに支配されるなか、徐々に優しい旋律があらわれて、光明が差してくる・・・・。
そんな、あたたかな雰囲気が、実によく捉えられていた演奏で、明滅するような抒情の世界に、目もうるんでしまいました。。。
最終楽章は、指揮もオケも、思いきりの力演。
石田コンマスの腰も、何度も宙に浮きます。
フォルテとピアノの対比がやたらと大きく、波のようにそれらが訪れるが、このあたりの構成感というか、つながりが、少し霊感不足なところかも、です。
でも、実演で聴くと、オケの動きがとても面白くて、ホールの豊かな響きも加わって、感興もいやがうえにも、最後の場面に向かって高まっていきます。
大きな盛り上がりのあと、急速に力を落として、静かに、第1楽章を回顧、そして銅鑼ひと鳴り。。。。。
息を詰めて、その展開をじっくり見聴きしておりました。
演奏は、完璧に決まり、湯浅さんも、ほんとうに集中して、この最後の場面を迎え、ほんとうに静かに腕を降ろしていきます。
が、2階席左方面の男性が、ばたばたと席をたち、扉を開けて出ていくじゃありませんか!
そして、チロチロと何かが聞こえました。
あぁ、いかん、いかん。。なんだっちゅーの。
そして、ダメ押しのように、例のP席ブラボー野郎。
一応、銅鑼が鳴り終わって、指揮も終了してからのブラボーさんでしたが、やはり間髪ナシ。
演奏のみなさんも、われわれも、静かに、感動をかみしめたかったのに。
あとは、呼応する伸ばし屋さんも登場で、賑やかなコールになりました。
オーケストラをステージ袖で讃える湯浅さんが印象的でした。
また英国もので、登場して欲しいな。
まぁ、いろいろありましたが、演奏が素晴らしかったから、よしとしましょう。
それにしても、楽しかったし、どきどき感動の一夜です。
こんな風に、わたくしの大好きプログラムを、果敢に取り上げてくれた、楽団と事務局さまに、感謝いたします。
ありがとうございました。
アフターコンサートは、おなじみのコレ
楽員さまにも、お疲れのところご参加いただきました。
先ほどの出来事や、なによりも、ふたりの作曲家の素晴らしい作品のこと、そして神奈川フィルのことなどなど、大いに語り、飲みました。
みなさま、お疲れさまでした。
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