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2014年10月 6日 (月)

マーラー 交響曲第8番 現田茂夫指揮 県民ホールリニューアル&開館40周年記念

Mahler8

満員御礼でました。

台風が近づき、あいにくの雨模様でしたが、ホールは、開始前から熱気に包まれ、感動のエンディングでは、ブラボーの嵐!

神奈川県民ホールの耐震補強を中心とする大規模リニューアル工事の完成お披露目と、開館40周年を記念するコンサート。

1975年の開館オープニングコンサートは、たしかFMで放送されたような記憶がありますが、N響で何が演奏されたかは覚えてません。
第9だったかしら?
でも、その年の、BBC交響楽団をブーレーズが指揮したものは覚えております。
それと、同じ年のムラヴィンスキーとレニングラードフィル。
飛行機嫌いのムラヴィンスキーは、船でやってくるので、横浜は真っ先に演奏会場に選ばれました。

船といえば、外来オペラも大掛かりな装置を伴うものは、横浜から入りました。
ワーグナーの「リング」日本初演の地も、横浜のこのホール。
さらに、オープン年の目玉は、マリア・カラスが舞台に復活、という世界的な話題をさらった「トスカ」上演。
でも、カラスは降りてしまい、カバリエが代役をつとめたことも鮮烈な思い出です。

数々の歴史を刻む県民ホールの新たな出発に、マーラーの8番が選ばれるのも、時代の流れ、かつては考えられないことで、しかも、地元神奈川フィルですから、これも開館時には思いもしなかったことです。

Mahler_sym8_kenmin

  マーラー 交響曲第8番 「千人の交響曲」

    S:罪深き女:横山 恵子       S:贖罪の女:並河 寿美
    S:栄光の聖母:管 英三子    A:サマリアの女:竹本 節子
    A:エジプトのマリア:小野 和歌子   T: マリア崇拝の博士:水口 聡
    Br:法悦の神父:宮本 益光     B:瞑想の神父:ジョン・ハオ

   現田 茂夫 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

              県民ホール特別合唱団
              湘南市民コール
              洋光台男性合唱団
              神奈川県立湘南高等学校合唱部
              神奈川県立大和西高等学校合唱部
              神奈川県立蛯名高等学校合唱部
              小田原少年少女合唱隊

         合唱指導:岩本 達明、松平 敬
         言語指導:三ヶ尻 正
         児童合唱指導:桑原 妙子


                     (2014.10.5 @神奈川県民ホール)

演奏中、グロスで区切って、おおざっぱに数えました。
オーケストラは、108。
合唱は、700を切る。
都合、約800人とみた演奏者が、せり出した舞台に、たっぷり、ところ狭しと並ぶ光景は、壮観と呼ぶに相応しい光景でした。

3度目の実演の千人。
これまでは、文化会館と藤沢市民会館(現田さん指揮)でしたから、破格に大きいホールでの千人は、これが初のギッシリぶり。

そして、今回の席は、3階席にしてみました。
このホールの1階、2階は、上階のかぶりが大きいのと、デットさが際立つように、いつも感じていましたから。
最上階は、意外と、音がすべて届いて、バランスもよくて、残響も適度にやってくるから。
昨年の「ワルキューレ」で痛感しました。

 指揮棒を持たない現田さん。
いつものように若々しい登場で、さっと降り上げて、オルガンの第一声を伴って、「Veni , creator spiritus!」と歓喜を伴う爆発的な開始。
いきなり、ガツンときました。

さて、ここで、今回は、ふたつの面から、この夜の「千人交響曲」について書いてみたいと思います。

 まず、ちょっと辛口的観点から。

メモリアル的・祝祭的な意味合いの強いこの手の演奏会は、企画の段階から、壮大な構想、今回でいえば、合唱団を公募し、さらに県内のアマチュアを交えた600~700人の大合唱団を仕立て上げるという快挙も伴いました。
 それに伴うリスクは、精度の低下と、巨大な音の塊の咆哮になりかねないということ。
オーケストラは、拮抗できるけれど、独唱者はオケと合唱に挟まれて埋没してしまった。

マーラーの8番は、巨大な作品だけれども、その本質は、緻密で繊細な、愛がもたらす救済のドラマです。
第1部は、ガンガン行けばいいけれど、第2部は、細部に渡るまでよく聴こえなくてはいけない細やかな音楽です。
もう少し合唱団の数は、刈り込んで、明瞭な響きを築いて欲しかった。


あと、声の問題は微妙で、席によって届いた歌手と、そうでない歌手がいると思います。
横山さん、並河さんは、どんなときにもビンビンにきました。
でも、宮本さんと、ハオさんは、オケに埋没。
水口さんも、スタミナ配分、きっとたいへんだったでしょうが、厳しかった。
前に聴いた、「グレの歌」でもそうでした。
でも、この同じホールで聴いた「トゥーランドット」は完璧だった。
難しいものです。

それと、第1部と第2部との間の休憩20分。

当初は、通し演奏と告知されていながらの休憩。
事情は、推察するしかありませんが、仮にも交響曲と銘打つ作品で、4つの楽章の区分けもできる音楽です。
1楽章が終わって休憩はいけませんよ。
もしかしたら、多くの聴衆が初めて聴くかもしれないマーラーのこの曲。
連続して演奏した方が、ホール内の集中力も、音楽の流れも持続したはず。
メモリアルのコンサートだから、きっとそうだし、わたくしの周りにも、そんな感じの方々がちらほら。
なんたって、さんざん館内放送で禁止してるのに、写真撮りまくりの、しかもスマホですから、その電源はどうしたんだって話でしょ。
まったく制止しなかった、ホールの関係者もおかしい。
2階で響いた別働隊バンダと、栄光の聖母の声に、ほぼ立ち上がりかけてきょろきょろする方も・・・。
 少しはお勉強してからのぞんで欲しい、そんなめったにやらない大曲なんですよ!

すいません、文句を先に書きました。

続いて、激賛コーナーupnotenote  

多くの合唱団のみなさま、きっと、生涯忘れえぬ思いでと経験をされたと思います。
客席から観て、聴いていて、ともかく、うらやましくて、眩しかった。
渾身の「Veni・・・」と、「Komm」そして、「神秘の合唱」いただきました。
 独語指導の三ヶ尻さんの、賜物もあって、子音もクッキリ。
ウムラウトを身に付けたカーテンコールの三ヶ尻さんの思いが、しっかり成果に出ていたと思います。
(問題は、数とホールのキャパなんです)

そして、なんたって、現田&神奈川フィルの紡ぎ出す、音色は、なんでこんなにブリリアントで、美しいの?
なんの小細工も施さない現田さんの指揮は、天然・自然のままに感じられます。
だけど、ほかのオーケストラでもそうですが、出てくる音色が、華美とはいわないまでも、楽しい美しさを持ってるんですよ。
生き生きとした音とリズム、思いきりの歌は、それぞれ、こちら側聴き手の心をくすぐります。
アマオケを振っても、そんな音が出てくるんだから、お互い知りつくした神奈川フィルとの間では、お互いがどう思おうと、自然に、美音が満載の垂れ流しとなってしまう。
 その音の瞬きに、いつしか身も心も任せきってしまう自分を、現田さんの演奏に、いつも見つけるのです。
ラフマニノフの2番、ワーグナーのリングに、チャイ5に・・・・・・
 きっとオケも歌手も、合唱も、知らない間に乗せられちゃってるんだと思います。
オペラ指揮者の本領を見る思いです。
とりわけ、第2部の第3部。
第1ヴァイオリンが、えもいわれぬ美しい旋律を静かに奏で始める時、現田さんは、第1ヴァイオリンの方へと完全に体を向けて、ここぞとばかりに、歌うこと要求。
そして、それに応えた神奈フィル・ヴァイオリン群の美しさといったらない。
ここで、ワタクシは涙腺決壊。
 続く、独唱女声ソロたちの贖罪合戦でも、天上の響きとも言える涼やかな音色に、わが耳もとろけてしまいそう。

で、その神奈川フィルは、今宵も完璧。
とりわけソロの多かった、石田コンマスは、初外しを聴いたものの、そんなの関係ない。
石田サマ以外のなにものでもない音色は、つねに、神奈フィルのサウンドを先頭きって牽引してました。
 麗しの木管、ことに大見さんのピッコロは最高!
明るいサウンドの金管、神戸さんがいないのは寂しかったですが、平尾さんの多彩な演奏ぶりが楽しめた、いぇーーい。

神奈フィルファンとして、どうしてもオケばかりに目がいってしまいます。

でも、大掛かりな合唱の、マスとしての威力は、ことに第1楽章では炸裂してました。
耳を圧するという言葉が相応しく、逆にまた、そこにこそ、この曲の実演での演奏の難しさがあるといえるのでしょうね。

いつかまた、川瀬さんが、もっと年を成して、みなとみらいホールで、きりっと、小股の切れあがるような千人を聴かせてくれること、夢見ておきましょう。

甘辛交えた、今回の感想。

最後は、県民ホールのお祝いプラス、神奈川フィルのマーラー交響曲完全演奏記念の祝宴です。
聖響さんの金字塔、残した8番を現田さんが完璧に指揮。
神奈川フィルに、マーラー演奏の足跡と自信をしっかり根付かせた聖響さんに感謝し、オペラの大家、現田さんが補完したマーラー・チクルスは、日本のオーケストラ界でも誇っていい実績です。
全部はやっても、10番全曲版をやってないオーケストラがありますからね。

Chukagai2

強い雨もものともせず、興奮に火照った頬を雨に濡らしつつ、中華街へGo!

Dsc07824

小澤征爾さんが、ウィーン時代、帰国すると必ず寄った店「福楼」さんへ。

有名人も多数の、台湾料理系です。

Ebichiri

ともかく、うまい。メンバー全員、言葉もなかった絶品海老マヨ。

Kuushinsai Mabo

空芯菜に、マーボー。

ともかくうまい。

Letasu

そして、自分的に、これも最高にうまかった、中華レタス巻き。

彩りも鮮やか。

あとまだまだ天心もふくめて、たくさんいただきました。

神奈川フィルを応援する醍醐味は、こんな風にたくさんありまぁす。

次の終末は、「アラベラ」だよnote

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コメント

yokochanさん、神奈川フィル勝手連の皆様、おめでとうございました。まずはご祝辞申し上げます。
そういっておきながら、いきなり辛口ですみません、私、どうも感心しませんでした。多分、8割がたのこの作品を知らない方々と、あまりクラシックに縁のない聴衆のためかと思われます。うちのホールでも、一頃はカメラを撮る人がいたけれど、最近はみない。あれで白けて、2階席からだとパシャパシャしている人が見えること見えること。これで完全に音楽に集中できなかった・・・。
で、演奏であります。
僕的には、多少の疵はあっても、現田さんの音楽に合ってたのは第2部だと思いました。ソロがとっても良かった。特にマリアを讃える博士の“アリア”からホ長調のヴァイオリンが陶酔したようにハルモニウムの伴奏を伴っての美しい旋律(変ホ長調がマーラーを象徴するものとしたら、半音高いこの調はアルマなのだそうです)!それから3人の女声のアンサンブル-かつてグレートヒェンと呼ばれた女のアリア、そして菅さんの栄光の聖母のソロ。この辺りまでは、インバル=都響も真っ青の出来だと思いました。8オタとしても感涙にむせんだところです。
合唱も、アマチュア・レベル(しかも寄せ集め所帯で)で、ここまでしっかり歌っていたのには感心。さすが晋友会のメンバーが入っている湘南コーラスが入っているだけのことはある。
でも、合唱が多すぎですよ。ただでさえ繊細な音を出す神奈川フィル。N響や東響、都響のように、楽器の限界までビッグ・サウンドを出すオケじゃないじゃないですか。音量的に完全に負けてました。
ピット席まで張り出してしまったというアゲインストがあったのも、ヴィオラからコンパスにいたるバランスを悪くしてしまった原因でしょうが、ともかくアップライトになって、なんだかラジカセで聴いている印象。もっと条件がいいところで、リベンジを果たしてもらいたいものです。
拍手もせず、イの一番に退席してしまったのは、神奈川フィルの演奏に対してではなく、このような演奏をこの場所で企画した人(まさか一柳さんじゃないよね)、そして「義理」でホールに集った聴き手に対する声なきブーイングとしてご勘弁を。
それでも、地方オーケストラとしては画期的なチャレンジを完成させたことの意義は大きい。第7から付き合ってきた甲斐がありました。神奈川フィルのみなさん、お疲れ様でした。

投稿: IANIS | 2014年10月 6日 (月) 23時50分

IANISさん、こんにちは。
このたびは、連日の観劇、おつかれさまでした。

いえいえ、辛口、ありがとうございます。
毎度、神奈川フィルに酔い尽くしているものですから、キビシイご意見も客観的にお聞きしたいところでした。

そう、この前も飲んで、ご示唆受けつつ、会話しましたが、ファンは厳しくもあらなくてはなりませんね。

間に休憩が入ったからよけいですが、1と2部では別の曲であり演奏のように感じました。
リセットされた半面、ご指摘の通りに、第2部の美しさは際立っておりました。
何度も、泣いてしまう箇所がありました。

こうしたメモリアル的な演奏会の難しさを痛感するとともに、これはこれでいいい、あの体験で、心から感動した方もきっと多くいたはずですし、演奏の側も、その思いがあったと思うからです。

兄貴のご意見は、ほんと、もっとも。
演奏に係わったプロは、まさにに見習わなくてはならないご指摘だと思います。
ありがとうございました。
純正オーケストラの演奏会や、本拠地では起こりえない出来事かもしれません。

そして、一方で、現田さんが、いつものように、ホールの我々にむかって、大きく手を振って、何度もカーテンコールを繰り返しました。
それに応えるように、近くのご婦人がたが、喜々として、おなじく手を振って返されておりました。
 こんな、やり取りこそ、音楽の楽しみ方の神髄に思いました。

在京のオケでは、もしかしたらありえない、身近な存在としての神奈川フィル。
千人に、そんなカジュアル感を感じてもよかったと、思いもしました。

投稿: yokochan | 2014年10月 7日 (火) 01時05分

おはようございます。
演奏の感想は自分のブログに思いっきり書いてしまったので他の感想を。

エビマヨ美味しそう~~~。今度行ってみようかな。中華街、演奏前に豪雨の中歩き回りましたが、ランチの価格破壊はハンパないです。天候が悪かったせいかいつもより安くしているお店もありました。千円もあればお腹いっぱいなのは素敵です。私が入った店も芸能人のサインだらけでした。

私は今日は飯守デーです。

投稿: naoping | 2014年10月11日 (土) 07時59分

naopingさん、こんにちは。
いろいろありました県民ホール、今日も、県民ホールでした。
オペラには、実にいいホールでありますね!

で、この店、いいでしょ。
画像には出してませんが、食べたものみんな、それぞれに美味しくて、大満足でしたよ。
サインがあっても、中華街の場合は、味の良しあし関係ないのですな。

平日も、まれに突入しますが、確かにランチタイムは安いですね。
都内のオフィス街にもいえますが、丸の内とか大手町以外は、いまや、ランチ天国かもね!

飯守デー、きっと、素晴らしかったでしょうね。
わたくしは、最終日、行けるかどうか・・・

投稿: yokochan | 2014年10月12日 (日) 00時51分

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