« R・シュトラウス オペラ お願いランキング | トップページ | ブレッド&バター 45th コンサート »

2014年10月17日 (金)

モーツァルト 「孤児院ミサ」 アバド指揮

Kaikoukinenkan

横浜市開港記念館。

近くの県庁、税関とともに、横浜三塔を形成してます。

1917年、大正6年築の歴史的構造物で、昼間もその佇まいは、きりっとしていて、素晴らしいけれど、ライトアップされた夜のこの姿も、それは美しいものです。

Mozart_messe_abbado

   モーツァルト ミサ・ソレニムス ハ短調 「孤児院ミサ」K139

  S:グンドゥラ・ヤノヴィッツ  Ms:フレデリカ・フォン・シュターデ
 
  T:ヴィエスワフ・ホフマン   Bs:クルト・モル

 

   クライディオ・アバド指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
                   ウィーン国立歌劇場合唱団

                 (1975.10 @ウィーン、ムジークフェライン)


K139という、かなり若い番号のミサ曲。
たくさんあるモーツァルトの宗教作品の中でも、かつて、あまり知られていなかった作品であります。
メジャーな演奏家である、アバドが豪華な演奏陣を率いて、この曲を録音して、いきなり世に出てきたものだから、当時はびっくりしました。
 もちろん、知ってる方は知ってる。
77年でしたか、当時、大学生のわたくしは、学校の生協で、すぐさまこのレコードを購入し、初めて知るこの曲を熱心に聴いたものです。

ジャケットは、グルダとのモーツァルトの協奏曲の録音のもの。
その協奏曲や、悲愴、ハルサイ、ロッシーニ序曲など、若々しく、爽快、軽快な演奏を次々に繰り出していた40代に入ったアバドでした。
マーラーも、この頃、さかんに取り上げていて、2番、4番の録音も間近です。

そんな風に、曲よりも、アバドのことに思い入れのある1枚なのですが、なんたって、この演奏、オーケストラとソリストが素晴らしい。
普通に、モーツァルトのオペラが上演できちゃうくらいのメンバー。
ヤノヴィッツとシュターデの競演なんて、もしかしたらこれが唯一かも。
ともに、あの美声で天国的な声を聴かせてくれます。
緩やかなモルの、あの独特の声も印象的です。
当時、宗教作品では、テノールはこの人しかおらず、ベームやカラヤンにも重宝されたホフマンは、他の3人ほどではありませんが、生真面目な歌いぶりは、モーツァルトの伸びやかな音楽の邪魔はしておりません。

合唱が立派すぎて、人数も多く感じますが、当時はこれが普通。
ウィーンとの蜜月時代のアバドは、ウィーンフィルのマイルドな響きを、ごく自然に導きだしていて、過不足のない指揮ぶりだと思います。
全般に明るい響きなのですが、トロンボーンを始め、金管の想わぬシリアスな登場には、耳をそばだたせるものがありまして、それとともに、ピアノの部分の繊細な描き方も、当時のアバドのこだわりがあるように感じました。

 さて、演奏のことが先行しましたが、このK139は、1768年の作で、モーツァルトが、なんと12歳のときのもの。
自分は12歳のときに、何をしていたか、皆さんもどうですか?
恐ろしき少年であります。
 ミサ曲でも、その規模が大きい場合に、ミサ・ソレムニス=荘厳ミサ曲と呼ばれます。
45分、キリエ・グロリア・クレド・サンクトゥス~ベネディクトス・アニュスデイの通常ミサ典礼文のしっかりした構成を持つ大作です。

ウィーンの孤児院が新しい付属聖堂を建て、その献堂式に際して演奏すべく作曲されました。
トランペット、トロンボーン、ティンパニにオーボエ、そして弦五部という、当時としては大きな編成で、その音楽の構えの大きさ、とうてい12歳の少年のものとは思えません。
荘重な出だしのキリエから、トロンボーンのソロが印象的で、晩年のレクイエムもかくやと思わせる、美しいアニュス・デイまで、充実した音楽を一気に聴いてしまいます。

 師ハンス・スワロフスキーの追悼式に合わせて演奏された際の、スタジオ録音ですが、こうした世にあまり知られてない作品に、じっくち焦点を合わせて、集中力とともに、気持ちのこもった演奏でもって、曲の良さを知らしめてしまう、そんなアバドらしい1枚であります。

最近、国内CD復刻されましたが、わたくしがCDで購入したのは、かなり以前の海外盤。
5つのトラックしかありませんが、国内盤は、調べたら、詳細にトラック割りされているようです。
 そして、2012年の再録音ライブ映像は、まだ未視聴です。
是非、聴かなくては。

|

« R・シュトラウス オペラ お願いランキング | トップページ | ブレッド&バター 45th コンサート »

コメント

アバドのような大物指揮者が、いかにモーツァルトの作品とは言え、このような初期作品を取り上げた事に、当時はビックリしたものです。でも慧眼でもって、後年の名作の萌芽のような本質を、感じ取られたのでは?普通ビッグネームの方は、『レクイエム』か『ハ短調ミサ』に録音レパートリーは、留まっておりますし‥。オペラ作品の初期ものは、レオポルド-ハーガー様が頼りでした。カール-エンゲル独奏のテレフンケンへの『ピアノ協奏曲全集』にも、お付き合い下さってました。

投稿: 覆面吾郎 | 2019年11月27日 (水) 10時52分

アバドは、作曲家の若書き作品を好んで取り上げることがよくありました。
グルダとのモーツァルトの録音のときの写真がジャケットに使われましたが、発売当時から、この作品には合わないな・・と思ってました。

投稿: yokochan | 2019年12月 4日 (水) 08時23分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: モーツァルト 「孤児院ミサ」 アバド指揮:

« R・シュトラウス オペラ お願いランキング | トップページ | ブレッド&バター 45th コンサート »