シューマン 幻想曲 ポリーニ
ある日の夕焼け。
都内増上寺の境内にて。
夕焼け大好き、ロマンティックおじさん。
シューマン 幻想曲 ハ長調
ピアノ:マウリツィオ・ポリーニ
(1973.4 @ミュンヘン ヘラクレス・ザール)
今夜は、思い入れのある1曲、そして1枚。
レコードでさんざん聴いていたけれど、CD時代になって、CD再購入をしていなかった。
レコード・CD、両時代を知るものにとって、こんな風に、妙に宙に浮いてしまった1枚ってあるんじゃないでしょうか。
レコードプレーヤーを再稼働させることもないと、こうなります。
先日、思いついたように、中古屋さんで、入手しました。
そして、CDプレーヤーに乗せるや否や、あの頃の、ポリーニの硬質で、かつ、ブルー系のピアノの音色が、一挙に、わたくしを、若き日々へと誘ってくれました。
あぁ、なんて、素晴らしい音楽に、演奏なんでしょう。
外は、冷たい風が吹き始めました。
でも、このシューマンの音楽は、暖かく、ロマンティックで、人肌を感じさせます。
幻想曲という名は、自由な構成感から来ているもので、本来、シューマンは、ベートーヴェンの没後10年という意味合いを込めて、気合を入れて作曲に没頭した。
しかし、なかなか、そのアニヴァーサリーには完成できず、1年後の1838年に仕上がった。
3つの楽章からなりますが、この曲の白眉は、きっと緩徐楽章である、終楽章でありましょうか。
初めて聴いていらい、つねに、その楽章に焦点を絞って聴いてきました。
ショパンでも、リストでもない、シューマンにしか書けなかった、本物のロマンティシズム。
「星の冠」と、当初は名が与えられたのも、さもありなん的な、美しくも、陰影も感じさせるシャイな音楽だと思います。
この楽章は、キリリとした、白ワインがぴたりときます。
ポリーニの、硬質ななかに、明るい透明感あふれる演奏が、この楽章を、神々しいまでの純粋な音楽に昇華しております。
もちろん、ほかのふたつの楽章も、好きですし、ポリーニの演奏も明晰極まりないのですが、わたくしの耳は、かつての昔より、この3楽章に首ったけなのでした・・・・。
はぁ・・・・、もう40年近くの年月が経つんだ。。。。
遠い目線に、遠い思い出。
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コメント
yokochanさん
ヘラクレスザール!、懐かしい!
ポリーニの実演は聴いたことありませんが、ミュンヘンに住んでいた頃、ヘラクレスザールはよく行きました。一番記憶にあるのはジュリー二がバイエルン放送交響楽団と未完成をやった時。今ソニーから、まさにその日の演奏がCDで出ていて、喜んで買いました。
ポリーニのシューマンは、もう言う事無しで私も聴いています。天賦の高度のテクニックで、淡々と、しかし朗々と弾くポリーニ。今度ベートーヴェンのピアノソナタを完成したそうで、新しい録音を是非いずれ聴きたいですね。
投稿: 安倍禮爾 | 2014年10月27日 (月) 23時24分
安倍禮爾さん、こんにちは。
このホールで、ジュリーニを聴かれたのですね。
すごい。
かつては、クーベリックの名録音の数々で、そのホールトーンが耳に沁みついてまして、われわれ日本人にもおなじみの場所ですね。
70年代のアナログ録音ですが、当時のポリーニらしい、打鍵の強さと、音色の明るさが、とてもよく捉えられていると思います。
バラバラで、そこそこ集めたベートーヴェンのソナタですが、わたしも、まとめて聴いてみたいと思ってます。
ありがとうございました。
投稿: yokochan | 2014年10月28日 (火) 08時45分