ハウェルズ エレジー ヒコックス指揮
もう季節は巡って、過ぎてしまいましたが、彼岸の頃の野辺の様子。
初秋を、彩る、萩と彼岸花でした。
これらの草花に、似合うのが、夜の月や、秋の虫の音色。
月といえば、昨夜(8日)は、月食でした。
雲に覆われながらも、後半を見ることができました。
古来、月食は不吉なものとされますが、大昔の方々からしたら、月がみるみる欠けてしまう、しかも、赤く光るなんて、そりゃ、なにかよくない印と思えたことでしょうね。
それでも、なにごともなく、穏便に日々が過ぎることを祈るばかりです。
次の月食は、来年、2015年4月4日だそうです。
春の月ですよ。
ハゥエルズ エレジー
~ヴィオラ、弦楽四重奏と弦楽オーケストラのための~
サー・リチャード・ヒコックス指揮 シティ・オブ・ロンドン・シンフォニエッタ
(1992.10 @ロンドン 聖ユダ教会)
今日は、心静かに耳を傾け、ちょっと泣ける音楽を。
ハーバート・ハゥエルズ(1892~1953)は、わたくしの大好きな英国作曲家のひとりです。
シンフォニックな作品や、大規模な作品は、残してませんが、美しい管弦楽作品、声楽曲、器楽曲などに、心に沁みとおるような味わいあふれる音楽を書いた、英国抒情派のひとりです。
その時代を生きた芸術家と同じく、ふたつの大戦を経験し、多くの死にも接して、そして、その死への思いが、彼の音楽の根底に、ときに悲しく、ときに優しく刻まれてているのです。
さらに、40代にして、最愛の息子を今度は病気で亡くしてしまい、ハゥエルズの音楽は、さらにシリアスに、そして宗教的な祈りの要素も加えながら深みを増してゆきます。
傑作「楽園讃歌」は、その代表です。
そのハゥエルズも、若き日々は、英国の田園風景の機微にてらした、緩やかな音楽をしばしば書いておりました。
今日の「エレジー」も、その流れの中にありながらも、友の死を悼んだ作品でもあります。
1917年の作。
遡ること、1910年、ヴォーン・ウィリアムズの「タリスの主題による幻想曲」を聴いて、大いに感銘を受けました。
そして、ロイヤル・カレッジ時代の、パーセル・ウァーレンという友が、第1次大戦で亡くなってしまう。
ヴィオラを専攻したその友のことを想って書かれたのが、この「エレジー」です。
10分くらいの作品ですが、全曲にわたって、ヴィオラが、まさに「哀歌」とよぶに相応しい、哀しくも、儚い楚々たるメロディーを奏でます。
そのムードは、さきに感銘を受けた。RVWのタリス幻想曲の古風な佇まいにも似て、静謐でありながら、悲しみをたたえた独特の雰囲気があります。
あまりに動きが少なく、静かに、静かに、音楽が過ぎゆくものですから、最初は何も感じることがなく終わってしまいますが、何度も繰り返し聴くことで、心の中に、哀しみと、癒しの気持ちが芽生えてくるのを感じます。
ハゥエルズの音楽を、多く残してくれた、亡き名匠、ヒコックスの指揮で。
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