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2014年11月14日 (金)

スタンフォード 「スターバト・マーテル」 ヒコックス指揮

Sengakuji_b

こんなちょっとした心遣いが、美しい。

先日、お散歩した泉岳寺の義士たちの墓石に、それぞれにお花が経向けられておりました。

都会にありつつ、一歩中に入ると静かなエリア。
このあたりから、三田にかけては、寺社がたくさんあります。
そして、低層住宅も混在していて、閑静な場所です。

その泉岳寺の山門の真横に、8階建てのマンションの建設が始まってまして、周辺の方々は、景観の観点から、工事と計画の見直しを陳情してます。
建築基準法上、また、条例上も、適法であるため、区では許可範囲なので、どうしようもない状態になってます。

土産物屋さんで、反対署名をして、お話も伺いました。
計画者は、さほどの大手ではないので、なかなか止めることはできないだろう。
上階二つがファミリーで、あとはワンルーム。
せいぜい、3階建てぐらいまで。
彼らは、マスコミに取り上げられるのを一番嫌がっている・・・

都市計画は、時の流れとともに、さらに地域性もそのメッシュをことさらに細かく付与するべきかと。
住民による、審査請求も提出されました。

 参考 守る会  http://sengakuji-mamoru.jimdo.com/

Stanford_atabat_mater

  スタンフォード 「スターバト・マーテル」

    S:イングリット・アットロット  Ms:パメラ・ヘレン・ステファン
    T:ナイジェル・ロブソン     Br:ステファン・ヴァーコー

  サー・リチャード・ヒコックス指揮 BBCフィルハーモニック
                       リーズ・フィルハーモニック合唱団
               
                

                  (1995.11.17@リーズ、タウンホール、ライブ)


チャールズ・スタンフォード(1852~1924)は、アイルランド生まれ、ケンブリッジに学び、そのあと、ドイツ本流のライピチヒとベルリンでもしっかり勉強し、生涯はイングランドで過ごした英系作曲家です。

時代的には、いま、わたくしたちがさかんに聴く、ディーリアス、エルガーやV・ウィリアムズ、ホルストよりも、少し先んじた人で、同じような時期とタイプの人に、パリーとマッケンジーがおります。

また彼らとともに、先人として、英国音楽の礎を、なにげに築いた作曲家でもあるんです。

交響曲を7つのほか、オペラも数作、あらゆるジャンルにその作品を残してますが、いまでは、あまり聴かれることはないですね。
その点は、パリーもおんなじ。

わたくしは、ハンドレーと本場アルスターによる交響曲全集を持ってますが、正直、どの曲がどうのこうのは、言えるほどに聴きこんでません。
数年前に、大友さんが、東響で、3番の「アイリッシュ」をやったときに、感銘を受けました。
 アイルランドのブラームスみたいな印象しかなかったのに、しっかり英国音楽とアイルランドの民謡も活かされた雰囲気に、思いきり見方を変えることとなったのでした。

 今回の、「スターバト・マーテル」も、驚きの出会いでした。

「悲しみの聖母=スターバト・マーテル」、古今東西、多くの作曲家が、このジャンルに、たくさんの名曲を残してまいりました。
ヴィヴァルディ、ペルゴレージ、ロッシーニ、ドヴォルザーク、プーランクらの作品ばかりが、多く聴かれますが、まだまだありました。

スタンフォードのスターバト・マーテルは、ヒロイックなまでにかっこよく、かつ、歌心にあふれていて、夢中になって聴いちゃう45分間なのだ。

1906年の作品。
第一次大戦の10年前、世紀末のムードを漂わせつつも、世の中な、物騒な方向へと突き進んでいく時代。
この曲には、そうした切迫感はありませんが、先に述べたような、音のカッコよさがあって、メロディアスなスタンフォードならではのムードとあいまって、哀しみにくれるヴァージン・マリアの心情を、ちょっと悲劇のヒロインみたいにしたててる感があるのです。

交響カンタータとも、当初は呼ばれましたとおり、5つの部分からなり、1部は、大きなプレリュード。
まるで、交響曲の第1楽章のように、静かに始まり、徐々に盛り上がり、ブラスも活躍するナイスなオーケストラ作品と化します。

次いで、2部は、独唱が静々と歌う、いかにも英国音楽風のジェントルな様相で、極めて美しい。
緩徐楽章といったところ。

3つ目の部分は、オーケストラによる間奏で、短いですが、これもまた、大らかかつ、曲全体のムードを集約したような桂曲であります。

4つ目は、その合唱の出だしと、ソプラノソロが、まるきり、ブラームスのドイツ・レクイエムを思わせます。
その後も、ちょっと甘いムードを醸しながら、抒情的な展開となりますが、歌好きとしては、スタンフォード特有の英国&ドイツムードが、たまらなく美しく感じます。

さて、最後の第5部は、聖母マリアを讃える、解放感あふれる爽快なムードです。
この曲の中で、一番長い部分ですが、合唱が主体で曲は進み、ちょっとの中だるみも感じてしまいますが、最後の浄化されたかのような平安かつ、天国的なムードは、極めて素敵です。

何度も何度も、暇さえあれば流してましたので、その音楽はしっかり耳に刻み込むことができました。

素晴らしさとともに、イマイチ感も同居する、スタンフォードですが、同じようなパリーとともに、やはり、捨て置けない作品が、こうしてあるんです。

ヒコックスが甦演した、スタンフォードゆかりの地、リーズでのライブ録音は、完璧演奏。

それと、この印象的なジャケットの絵画。

英国のFrank Cadogan Cowper(1877~1958)という方の作品。

赤の使い方が印象的なその絵画は、ほかの作品でも際立ってますよ。

英国世紀末画家、調べてみてください。

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