チャイコフスキー 交響曲第5番 ムラヴィンスキー指揮 そして、ブログ9年
またも遅くなってしまった11月の小便小僧。
防火・防災、消防レスキューさんのコスプレは、とてもよく出来てます。
お背中も、まいどかわいいですな。
12月は、サンタ、もうすぐです。
来る来る詐欺みたいだったムラヴィンスキー閣下。
たしか、73年に、ついに、本邦上陸。
NHKのテレビとFMで、つぶさに観劇しました。
微動なにしない指揮棒と見えた、その無慈悲なまでの動きの少ない指揮姿。
でも、オーケストラは、ムラヴィンスキーのほんのわずかな動きと、強烈なまでの眼力に、まったく魅入れたまでに、ほんとに的確かつ細心に、ロボットのように反応。
そんなようなことが、テレビでも、まるわかりの、プロパガンダ的な、きっれきれの演奏を、70年代初頭の音楽ファンは味わったのでした。
いろいろ布石があって、万博の年に来るはずだったムラヴィンスキーは、飛行機嫌いということも判明して、その73年についに実現したのでしたが、そのときは、テレビ観劇。
大木正興さんが、やたらと興奮してました。
そして、2年後に、ふたたび来日し、さらにその2年後、77年の公演を、ついに聴くことができたのです。
大学生だったワタクシ。
友人と聴きました。
そして、巨大なNHKホールを揺るがす、大サウンドと、それと裏腹なくらいの驚きの緻密さ。
ともかく言葉もなく、その圧倒的な演奏に、ひれ伏すしかありませんでした。
シベリウス 交響詩「トゥオネラの白鳥」
〃 交響曲第7番
チャイコフスキー 交響曲第5番
エウゲニ・ムラヴィンスキー指揮
レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
(1977.10.19 @NHKホール)
この日の音源がこちら。
薄れゆく77年当時の壮絶なる演奏の記憶を、こうしていつでも再現できる喜び。
でも思う、あれ、こんなだっけ・・・。
一方で、詳細は覚えていない脳裡。
ビジュアル的には、とても覚えてます。
学生だったので、NHKホールの3階席で、ステージは遠かったですが、それがそのまま、四角い画面のように、いまでも思い起こすことができます。
そして、少し前方の、同じく学生さんが、チャイ5のときに、スコアを見ながら、熱心に聴いていた。
でも、そのスコアを、自分より高く掲げ、周辺のお客さんからすると、とても邪魔。
さすがに、楽章の間で、後ろのお客さんから注意され、やめてました。
肝心の演奏そのものの記憶。
当時、カラヤンやアバドのチャイ5ばっかりで、すっかり西欧のチャイコフスキーに染まっていた自分。
スヴェトラーノフやロジェヴェンのチャイコフスキーも聴いていましたが、濃厚さと、ロシアのオケ特有の金管の泣きのヴィブラートに、ちょっと辟易としていましたから、恐れていましたが、そんなことは、ちっともない。
つねに、表現はストレートで、無駄な味付けは一切ありません。
強奏のときの透徹感、急緩の鮮やかな対比、恐ろしいまでのオケ全体の統一感。
そんな、音の記憶は、ちゃんと残されてましたが、果たして、それが、チャイコフスキーの5番に相応しかったかどうか、そのあたりの記憶がどうも曖昧でした。
この音源で、その曖昧な思いを払拭できるかどうか・・・、手にして2年、正直肯定的にはいえません。
音がイマイチなのは抜きにして、こんなに完璧・鉄壁のチャイ5は、正直辛いともいえます。
すごすぎるチャイ5に、ひれ伏すことがどうにもできない思いです。
指揮も、オーケストラも、全霊を傾け、なおかつ、チャイコフスキーの真髄を歌いあげていることは痛感しますが、どこもかしこも、完璧なところに感じる、それゆえにの、極めて贅沢な不満。
なんだろ、この感覚。
実演でのすさまじい体験が、後退して感じる、この思い。
いろんなチャイ5を、その間、聴いてきて、自分のチャイ5像が出来上がりつつあるのだろうか・・・・。
ストコフスキーや、マゼールのチャイ5をいまさらながら好んで聴き、でもやはり、カラヤンの65年物が一番と思ったり、アバドのLSO盤だったり。
そんななかでは、ムラヴィンスキーは、いまの自分には、ちょっと強面すぎるのかもしれませんね。
凄すぎの演奏にはかわりありませんし、自分のなかの記憶を補完する意味でも、大切な音源にほかなりませんことは事実であります。
レコ芸に連載された、砂川しぎひさ先生の名演奏家たちのカリカチュア。
これ、最高!
ソ連邦全盛時代、これはいくらなんでも、おっかないですね~
あっ、そういえば、このブログも、11月で、開設9年を迎えましたよ~
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コメント
遅まきながら、9周年おめでとうございます。
ホームページ・ソフトの難しさを克服できない私は、相変わらず低空飛行しております(Builderは難しいっ!)。
ムラヴィンスキー、私も苦手です。カラヤンは克服したのに・・・。どうしてでしょうねぇ。
投稿: IANIS | 2014年11月24日 (月) 11時07分
やや、九年目ですか、おめでとうございます。
1977年・・・僕はまだ「およげ、たい焼きくん」
を聞いていた頃かもしれない・・・。
ムラヴィンスキーは中学の頃から聞いていますが
面白くて癖になってます(笑)
彼のブラームスなんて、面白くて面白くて。
しかし、砂川さんのイラスト、素敵!
こう言うの、今はより平和かもしれないけど、
発信できない世の中になりにけり、って。
投稿: スリーパー | 2014年11月24日 (月) 13時03分
こんばんは お久しぶりです。
ブログ開設9年目ですか。すごいですね。おめでとうございます。
今日は名盤鑑賞会なるイベント?に1年ぶりに参加してきて、奇しくもムラヴィンスキーのチャイ5を聴く機会を得ました。
この盤ではなくて1982年のやつでしたけども。
私はチャイコフスキーがあまり得意ではなくて、でもこのムラヴィンスキーのチャイ5はかなり楽しめましたです。
投稿: はるりん | 2014年11月24日 (月) 23時58分
yokochanさん
ブログ開設9周年!、誠におめでとうございます。2005年開設なんですね。私の場合、他の理由もあってこれはとても遠い昔です!
1977年は・・・。貧乏な学生生活を続けていた頃で演奏会などとても行けませんでした。ムラヴィンスキーはショスタコーヴィッチとチャイコフスキーだけ持っています。評論家によってはベートーヴェン、特に第4交響曲を褒める人もいますが、私は(きっと色眼鏡のせいで)評価しません。昔は「村瓶好き」なんて書いて喜んでいましたっけ。
投稿: 安倍禮爾 | 2014年11月25日 (火) 00時53分
お早うございます。ブログ開設9年おめでとうございます。2008年にベーム指揮のシェーンベルクのペレアスの記事に書き込みをさせていただいたのがブログ主様との出会いでした。ムラヴィンスキー閣下は故人の指揮者で最も好きな方の一人です。60年代初めにグラモフォンに録音したチャイコの後期3大交響曲は、高校時代から愛聴していますし、完璧という言葉はこの演奏のためにある言葉だと思っております。メータやアバドの洗練されたチャイコも好きですが…6年も私の馬鹿コメントに返信をいつも下さったことには本当に感謝です。不束者ですがこれからもよろしくお願いいたします。
投稿: 越後のオックス | 2014年11月25日 (火) 07時07分
IANIS兄貴、まいどです。
まだ、復帰までかかりそうですね。
一方で、膨大な記事ストック。
いつの日かの公開、楽しみにしております。
嫌いじゃないけど、よくわからないのが、ムラヴィンスキー。
同じ完璧でも、カラヤンの方が、スゴさがちがうような気もします。
投稿: yokochan | 2014年11月25日 (火) 21時44分
スリーパーさん、こんにちは。
ベートーヴェンの4番、モーツァルトの39番、オネゲルの3番など、異彩の演奏であり、すごいとは思いますが、ワーグナーもブラームスも、どうも・・・・
でも、タコは無条件にいいです!
砂川さんの、この絵のシリーズ。
全部持ってますが、ほんと、特徴をつかんでますね。
全部紹介したいけど、著作権などありますので。。。
投稿: yokochan | 2014年11月25日 (火) 21時48分
はるりんさん、こんにちは。
単に日々を重ねただけの年月の結果。
死ぬまでやるにく所存です(笑)
さて、それは奇遇。
ムラヴィンスキーには、いまや、いくつものチャイ5があって、わたくしもさっぱりわかりません。
○○年ものとか、ワインのように語れるようにはなれません。
投稿: yokochan | 2014年11月25日 (火) 21時51分
安倍禮爾さん、こんにちは。
さすがです、「村瓶好き」とはまたオツな!
熱心には聴けないムラヴィンスキーですが、この演奏会は、大学生の自分にとっては驚きでした。
ソビエト連邦の威光・威信をまざまざと見せつけられたような・・・。
ベト4とモーツァルト39も、評論家受けがよろしいですね。
微笑みを感じない音楽は、ちょっと辛いです。
投稿: yokochan | 2014年11月25日 (火) 21時55分
越後のオックスさん、ありがとうございます。
途中、投げ出しそうになりましたが、更新の頻度は落としつつも、なんとか続けてます。
音楽を聴く励みと、聴き方のバリエーションをもたらす意味で、これからも継続してまいりますので、こちらこそ、よろしくお願いいたします。
ちょっと苦手のムラヴィンスキー閣下ですが、大学時代を思い出して、当時の驚嘆を回顧することができました。
投稿: yokochan | 2014年11月25日 (火) 21時59分