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2014年11月22日 (土)

東京都交響楽団演奏会 マクリーシュ指揮

Geigeki

東京藝術劇場、ロビーの天井ですよ。

お友達にお声がけいただき、東京都交響楽団の定期演奏会に入ってまいりました。

翌日の、尾高&読響のエルガーは、都合により行けなくなって、がっかりしていたところ、ありがたきことでした。

渋いプログラムでしたが、その豊かなバラエティと、ひとひねりした選定に、とても満足できたコンサートでした。
あらためまして、ありがとうございました。

Tmso_201411

  コープランド    「アパラチアの春」

      
              ~13楽器のためのバレエ(原典版)~

  R・シュトラウス  13管楽器のためのセレナード op7

  メンデルスゾーン 交響曲第5番 「宗教改革」

               (ホグウッド改訂版第2稿)

    ポール・マクリーシュ指揮 東京都交響楽団

       
                     (2014.11.21@東京藝術劇場)


急逝してしまった、クリストファー・ホグウッドに替わって、同じプログラムを引き継いで、日本初来日を果たしのは、同じ英国の古楽系の指揮者、ポール・マクリーシュ。

ホグウッドは、古楽演奏のはしりの頃、その学究と鍵盤も含めた演奏力の高さで、管弦作品を多くとりあげ、革新を築いておりました。

そのふた世代ほど後輩になりますマクリーシュ氏は、すでに定着した古楽演奏のなかでも、声楽を中心とした作品に、あらたな旋風を吹きいれた名手であります。

モンテヴェルディから、ヘンデル、さらに最近は、ベルリオーズやブリテンまでもレパートリーにおさめ、躍進中。
ホグウッドもそうでしたが、最近の古楽系の演奏家たちは、音楽ジャンルの垣根はなく、近現代ものまでも、幅広く演奏するようになりました。

 そんなわけで、ホグウッドが得意にし、またCDにもなっているコープランドは、室内編成のものが原典版で、今回は、大きなホールでの演奏に不安を覚えましたが、都響のトップ奏者たちの精緻なアンサンブルを得て、マクリーシュさんは実に丁寧に、そして透明感豊かな桂演を披露してくれました。

 フルート、クラリネット、ファゴット、ピアノ、第1ヴァイオリン2、第2ヴァイオリン2、ヴィオラ2、チェロ2、コントラバス1の13人編成。

いつも聴く、オケの組曲版は、この原典版のだいたい3分の2ぐらいがチョイスされているといいます。
聴きなれない場面も多くありましたが、総じて、コープランドらしい、平明で、優しく、そして懐かしいムードにあふれてまして、オケ版でもそうですが、わたくしは、この曲を聴くと、西部時代のアメリカの光景を思いうかべてしまいます。
 そんな思いを頭に浮かべながら、この演奏を楽しみました。
長い曲(37分)になりましたが、やはりシェーカー教徒たちの聖歌、「シンプルギフト」の登場を心待ちにしてしまう。
そして、それは、とても豊かに演奏され、こちらの気持ちを、大いにほぐれ、心は、曲とともに静かに解放されていくのでした。

 ここで休憩が入り、今度は、管楽アンサンブルでのR・シュトラウス。
フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、コントラファゴット1、ホルン4。

ホルンを愛したシュトラウスならではの曲でもありますね。
10分ほどの可愛いサイズですが、17歳の若書きにかかわらず、落ち着きと、ほのぼのとした暖かな雰囲気の曲であります。
危なげのない都響のウィンドセクションですな。
合唱の指揮にも長けたマクリーシュさんですから、よくブレンドされた素敵な響きが、この大きなホールを満たしていきます。
清朗かつ清々しい曲に演奏でした。

出を控えた舞台袖から、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲が聴こえてきて、思わず笑顔になってしまいました。
お隣と、これは、雰囲気作りねと会話(笑)

そして、「宗教改革」ですよ。
ようやくオーケストラが勢ぞろいで、ティンパニはバロック仕様。
対向配置をとりました。
 そして、目立つのが、トロンボーンとコントラバスの間に陣取った、「セルパン」という楽器。

Serpent

こちらは、都響さんのサイトからお借りしました。
セルパン演奏の第1人者、橋本晋哉さん。
 セルパンは、古楽器のひとつで、グレゴリオ聖歌等、教会での宗教音楽の演奏に、音量補強用に奏されていたといいますが、わたくしは、初めてその存在を知りました。
フランス語で、ヘビっていうらしいですよ~~~(serpent)

メンデルスゾーンは、コラールが高鳴る終楽章に、この楽器を指定して作曲をしておりますが、通常は、チューバだそうな。

こんな、本格的なこだわりに、さらに、メンデルスゾーンが初演前に削除した音符を復元した、ホグウッド校訂版を選択するという珍しさ。

この曲は、どうしても「パルシファル」を思ってしまいます。
「ドレスデン・アーメン」があるから。
その場面が、少なめのヴィブラートで、しなやかに演奏されるのは、とても新鮮な聴きものでした。
マクリーシュ氏は、厳格なピリオド奏法を要求しておらず、響き合う音の競演を自ら楽しむかのような指揮ぶりに思いました。
英国指揮者らしい、中庸さも兼ね備え、スマートかつしなやか。
素敵な2楽章に、ちょっとアンニュイの3楽章もよかったですが、なんといっても、終楽章のコラールには、晴れ渡るような気持ちのいい思いを味わいました。
セルパン氏は、見ていると吹いていますが、全奏のときばかりなので、その存在が音としてははっきり確認できず残念。
 帰宅後、ネットで、橋本さんの解説と音を少し確認できて、なるほどの思い。

見聞を広めることもできた楽しいコンサートでした。

アフターコンサートは、こちらを紹介いただきました。

Opus

「Bar Opus」 音楽好きのマスターが、収集しているレコードをかけてくれます。

選んだのは、サヴァリッシュの「スコッチ」。

こんなレア音源ありまぁす!

もちろん、おつまみも、厳選されたお酒の数々も最高ですよ。

ご案内ありがとうございました。

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