プッチーニ トスカ マゼール指揮
横浜の開港記念館。
10月末から、11月の連休にかけて行われた、横浜スマートイルミネーションでのひとこま。
ふだんのライトアップは、暖色系のオレンジのみ。
今回は、パープル系。
横浜三塔のほかのニ塔も、美しく染められてました。
いつもは、再褐ですが、これ。
今夜は、横浜の街に似合うと、勝手に思ってる、プッチーニを、変わり種で。
プッチーニ 「トスカ」 ハイライト ドイツ語版
トスカ:アニア・シリア カヴァラドッシ:ジェイムズ・キング
スカルピア:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ
スポレッタ:ピエロ・デ・パロマ
ロリン・マゼール指揮 ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団
ローマ聖チェチーリア音楽院合唱団
(1966 @ローマ)
ドイツのオペラハウスでは、かつては、イタリアオペラも、フランスオペラも、ドイツ語で歌い演じることがあり、同様に、イタリアでは、ワーグナーもイタリア語上演したりしていた時代がありました。
いまでは、考えられないことですがね。
日本も同様、70年代までは、日本の劇団によるオペラ上演は、日本語訳で歌っておりました。
わたくしのオペラ体験初期の頃は、みんなそんな感じでした。
オテロも、ファルスタッフも、ヴォツェックも、みんな日本語。
でも、ワーグナーは、独語上演だった。
いまは昔のおはなしです。
そして、60年代を中心に、DGやデッカ、EMIは、独語によるオペラハイライト盤を、多数録音しておりまして、その歌手たちも、ドイツ系が中心で、ふだん、ワーグナーやモーツァルトを歌っているような強力な歌手たちが、ヴェルディやロッシーニ、ドニゼッティなどを軽やかに歌っていて、思わぬ貴重な音源となっているのでした。
マゼールのユニークな「トスカ」は、すでに取り上げました→トスカ
全曲盤は、ニルソン、コレッリ、フィッシャー=ディースカウという、個性の異なる超絶歌手を主役に据えての、ド迫力と、不思議なまでに繊細な演奏でした。
そして、まったく同じときに、FDさまと、名脇役デ・パルマだけが残って、ドイツ語抜粋盤が録音されました。
シリア、キング、FD。
まるで、ワルキューレか、ローエングリン、はたまた、フィデリオでも上演できそうな顔ぶれに、おののいてはいけません。
ドイツ語のゴツゴツ感は、随所に感じ、思わず吹き出しそうな場面(スカルピアの、行けトスカよ・・・は、Geh~になってるし)もありますが、全然OKなドイツ語。
そうそう、わたくし、このブログで、ホルスト・シュタイン盤をとりあげてました→トスカ
武骨な感じで、真っすぐの迫力がありつつ、以外に細やかな歌いぶりのキング。
プッチーニはお得意なはず。
蝶々さん以外にも、アリア集とか録音はあったはずなので、復活して欲しい。
FDさまは、独語になると、その狡猾さと、ずるさが際立ちます。
言葉の一つ一つを、これほどまでに全霊を込めて歌う歌手は、もうなかなかいませんね。
そして、アニア・シリアの以外なまでの少女のようなトスカ。
これ、聴いて、わたくしは、妙なことに、「ルル」を思い起こしてしまった。
可愛い感じでありつつ、シャウトすると、人を殺めてまで、歌と恋に生きる女性の強さを感じさせるのでした。
ニルソンの、怜悧さと、少しの大味ぶりとは、かなり違うトスカ。
そして、安定のマゼールの指揮。
全曲盤と同じく、ちょこちょこと、面白いこと仕掛けてきます。
その劇的なお運びのうまさは、さすがであります。
おもろいトスカ、おわります。
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