グィネス・ジョーンズ オペラ・リサイタル
12月になりました。
街は、集中しすぎの感はありますが、都会を中心に明るく着飾っております。
そして、昭和はますます遠ざかる思いをいだかせる著名人たちの訃報。
一方で、選挙も始まり、かまびすしく、流行語大賞も、レコードアカデミー賞もはやくも決まり、なんだかんだで、慌ただしいのであります。
そんななかで、暗くなると、そわそわしてきて、街を徘徊するオジサンひとり。
そうです、ワタクシ、イルミネーション大好きおじさんです。
そんなルミ男がワクワクしながら訪れたのは、恵比寿のガーデンプレイス。
ここは素晴らしい。
いまのところ、今年のイルミ大賞候補ですわ。
バカラのシャンデリアをいくつか組み合わせた、超ゴージャスなもの。
そして、ここへのアプローチは、イルミ並木に、ツリーが。
グィネス・ジョーンズ オペラティック・リサイタル
ベートーヴェン 「フィデリオ」
〃 コンサート・アリア「ああ、不実な人よ」
ケルビーニ 「メディア」
ワーグナー 「さまよえるオランダ人」
ヴェルディ 「イル・トロヴァトーレ」
〃 「運命の力」
ソプラノ:デイム・グィネス・ジョーンズ
アルジョ・クアドリ 指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団
(1966.11@ウィーン)
ウェールズ生まれの名歌手、グィネス・ジョーンズ、30歳のときの録音。
一般に、ギネス・ジョーンズと呼んでますが、Gwyneth Jonesなので、グゥィネスとか読んだ方が正しい。
ビールのギネスは、Guinnessで、こちらも微妙。
ジョーンズさん本人も、若い頃は、ギネスと呼ばれるので、その都度、「グゥイネス」と、正していたそうな。
70~80年代を代表するワーグナー歌手で、そのレパートリーは、ワーグナーにとどまらず広大で、R・シュトラウス、ヴェルディ、プッチーニまで。
そう、ビルギット・ニルソンに近い存在です。
でも、デイム・グィネスのその声は、人によっては賛否両論。
高音が強いので、耳にきつく響きます。
そのあたりが時として、声の威力に頼って、大味な印象にも結び付くからでしょうね。
しかし、わたくしは、昔から好きですよ彼女の声。
なんどか書いてますが、そのキンキンの高音と裏腹に、彼女の低音のグローリアスなまでの美しさは、極めて魅力的なんです。
だから、声のレンジが広い役柄が、もっとも素敵。
ブリュンヒルデ、ゼンタ、クンドリー、マルシャリン、バラクの妻、エジプトのヘレナ、トゥーランドットなどです。
わたくしは、彼女のイゾルデ、バラクの妻で、その舞台に接してますが、圧倒的なその声は、豊かな声量もさることながら、細やかでかつ体当たり的な迫真の演技とともに、いまでも忘れえぬ経験として、この身に刻まれております。
さすがは演劇の国、彼女の演技がまた素晴らしいのでした。
いくつも残された、DVDでそのあたりは確認できると思います。
そんな充実期の体験なのですが、この音盤は、まだ彼女が売りだしの頃で、コヴェントガーデンを中心に活躍し、ウィーンやベルリンでも歌いはじめたころ。
またバイロイトへの登場も、この年で、いきなりジークリンデでデビューしてます。
ちなみに、翌67年には、NHKのイタリア・オペラ団の一員として来日して、「ドン・カルロ」でもって、日本デビューしてます。
輝き始めのこちらの、彼女の声は、その魅惑の中低音域は、この頃からその片鱗がうかがえます。
静かな場面での、その歌声は、やはり、とても素敵なものでした。
しかし、強い箇所では、その強音が絶叫のように感じられ、まだそのあまりある声とパワーをコントロールできていないように感じます。
でも、30歳のビンビンの声は、それはそれで魅力で、ピチピチしてますよ。
ことに、ヴェルディがことのほか素晴らしかったです。
それと歌いなれた、フィデリオの迫真性と優しさ。
ゼンタのいっちゃってる感も素敵。
それとこの音盤の魅力は、ウィーンのオケと、それを指揮する懐かしい名前、クアドリさん。
日本によくオペラを振りに来てましたね。
東京フィルにも再三登場。
雰囲気豊かなオーケストラは、やはり、オケピットの響きがしますし、この頃のデッカの強力録音陣は、豪華な音がします。
そう、エリック・スミスとゴードン・パリーの名前がクレジットされてますよ。
ショルティのリングの頃ですからね。
(バイロイトでのエヴァ:1968)
デイム・グィネス・ジョーンズの声に、若い力をいただいたような思いです。
78歳を迎える彼女、いつまでも元気でいて欲しいです!
最後に、ゴージャス恵比寿を1枚。
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