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2015年1月18日 (日)

神奈川フィルハーモニー オーケストラ名曲への招待

Muza_1

昨年、10周年を迎えたミューザ川崎で神奈川フィル。

席によって音響がかなり違うミューザですが、今回は、海外オケなどでは、なかなか取れない1階センター席にて神奈川フィルを堪能。

ステージも近く、音も、リアルにそのまま耳に届く良席でした。

ことに、両翼対向配置をとったベートーヴェンでは、弦楽器たちの音の橋渡しが、ビジュアル的にも、もちろん音響的にも、手に取るように鮮やかに楽しめました。

Kanaphill_muza

  ワーグナー    舞台神聖祭典劇「パルシファル」 前奏曲

  コルンゴルト   チェロ協奏曲 ハ長調

  バッハ       無伴奏チェロ組曲第3番から サラバンド~アンコール

          チェロ:山本 裕康

  ベートーヴェン  交響曲第3番 変ホ長調 「英雄」

  J・シュトラウス  ポルカ「浮気心」 ~アンコール

     サッシャ・ゲッツェル指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

                 (2015.1.17 @ミューザ川崎シンフォニーホール)


ワーグナー好き、コルンゴルト好きを自認する自分にとって垂涎もののプログラム。
しかも、大好きな神奈川フィルなのですから。

さらに、次の定期も、コルンゴルトに、R・シュトラウスにブルックナーですよ。

こうした演目が多くプログラムにのるのも、昨今のオーケストラ界の風潮ではありますが、ともかくうれしく、喜ばしいことです。

 「パルシファル」前奏曲が演奏会で、単体取り上げられることは、珍しいと思います。
ほかのワーグナーの管弦楽作品に比べて、演奏効果をあげにくく、なんといっても地味で、かつ難解。しかも宗教性があるものですから・・・・。

しかし、わたくしは、「トリスタン」とともに、ワーグナーの革新性も含めた最高傑作だと思ってます。
舞台でも、何度も接してきましたし、映像・音源も多々。
 でも、そんななかでも、今回のゲッツェル指揮の演奏は、かなり上位に入るお気に入りのものとなりました。

清らかさと、崇高な荘厳さ。
これらを、音のにごりなく、透明感をもって描き出さなくてはならない。
その点で、明快な音楽造りのゲッツェルさんと、美しい音色を持つ神奈川フィルの演奏は、完全だと思いました。
ミューザの響きも、ワーグナーのこの作品を聴くに相応しいもの。
 ゆったりとしたテンポを維持しながら、音をしっかり長めに響かせるゲッツェルさんの指揮。
ワーグナーの呼吸を、完全に体得し、表現していたと思う。
オペラハウスでの活動も多いゲッツエルさん、ワーグナーもいくつかレパートリーに入れているようですが、今後さらに、取り上げ、ゆくゆくはバイロイト、なんてことも夢見てしまいたくなりました。
劇性の演出に長けた指揮者ですから、オペラは絶対にいい。
 パルシファルでの直立不動とも言える、静かな指揮ぶりは、その作品に相応しいものでした。

 そして、そして、この日の目玉。

プロによる、本格的な日本初演でありました、コルンゴルトのチェロ協奏曲

ヴァイオリン協奏曲は、このところ、極めて演奏頻度が高まり、協奏曲のレパートりーとして、完全に定着いたしました。
そのヴァイオリン協奏曲の日本初演者の方が、山本さんに働きかけ、楽団側も動き、コルンゴルトを広める皆さんの後押しなどもあって、この演奏が実現したと聞きます。

コルンゴルト・ファンとして、愛する神奈川フィルと、いつもお馴染みの山本さんのチェロでの演奏をここに聴くことができたことは、望外の喜びでありますとともに、わたくしの音楽ライフにおいても、大きなランドマークとなりました。

コルンゴルトのこと、この曲のことは、過去記事をご参照ください。
神奈川フィル応援の、フェイスブック記事にも、あらためて投稿いたしました。

12分の単一楽章ながら、原曲のロマンティック・サスペンスとも呼ぶべき映画、「愛憎の曲~Deception」の、三角関係と嫉妬と誤解が産みだす、まさに愛憎劇の内容を凝縮したかのようなドラマティックな音楽です。

ピアノ、チェレスタ、マリンバ、ヴィブラフォン、ハープといった楽器を要することは、毎度の近未来的な響きを醸し出す、コルンゴルトサウンドの重要アイテム。
 指揮台の背中のバーに、背をもたれながら、オケ全体、ソロの山本さんを俯瞰しつつ、微細にコントロールしながら、爛熟のウィーンを思わせる、あでやかなサウンドを作り上げたゲッツェルさん。

そして、あまりに素晴らしすぎた山本さんのチェロ。
昨年秋には、初見のこの曲に対する不安をお話されておりましたが、ほんの少しの間に、甘味なロマンティシズムと、シニカルなまでの哀感、そして、諧謔的な軽妙さ、これらのコルンゴルトの語り口を見事に体得されておられたことに、まったくもって舌を巻きました。
 つねに忙しく活動されているなか、プロの音楽家って、ほんとうにすごいと思いましたし、
なお、素敵なところは、そこに、いつもの山本さんらしい、優しさや、暖かな音色、繊細さも、この方の個性として、しっかりと織り込まれているところでした。
 音楽に夢中になって弾く真摯な没頭感も、裕康さんならでは。
第2エピソードとも呼ぶべき、ふたつめの抒情的な旋律が、静かに、まろやかに演奏されたとき、思わず、わたくしは涙が出てしまいました。
そして曲の後半、哀愁にとんだチェロもすんばらしい。
そこに絡んだ、山田さんのフルートも、やたらにステキだった。

急転直下のエンディングに、わたくしは、山本さんに、ゲッツェルさんに、オケに、そして、コルンゴルトに心をこめて、軽くブラボー一声献呈しました。
ほかの方の豪勢なブラボーにかき消されてしまいましたが・・・・・。

アンコールのバッハ。

多くの方が、ときに目を閉じて、心で感じるようにして聴きました。

阪神淡路から20年、サリン事件も同じく数日後。
あれからも、自然災害や事件はとどまりませんが、このバッハと、次のベートーヴェンの2楽章に、深い悲しみと、追悼の気持ちを、聴きながら深く思ったのでした。

Cine_2

コンサート終了後、とんでもなく気分がよくて、一軒目で、美味しいお魚を、やまほどいただき、最後は、ヨーロピアンなシネチッタ地区へ。

まさに、コルンゴルトのキラキラ感と、シネマのちょっと望郷の想いもよおすエリアです。

ウィーンっ子のゲッツエルさん。

親子で、ウィーンフィルのヴァイオリン奏者。

親父はベームの映像、息子は、クライバーやアバドの映像で、その演奏姿を発見することができます。
親子、そっくりなんですよ。

演奏者として、多くの指揮者のもとで、ヴァイオリンを弾いてきたゲッツェルさんは、もしかしたら、指揮者としては、カルロス・クライバーの劇的な自在さと、軽やかさを目標にしているのではないかと思いました。

2日前の県民ホールに続く「英雄」

あの日は、かなり細かい指示を出し、その動きも活発で、オーケストラやセクションを煽るようなしぐさも多々ありました。
今回は、1楽章では、その動きがかなり控えめで、流れるように、拍子は流線的に取りながら、切るような指揮ぶりは少なめ。
 オケから引き出された音楽も、明瞭で、快活なもので、ときに大きなしぐさから、切れ味いいパンチの効いた一撃も繰り出される。
 そして、前回と同じく、第2楽章は、豊かな歌と、深い悲しみをにじませたとても深い表現を聴かせていただきました。
クライマックスでの沈痛極まりない場面では、心が震えるほどでした。
ここでは、ゲッツェルさんは、両手を大きく高く振り上げ、最大限の音を引き出そうとしておりました。
 3楽章では、みかちゃんこと、豊田さんをはじめとするホルン3人がマイルドかつ爽快な演奏を聴かせ、少ない動きで、指揮者は弾力性ある音楽をしたてあげ、一気に終楽章へと流れ込む鮮やかさを見せつけてくれました。
 大きくなったり、小さくなったり、お尻ふりふり、右手左手交互に上下、いつものゲッツェル体操を見せてくれちゃいます。
一昨日は、左手をぶるんぶるん、かなり振りまわし、オケを煽ってましたが、ここでは、そこまではないかわりに、体操を披露。
 そうです、指揮者も乗ってきたし、神奈川フィルも、ゲッツェルの要求に見事に応えるようになって、こうしたライブな自在ぶりが発揮されたのでしょう。
 最終コーダの、猛然たるアッチェランドぶりには、ホール内一体となって、熱狂をよぶ大エンディングを巻き起こしました。

そう、前回とまったくことなる展開に、びっくり。
すごかった。

アンコールの「浮気心」も、前回よりノリがよかった。
楽しそうな指揮ぶりに、聴衆は釘付け。
演奏会を繰り返すごとに、この指揮者のファンが増えていきます。
みんな、大好きゲッツェルさん。
神奈川フィルとのコンビでこそ味わえるゲッツェル・ライブは、横浜・神奈川限定にしていただきたいもの。
海外でも着々とその実力と名声を高めつつあり、日本では、ここだけに!

ファンの祈りです。

フレンドリーで気取らないゲッツエルさんは、終演後、ロビーに出てきて、気軽にサインや写真撮影に応じられておりました。
わたくしも、ワンショットご一緒いただきましたよ。

コンサートの興奮そのままに、川崎の繁華街へ、応援仲間と進攻。

これでもかと出てきた、お魚の数々に大満足のWe Love神奈川フィル一行なのでした。

Isaribi_1 Isaribi_2

Isaribi_3 Isaribi_4

ほんの一例。

まだほかに、豆腐サラダ、カルパッチョ、煮魚、くじら刺し、から揚げ、デザートなどが次々に。

音楽も、お料理も、どっちもみんな、お腹一杯。

心から、こちそうさまでした。

そして、コルンゴルトは、またこのコンビで聴きたいぞ。

音源化を強く望まん!
       

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コメント

了解いたしました。
もう長く記事を書いてますが、そのあたりのことは、当然に理解しながらも、少しでも楽しい内容にしたいという思いで踏襲してしまっておりました。

対処いたします。
また自分なりに工夫を凝らしたサイトとして継続したいと考えます。

恐れ入りますが、読み人しらずの貴コメントは、非公開とさせていただき、自分への戒めとさせていただきたいと思います。

投稿: yokochan | 2015年1月22日 (木) 09時50分

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