神奈川フィルハーモニー音楽堂シリーズ第4回定期演奏会 川瀬賢太郎指揮
ところにより、雪まで降らせた先週、寒の戻りにもほどがある。
週末の横浜も、こんな空のもと、寒かったです。
うららかな陽気と春の空のもとで、楽しみたかった音楽会ですが、ご覧のとおり、頑張ってる桜を愛でてから、音楽堂へ向かいましたよ。
モーツァルト ホルン協奏曲第3番 変ホ長調
ピアソラ(大橋晃一編) アヴェ・マリア~アンコール
ホルン:豊田 実加
ハイドン 交響曲第45番 嬰へ短調 「告別」
シューマン 交響曲第3番 変ホ長調 「ライン」
川瀬 賢太郎 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
(2015.4.11 @神奈川県立音楽堂)
神奈川フィルの新シーズンの始まりは、まずは、音楽堂シリーズから。
春は、出会いと別れ、そんな初々しさと、ウィットに富んださみしさ、そして気分爽快さ。
そんな感じのプログラムでした。
そして、プログラムを読んで、気付かせていただいたこと、3つの作品に共通する、「3」。
その調性に、フラットないしは、シャープが3つ。
また、それぞれの曲の意味する「3」を巧みに解説されてました。
なるほどでしたね。
それはそれ、わたくしは、神奈川フィルがおりなす、いつもの柔らかく親密なサウンドに、心地よく浸ることができました。
まずは、実加ちゃんと、楽員さん、われわれ聴き手からも、親しまれるようになった神奈フィルの若い顔、豊田実加さんのソロでモーツァルト。
いつもホルンセクションの中にいるときは、小柄な彼女ですから、譜面の上から、ちょこんと頭だけが見えていただけですが、本日は、ソリストとして、臙脂に近い赤いステキなドレスで颯爽と登場。
わたくしを含む、多くの方が抱く、父親目線(笑)。
頑張るんだよ、と念じつつ、最初はちょっと緊張ぎみだったけど、暖かな川瀬さん率いる神奈フィルのバックに支えられつつ、いつもの彼女らしい柔らかで、素直な音色が、聴こえてまいりました。
音量でいうと、厳しいものがあるかもしれませんが、それを補う安定感(ときに、冷やっとさせてくれちゃうのも、いつもご愛嬌)と、艶のある音を引き出す彼女。
1楽章のカデンツァは聴きものだったし、たおやかな2楽章では、緩やかな春風のようなサウンドを聴かせてましたね。
そして、快活な3楽章は、キビキビしたオーケストラにのって、とても楽しそうに演奏してらっしゃる。
こうしたオケ仲間同士の、家族的なムードも、聴いて、拝見していて、われわれ聴き手は、ほのぼのとしてしまうのでした。
大きな拍手に迎えられて、アンコールは大橋さんの手によるピアソラの作品。
ロマンティックで、まるでノクターンのような感じのこの曲をホルンで聴くのも、とても心地よく、そしてとてもステキな演奏にございましたね~
素晴らしいホルンでした。いつかは、R・シュトラウスを朗々と吹いていただく日がくるかも!
終演後、「We Love 神奈川フィル」有志で、実加ちゃんにブーケ贈呈しました。
ご了解もいただきましたので、こちら。
次いで、曲調はうってかわって、短調に。
舞台袖には、「めくり」が置かれました、ん?、またなんかやるぞ。
疾風怒濤期の感情の嵐のようなこの「告別」交響曲。
緩急をものすごくつけて、鮮やかさ際立つ第1楽章で、モーツァルトの春の世界から、いきなり、春の嵐へ引き込んでくれた川瀬さん。
3拍子のキレもよく、思いきりのよさが、前にも増して出てきたと思います。
オーケストラも、その指揮にピタリとついていきます。
次ぐ2楽章の静かな穏やかさでは、前の楽章との対比が聴きものでした。
弦の音の動きを聴いていて、モーツァルトの40番を思い起こしてしまいました。
そして、可愛いメヌエット楽章は、チャーミングなフレージングが新鮮。
すっと消えてしまった3楽章のあと、仕掛け満載の、これはある意味ハイドンらしい終楽章は、元気一杯、これまたキッレキレで開始。
疾走感がまたある意味快感で、ハイドンの良さをストレートに伝えてくれる演奏。
音が弱まり、アダージョとなって、第1ヴァイオリンの下手から始まり、各奏者さんたちが、そろりそろりと、ときには、仲間を誘いつつ、指揮者の顔色をうかがいながら、ステージを去っていきます。
観客を振り返って、あれ?どーなってんの?的な困惑顔を見せる川瀬さん(笑)
かなり少なくなって、まさかの石田コンマス立ちあがり。
これがまたフェイントで、トップの崎谷さんと入れ替わり。
そして、その崎谷さんも、上司の顔色を伺いつつ、こっそり退却。
最後に残ったのは、石田さんと、小宮さん。
ついには、指揮者の川瀬さんまで、こそこそと静かに逃げ出し、照明も落ちて、ふたりのソロで静かにエンディング。
握手を交わすお二人、拍手を受けながら舞台を去りつつ、石田さん、あの「めくり」をそれこそ、ひとめくり。
そこには、「休憩」と記されてまして、われわれ聴き手は、ひと笑い!
ナイスでした
後半のシューマン。
編成を増やすかと思ったら、コントラバスが増えただけで、前半と同じプルト数(8・8・6・5・3)。
それでも、なみなみと鳴るオーケストラ。
神奈川フィルのシューマンで忘れ得ないのは、シュナイトさんとのもの。
同じ音楽堂で聴きましたが、そのときのプログラムは、ブラームスのハイドン変奏曲と、シューマンのチェロ協奏曲(山本さん)と「ライン」というものでした。
そのときの感動は、まだ覚えてますよ。
ヨーロッパの景色が思い浮かぶ、そして聖堂の大伽藍さえも、思い起こすことのできる充実極まりない演奏でした。
そして、その7年後の、若いシェフによるシューマン。
感じたままを、音にぶつける若い感性が、活きてましたね。
個々を捉えると、まだ消化しきれていない部分もありますが、それでも、その感性が最初から最後まで、一本貫かれていて、それが実に頼もしくも、眩しいのでした。
たっぷりと響いた1楽章。
弾けるティンパニ、ホルンの咆哮、突き抜ける弦。。。。とても爽快。
響かないシューマンのスコアを、ことさらに細工することなく、ストレートに鳴らすことの、ある意味快感を味わいましたね。これは、全曲にわたっていえたことです。
ときには、たっぷり弾いて、たっぷり鳴らすことの大切さを感じましたね。
音楽に生気が宿って、生き生きとしてくるんだ。
有名な大らかな旋律の第2楽章では、スケルツォ部分と中間のトリオ、とてもメリハリをつけて、フレーズを大きく強調する場面も新鮮。
神奈川フィルらしさ、優しい木管としなやかな弦の交差するさまが美しかった第3楽章。
どこをとってもシューマンらしい愛らしさが。
次ぐ4楽章と終楽章の対比も、この曲を聴くうえでの楽しさ。
あまり荘重すぎず、淡々と、描いた緩除楽章は、トロンボーンも加わり音楽堂の木質の響きが心地よく、次いで休みなくアタッカで始まった終楽章では、早めのテンポによる疾走感がとてもよい。
シューマンのぎくしゃくしたオーケストレーションをそのままに、流れを大切に、ここでも気持ちいい演奏に変わりはなし。
エンディング・コーダでのアクセルの踏み具合もとてもよろしくって、感興あふれる興奮のもとに、ばりっと曲を閉じました。
大きなブラボーが飛び交ったのは、いうまでもありません。
奏者も指揮者も、神奈川フィルの若い顔が、その個性にどんどん磨きをかけ、ベテランの皆さんたちと、いろんな融合や反応を起こしていくこと、それを見守ること、われわれファンの大きな楽しみとなりました!
あとひとつ、退団の方もいらっしゃり寂しい一方、ヴィオラ首席に大島亮さんが決まり、この日も、内声部がいっそう引き締まり、克明になったような気がしますこと、ここに記しておきます。
体調不良で、お休みしましたが、いつもの応援メンバーは、こんな美味しそうなものを食べながら、楽しかった演奏会の余韻に浸りまくったみたいですよ。
みなさまも是非、ご参加くだされ
湘南しらすピザ~
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