チャイコフスキー 交響曲第5番 カヒッゼ指揮
4月の小便小僧さんは、ほれ、ごらんのとおり、桜を背負った新入生。
天気のいい日でしたので、まさに、ぴっかぴか。
特製、小便小僧クンバージョンのランドセルも、カワイイ。
日本は、年度替りで、なにかと、新鮮なムードですが、海外、ことに欧米は、今年は、今時分が、イースターで、ロングバケーションをとるご家族も多く、都内は、欧米系の子供連れの家族がたくさん見受けられます。
ともあれ、新入生さん、新入社員さん、新人さん、すべての皆さんの、ご活躍、ご健勝を、お祈りいたします!
チャイコフスキー 交響曲第5番 ホ短調
ヤンスク・カヒッゼ指揮 トリビシ交響楽団
(1999.12 @トリビシ)
今月の月イチは、チャイ5で。
それも、謎の指揮者、謎のオケで。
この指揮者、このオケ、そして、レーベルは、MAZUR MEDEIAというもので、いまは、いずれも、まったく機能してなくて、散発的に復刻されてはいますが、かつては、秋葉原あたりのソフマップとか、こちらも、いまや、クラシックCDを購入するに、まったく相応しくない店で売られていて、ワタクシも興味シンシンで、いくつか購入したものでございます。
ナヌーイとか、リューブリアーナ響とか、さらに怪しげな組み合わせよりは、数等に、まっとうな演奏と録音のメンバーですよ。
いや、むしろ、変なオケを聴くより、ずっとうまいし、妙に味わいがある。
カヒッゼ先生は、1936年生まれの2002年没の、グルジア出身のソ連邦時代の指揮者で、トリビシ響は、彼の出身国の首都で、彼が造り上げたローカル・オーケストラであります。
いまでは、活動していないそうですが、ともかく、遠い日本で聴く、異世界のオーケストラは、面白いものです。
ソ連人として、活躍していたカヒッゼさんは、みずから、グルジア響を創設し、その指揮者となり、同時に当地の歌劇場も統括し、ソ連邦の一員として、グルジア地区に文化貢献しました。
ソ連崩壊後、1991年に独立したグルジアは、そのすぐあとの、ゴルバチョフの右腕的存在であった、同地出身のシュワルナゼが大統領となり、西側の国として、脱ロシア、親EUに根差した国となってます。
その立地上、ロシア、トルコ、アルメリアなどに囲まれ、かつ、黒海に面することから、ワインの産地であったりと、とても複雑な国情に変わりはないようですが。
だから、カヒッゼ先生も、トリビシ響も、そんな背景を得て、ロシア的な重厚さや、威圧感、
右に倣え的な統率感は、かなり少なめで、不思議な明るさと、明快さ、そして、おおざっぱな雑加減が、いい感じに作用している感じが、妙に新鮮なのです。
大国に飲みこまれてしまった、近隣諸国の個性は、おいそれとは回復できませんし、へたすれば、飲まれてしまったゆえの、その個性も本来、弱かったのかもしれません。
音楽を聴きながら、その各国の事情や、歴史背景をあれこれ探るのも、これまた、音楽を聴く楽しみです。
さて、ソ連時代から、独立国までを、駆け抜けたカヒッゼさんのチャイ5。
熱すぎず、寒すぎず、かといって、凡庸でもなく、不思議な味わいのある演奏です。
1楽章は、陰影ありすぎのクラリネットの開始に、ちょっと揺れる感じの他の木管に、おおっと思いつつも、意外とストレートに進行する流れ。
緩急は、この楽章をはじめ、かなりついてまして、気が抜けない。
2楽章は、思いのほか、ストレートな解釈。
録音のせいか、風呂場から聴こえるようなホルンに、妙に感心しつつ、やりすぎ感も漂う吹き方で、その印象は、のちの展開にも継続。
しかし、それらも、中途半端で、もっとやるなりゃ、やりゃぁいいのに・・・・って感じ。
オケは、でも、うまいぞ!
3楽章は、可も不可もなし。
思いのほか、なめらかな展開じゃん。
4楽章、激しいティンパニの殴打。
克明な展開ながら、一音一音を、丁寧にあつかっていて、突っ走る感は少なく、どしどしと進行。
でも、ロシア的な、おらおら感や、壮大な大地感はなくって、サバサバ感が優先。
このあたりも、不思議な感覚で、とりとめないままに、曲は進行して、終わってしまう。
個々には、オモシロおかし的な場面が随所に噴出しつつ、全体の流れが作れず、これといった印象を、聴き手に与えることができない、そんな典型の演奏。
しかし、再度ですが、そんな国の、そんな指揮者の演奏なのですが、そこに、歴史と、いろんな背景があるんです!
それが、おもしろい♪
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コメント
グルジアのカラヤン、ことカヒーゼさんはいぜんヴィルサラーゼ(p)の検索でききました。親子でやっているらしく、ヴァクタンとかいうのは息子さんだそうです。お国ものだけあってハチャトゥリアンなんかはムラヴィンスキーよりうまいと思います。どうしても民族ものとなると、芸術性よりもノリだから。
グルジア音楽の海外サイトにいっぱいでていましたが、カンチェリとか、ナシーゼ、クヴェルナーゼ、グロンティ、マチャヴァリアニなんていう、完全にわけのわからないものばかり(笑)。でもレパートリーがおおいということは、巧みなのかも。ようつべでグレートをきいてみましたが、なかなかおもしろ演奏。
チャイ5にはワルターのとか、いろいろ怪演が多いみたいですね。
投稿: もちだ | 2015年4月 4日 (土) 23時01分
もちださん、こんにちは。
たしかに、グルジアの方々のお名前って、ほんと、どんな方か、さっぱり想像もつかないものが多いですね(笑)
カヒッゼさんの息子も聴いてみたいものです。
今回の、親父の方の音源のこのレーベルは、いまは入手難のものばかりですが、怖いものみたさで、これまたいろいろ聴いてみたいと思います。
過去記事ですが、グリーグを取上げてますが、明るい系の演奏でした。
チャイ5の世界は、まだまだいろんなものがあって、深いです。
投稿: yokochan | 2015年4月 6日 (月) 21時56分