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2015年5月28日 (木)

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番 ルービンシュタイン

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眩しくも鮮やかな新緑。

緑は、いまが一番、空にも、街にも、映えますね。

もうじき梅雨を迎える、濃くなる前の、そんな前の緑が美しい。

若々しい、緑のような音楽を。

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   ベートーヴェン  ピアノ協奏曲第1番 ハ長調 op15

        Pf:アルトゥーロ・ルービンシュタイン

   ダニエル・バレンボイム指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団

                      (1975.4.9 ロンドン)


ベートーヴェンの5つのピアノ協奏曲のうち、何番がお好きですか?

そんな質問があったら、クラシック聴き始めの自分だったら、1番か5番。
そのあと、そこそこ、クラシックに馴染んだ自分だったら、4番。
そして、いま、普通もいいけど、それじゃすまない、多方面外交にうつつをぬかす自分だったら、1番か3番。

聴き始めのころの好印象の1番が、いまのヲタク聴き的な自分からしても、かなりのお気に入り位置にいることに、妙にうれしかったりします。

調和のとれたハ調、モーツァルトの協奏曲の延長上にありつつも、ベートーヴェンならではの、キリッとした表情と、青年の主張的な爽やかさと、たどたどしさ。
 1番には、そんな清潔な美感と、旋律の美感があふれているんです。

1794年、ベートーヴェン24歳のときの作品は、出版の関係から、2番の方があとになったが、実は、この1番の方が後年の作品。
1番・2番ともに、古典的でありますが、作曲家の思いを強くしみ込ませ、後の、ロマン主義の萌芽を、より見出すことのできるのは、1番の方。

うららかな歌と、抒情にあふれた3つの楽章を、晩春に聴くと、寂しさよりは、これから始まる自然の爆発を、より強く感じることができます。
 とりわけ、たおやかな第2楽章がステキです!

ルービンシュタインは、この録音時、すでに88歳。
生涯に3度のベートーヴェンのピアノ協奏曲全集を残したルービンシュタイン。

56年に、クリップス&シンフォニー・オブ・ジ・エア~56歳
63年に、ラインスドルフ&ボストン響~76歳
75年に、バレンボイム&ロンドン・フィル~88歳

どうです、この履歴。
人間の生きざまの、可能性として、こんなに嬉しい年代の記録ってないです。

88歳の老人(失礼)が、かくしゃくと、寸分たがわず、明晰に弾くベートーヴェン。
そして、そここに、味わいのある、タメやフレーズの歌い回しが。

これはもう、なにをかいわんやの世界です。

ほかの番号も、同様に素晴らしいのですが、88歳の老齢の巨匠が、24歳の作曲家の曲を、いかにも、昨日今日出会ったかのような、新鮮なタッチでもって演奏する、そんな1番が、とっても美しく、鮮やかなんです。

指揮に、バレンボイムというのも斬新な70年代半ば。
バレンボイムは、アシュケナージとならんで、ベートーヴェンのピアノ協奏曲の、ピアノ弾き語りと、ピアノ独奏、オケ指揮という、文字通り多方面の顔を、CDに刻んだ、最初の超人であったと思います。

流れと、勢いにまかせて、今宵は、このコンビの演奏で、3番なんぞも、聴いてみようと思ってます!

しかし、歳を経て、年代と共に、アダージョなどの緩徐楽章にこそ、心奪われるようになってきました。
ちょっとの、ギャラントさも残す、1番の2楽章が、この演奏では、このうえなく、達人の演奏の域に思えるのでございました。。。。

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コメント

こんにちは
新緑にピッタリの選曲ですね!
ベートーヴェンのピアノ協奏曲のなかでも第1番は若い時から好きで、最初はやはり「皇帝」でしたが、これまでで聴いた回数ではこの曲が一番ですね。
何度聴いても飽きることがありません。

ベートーヴェンの作品というと後期の作品ということになりますが
最近は初期の作品がとても気に入っています
交響曲1番、ピアノ・ソナタ1番や弦楽三重奏曲やセレナード、それに七重奏曲など
どれも星雲の志の満ちた若き日のベートーヴェンを感じさせ、苦渋の顔したベートーヴェンとは違った楽しさがあって好きです

投稿: パスピエ | 2015年5月30日 (土) 15時23分

パスピエさん、こんにちは。
ありがとうございます、新緑にベートーヴェンの若書き。
ほんと、いいですよね。
この1番は、レコードで、例のダイアモンド1000シリーズのブレンデルにて、刷り込みとなってます。
ベートーヴェン生誕200年の年に、擦り切れるほど聴きました。

そして、わたしも、初期と、そして後期をよく聴くようになってます。
「星雲の志」、まさにそういうイメージです。
素晴らしい表現ですね。
いま、1番から3番のソナタを聴いてました。

投稿: yokochan | 2015年5月31日 (日) 11時02分

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