ワーグナー 「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死 ティーレマン指揮
連日、暑い日が続き、その合間に台風の影響もあってか、驟雨にみまわれる首都圏。
風が強くて、雲も勢いよく流れます。
夕方には、ドラマティックな夕焼けの光景が展開されます。
そんな日に、ビルの屋上で東京タワーと一緒の夕焼け風景を撮ることができました。
ワーグナー 楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死
クリスティアン・ティーレマン指揮 フィラデルフィア管弦楽団
(1997.4 @コーリングスウッド、ニュージャージー州)
ウィーン国立歌劇場
イゾルデ:デボラ・ヴォイト
(2003.5 @ウィーン国立歌劇場ライブ)
今年も、始まりますよ、バイロイト音楽祭。
ここのところ、画像だけで、けちょんけちょんにして、がっかりしているものだから、中学時代からの積年の夢であります、聖地訪問の志しは、年々、衰えている最中であります。
ドイツの劇場は、意外と画像の放出に寛大なものだから、先に、画像ニュースが飛び込んできて、映像作品として味わうよりも前に、だいたいのところが想像できて、辛口の言葉を紡いでしまうのです。
個人のつぶやきですので、そのあたりは、今年も、寛大なお心をお持ちになって、どうかお許しください。
今年のバイロイトの演目 7月25日が初日。
「トリスタンとイゾルデ」 新演出 カタリーナ・ワーグナー ティーレマン指揮
S・グールド、ヘルリツィウス、ツェッペンフェルト、ペーテルソン、C・マイヤー
「ローエングリン」 ノイエンフェルス演出 アラン・アルティノグリュ指揮
フォークト、ダッシュ、ラシライネン、P・ラング
「さまよえるオランダ人」 グローガー演出 アクセル・コバー指揮
サミュエルとクワンチュルのユン韓国コンビ、メルベート、ムツェーク
「ニーベルンクの指環」 カストルフ演出 キリル・ペトレンコ指揮
コッホ、ドーメン、マーンケ、ボータ、カンペ、フォスター、フィンケ、コンラッド
ブルメイスター、ミリング・・・・
以上のリング+3演目。
パルシファルは、今年もお休みで、来年、恐怖の奇抜演出家による新演出(笑)で、そちらの指揮は、ネルソンス。
異母姉妹のエヴァが共同監督から降りる前の、妹、カタリーナの新演出による「トリスタン」。
バイロイトでの演出は、マイスタージンガーに続いて2作目で、相棒は、いまのバイロイトの音楽監督とも呼ぶべきティーレマン。
待望の新演出ですが、大植英次がプリミエを指揮したマルターラーの長く続いた演出以来、10年ぶりの新トリスタンです。
当初、イゾルデは、アニヤ・カンペが予定されましたが、ジークリンデ役で、ずっとバイロイトで高評価を得ていた彼女は、イゾルデへの挑戦を断念し、降りてしまいました。
変わりに、といっては失礼なくらいに、きっと立派なイゾルデを演じ歌うでありましょう、ヘルリツィウスに、今回も、きっと救われることとなるでしょう。
トリスタンは、お馴染みのグールド。
新国でも、熱き名唱は、忘れえぬものですからして、他の諸役も充実の顔ぶれだし、ティーレマンだから、音楽面での成功は約束されたようなものです。
カタリーナの、思いつきではない、シンプルな演出を期待したいです!
ずっと続いたノイエンフェルスによる、ねずみローエングリンは、ヘンテコなキモイ演出の「タンホイザー」が打ち切りになったため、延長。
ゆえに、指揮は、ネルソンスに変わって、フランスのオペラ指揮者、今後、大注目のアルティノグリュ。
なにげに、おなじみ、ラシライネンが初テルラムント。
へっぽこ演出ゆえか、降りたタンホイザーのヘンゲルブロック、そのあとを指揮したアクセル・コバーが、今度は、ティーレマンに変わって「オランダ人」。
実務的な指揮ながら、ドイツのオペラハウス叩きあげの典型のような、いわば、シュタイン的な存在のひとに思います。
おそらく、最後の出し物になって欲しい、その扇風機工場オランダ人は、韓国系歌手ふたりが主役級。
そして、「リング」は、ペトレンコ。
このバイロイトで、ベルリンフィルの指揮者を期せずして争うこととなった、ティーレマンとペトレンコが、同じ時期に、その指揮台に立ちます!
今年の、バイロイトの最大のトピックは、申し訳ないけど、カタリーナのトリスタン演出じゃなくて、今後の指揮界をしょってたつ、ティーレマンとペトレンコのふたりが、聴けるという点にあるのではないでしょうか!
ちなみに、ペトレンコのリングの指揮は、今年まで。
後は、降りてしまいましたが、アルティノグリュか、コバー、もしかしたら、P・シュナイダーの復活も・・・・、そんな風なことを思いめぐらすのも、ワーグナー好きの楽しみです。
さてさて、今年の新演出の「トリスタン」。
ティーレマンは、DGとの録音の早い時期にフィラデルフィアと管弦楽曲として。
その後に、ウィーン国立歌劇場でのライブを、それぞれ、録音しました。
フィラ管とのコンビは、いまや貴重な組み合わせですが、長く、サヴァリッシュが指揮し、そして愛された土壌を、このドイツ的な重厚でありつつ、音色の豊かな演奏に感じます。
念入りに、じっくりと、タメもたっぷりに演奏された、この「前奏曲と愛の死」は、演奏時間19分40秒。
あらためて、スコアを見ながら聴いてみましたが、一音一音、ほんとにたっぷり弾かせているし、休止も完全にしっかり取ってる。
流れに任せたようなところは一切なく、ティーレマンの思う通りの完璧な音符の再現をなした演奏です。
そこには、トリスタンの持つ、情念やうねりは、逆に感じることがないのも事実。
面白いものですね。
コンサートオーケストラを指揮したゆえかもしれません。
ただ、これを、ワーグナーのオーケストラ曲として、単品で楽しみならば、完璧な演奏です。
一方、6年後の、ウィーンでの劇場ライブで、この「前奏曲と愛の死」だけをチョイスしてみると、その演奏時間は、18分42秒。
ほぼ1分、早くなってます。
オペラのオーケストラとしてのウィーンフィルとともに、ピットに入ったティーレマンの指揮には、ライブ感にあふれた自在さを感じ、ドラマの起承転結の、最初と最後を切り取ったかのような思いをいだきます。
前奏曲では、焦燥感を描きつつも、まだ燃焼不足ですが、愛の死では、大きな物語を集結させる大河の流れのような安堵感と集結感があります。
これぞ、オペラ指揮者ティーレマンの本領なのでしょう。
このように、切り取って聴くべきじゃない、全曲録音と、最初から20分のドラマに集約しようとした管弦楽曲録音との違いをまざまざと感じました。
違ってあたりまえですが、その点、カラヤンは、スタジオ録音では、どちらも均一だったように思います。
でも、ライブでは凄かった!
さて、明日開幕の、バイロイト・トリスタンの画像をドイツ紙から拝借。
ブルーな感じですな・・・
3幕の牧童とクルヴェナールでしょうかね・・・・・
過去記事
「トリスタンとイゾルデ」 ティーレマン&ウィーン国立歌劇場
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