ブラームス ハンガリー舞曲 アバド指揮
文字通りの笑顔。
いろんな民族の顔。
先週の、靖国の御霊祭での、各界著名人たちの筆による提灯のなかから。
いろいろと難しいこともありましょうが、ともかく、世界が平和であってほしいもの。
でも、そんな思いや笑顔を蹂躙する指導体制にある国が、いくつもあることはたしか。
人々は、「みんな笑顔」で、それぞれの立場で接することができるんだけど、国レヴェルではどうにもならないということ。
世界中のあらゆる民族には、その民族の心や生活に根差した「調べ」が、必ずあります。
クラシック音楽のいいところは、思想信条は抜きにして、そうした音楽たちを、心置きなく楽しめること。
各地の舞曲シリーズをさりげなくやりましたが、最後は、中欧の香り満載の、ブラームスの、ハンガリー舞曲を。
ブラームス ハンガリー舞曲 全21曲
クラウディオ・アバド指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(1982,4,6 ウィーン、ゾフィエンザール)
ハンガリー舞曲は、ブラームスのジプシーの民族音楽から素材を得ての編曲で、全部で21曲。
これを一度に聴くと、正直飽きてしまいます。
その時の気分によって、つまみ聴きするか、BGMみたいにして流し聴きするのがいいかも。
そして、それぞれの短さと盛り上がりの効果から、コンサートのアンコールピースとして定番の曲もいくつかあります。
この点も、ブラームスがアドヴァイスしたという、ドヴォルザークのスラヴ舞曲と兄弟のような関係にあります。
若きブラームスが、レメニーというヴァイオリニストとピアノでコンビを組んで、楽旅したおりに、そのレミニーからハンガリー・ジプシーの音楽の魅力を教えられた。
数十年後、ピアノ連弾用のハンガリー舞曲を出版し、さらに、10年後には、第2集を完成させる。
1集目のときに、レメニーから著作権の問題を指摘されるも、ブラームスのこの曲集は、編曲でるということで、うまく折り合いが付いたと言うのも高名なおハナシです。
21曲をオーケストラ編曲したのは、ブラームス以外に、ドヴォルザークも含めて複数いて、その力量にも差があったりして、曲によってはさっぱり印象に残らないものもあったりです。
そんな訳で、全曲試聴は、ちょっと中だるみが伴うのですよ。
編曲の編曲というややこしいおハナシ。
アバドのこちらの全曲録音は、早いテンポで、ずばずばと、軽快に、そして、ウィーンフィルならではの明るく、丸っこい音色も魅力的。
切れ味よろしく、リズム感も豊か。
郷土色は薄目でも、スマートで軽快なハンガリー舞曲です。
聴いていると、アバドのあのニコニコ笑顔が思い浮かんでくるようです。
ロンドン響との来日でのアンコールは、お得意の1番でした。
ことあるごとに、この1番や5番、6番を演奏してましたね。
国内盤の初出レコードのこのジャケットが一番好きですな。
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コメント
このアバド盤、DGのブラームス生誕150周年記念の『ブラームス大全集』の一環で成された、レコーディングでしたでしょうか。愚生の観念でもブラームスのこの舞曲は、数曲取り出して耳にしたり、演奏会のアンコールで接する聴き方を、好みます。ヴィヴァルディやヘンデルの12曲で作品○として編まれた作品とおなじで、全曲ぶっ続けに接する必要性は、無いかと‥。ちばてつや氏の画に感激です。やっぱりこのお方は、『あしたのジョー』の悽愴感極まる画風より、『ハリスの旋風』のようなのびのびしたそれが、よろしいですね。小学2~3年頃に水木しげるさんの『墓場の鬼太郎』ともども、『少年マガジン』誌を夢中で開いて居たものです(笑)。
投稿: 覆面吾郎 | 2019年10月 7日 (月) 08時41分
アバドのハンガリー舞曲は、スタジオでの一挙録音ですが、単独で発売されたときは、ブラームスのアニヴァーサリー云々とは宣伝されなかったように記憶してます。
このコンビらしい、明るく歌心にあふれた桂演です。
ハリスの風~ あの歌をよく覚えてます。
わたしもマガジンや、のちのサンデーをよく読みました。
ちばてつや氏の毎年の靖国神社への絵の寄稿は、見ごたえがあります。
投稿: yokochan | 2019年10月 9日 (水) 08時45分