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2015年8月 6日 (木)

チャイコフスキー 交響曲第5番 ドゥダメル指揮

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暑い暑い8月の夏の小便小僧。

今月は、完全夏装備の秀作でした。

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褐色の肌もさらしてますね。

この姿を拝見して、うだる暑さも、ちょっと和らぎましたよ。

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  チャイコフスキー  交響曲第5番 ホ短調

    グスターヴォ・ドゥダメル指揮 ベネズエラ・シモン・ボリバル交響楽団

                      (2008.1 @カラカス)


今月の月イチは、チャイ5。

熱~い演奏で。

もうみなさまご存知の、中南米は、ベネズエラが誇るオーケストラと、そのオーケストラとともに育った指揮者による演奏。
その指揮者、ドゥダメル君は、あれよあれよという間に、齢34歳にして、ベルリンフィルの首席指揮者候補にもなってしまった、ありあまる才能の持ち主。

欧米の専売特許だった、西洋音楽たるクラシック音楽の演奏の裾野が、全世界に、しかも均一なほど、高度な演奏技量を伴い広まった。
21世紀になってから、ますます痛感した感覚です。

その最たるものが、ベネズエラのこの指揮者とオーケストラ。

1821年に、スペインから独立したベネズエラは、その後も幾多の変遷を経て、いまに至るまで、政情も不安定な国なのですが、その経済を支えてきたのが、OPECにも加盟し、産油国として原油輸出国であったこと。
 しかし、豊かな富は、ごく一部に限定され、貧困層を多く抱える構造的な問題を常に抱える国でもありました。
 しかし、その貧困層の児童たちに、楽器を持たせて、「エル・システマ」という音楽教育プログラムを実践し、多くの音楽家とユース・オーケストラを国家基金のもと、生まれることとなりました。
この1975年から始まったシステムが生み出したコンビが、ドゥダメル&シモン・ボリバルですな。

「シモン・ボリバル」は、19世紀、ベネズエラを始め、ボリビアやペルーなどの中南米5カ国の独立を導いた英雄の名前、そのものです。

その彼らが、初来日したのが、2008年12月で、わたくしは、NHKのテレビ放送を観劇しましたが、舞台にはち切れんばかりの、超大編成にもかかわらず、その完璧なまでのアンサンブルの精度の高さは、アクロバティックでありながらスポーツ的な快感をも与える、そんな演奏ぶり。
さらにスペイン語が言語であるラテン系の典型、喜怒哀楽をまともに感じさせる音色と演奏姿は、後半に進むにつれ、見ていて、クラシックのコンサートが、お祭りのようなワッショイ大会に変貌してしまう、そんな熱いものでした。
 その時の曲目は、「ダフ・クロ」と「チャイ5」なのでした。
そして、熱狂的なアンコールは、youtubeなどでも、見ることができると思いますので、体験してみてください。

この来日公演より11ヶ月前の本拠地でのライブが、今日の音盤。

来日公演を保存してありましたので、聴き比べましたが、全体の流れは、ほぼ同じ。
でも、情熱の塊的な、もの凄さは、来日公演の方に強く感じます。
それでも、DG盤でも、終楽章のド迫力と、血沸き肉躍る熱き演奏には興奮できます。
そして、第2楽章のこれでもかというばかりの思い入れの込め方。
テンポを結構、揺らしますが、あざとさは感じさせず、ナチュラルなのは、ドゥダメルの才能でありましょう。
 音楽の楽しさを、聴く側以上に、演奏する側が享受しているという、あまりに好ましい典型であります。

ドゥダメルは、この後、エーテボリ響や、ロサンゼルフィルの音楽監督となり、ベネズエラを出て、世界的な指揮者として引っ張りだことなりましたが、ことに、ロスフィルとの相性は抜群のようで、ウィーンやベルリンよりも、のびのびとして感じます。

一方、シモン・ボリバルは、多忙となったドゥダメル君が、今後も、このオケを率いることができるかが鍵だし、ポスト・ドゥダメルが問題となるでしょう。

しかし、それ以上に気がかりなのが、ベネズエラという国自体の存在。

原油価格の暴落で、まともに影響を受け、国内は慢性的なインフレ。
音楽は、心を救い、満たすことはできるが、物理的な豊かさは、どうなるのだろう。
1999年に誕生した、チャベス大統領政権が、まさに独裁政権として、反米路線を敷いて国を率いてきたが、そのチャベスも2013年に死亡し、いまは暫定的な政権のもとにあります。
 さらに、反米という絆で結ばれたカリブのキューバが、アメリカと国交回復して急接近。
まさに、梯子を外されてしまったベネズエラに、さらに、急接近する中国。
もともと反米だから、IMFからの借款をできない故、その中国からは、4.5兆もの借款を受けていて、ベネズエラのデフォルト説もあります。
その中国自体も、どうなるかわからない状況。
世界経済と政治の火種は、ベネズエラにもあるんですね。

そんな状況下の若者たちのオーケストラは、どうなるんでしょう。
ドゥダメルも、その立場上、やむないことでしょうが、独裁政権との強い関係もときに批判を受けたりしているようで、なんだか、とっても寂しい思いです・・・・。

そんなこんなを、チャイコフスキーを聴きながら、思ったりもした、暑い夜でした。。。。

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