ストラヴィンスキー 「ペトルーシュカ」 ニューヨーク・フィル
千葉都市モノレール、千葉駅へ到着するところ。
懸垂式なので、一瞬、びっくりしますが、乗り心地は、いたってよろしいですよ。
ただ、街中に、大きな柱がいたるころに立っていて、景観的にはちょっとのところがありますが。
最近は、いろんなラッピングが行われたり、アニメとのコラボレーションや、車内ライブなんかもあったりしますから、面白いです。
千葉駅は、JR駅がただいま長期建て替え中で、ずっと工事しているイメージなのですが、7階建ての駅ビルが2018年には完成して、このモノレール駅とも通路でつながるそうな。
ストラヴィンスキー バレエ音楽「ペトルーシュカ」
レナード・バーンスタイン指揮 (1969.5 @フィルハーモニックホール)
ピエール・ブーレーズ指揮 (1971.5 @フィルハーモニックホール)
ズビン・メータ指揮 (1979.5 @エイヴァリー・フィッシャーホール)
ニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団
お盆も終わり、甲子園も終了し(東海大相模、万歳!)、夏の威力は、徐々に弱まっている今日この頃。
晩夏には、「ペトルーシュカ」がお似合い。
華麗でありながら、かなり寂しく、ペーソスにもあふれた、人形と人間の世界の綾なすバレエ音楽。
1910~1年の作。
ディアギレフが、その完成を心待ちにしたハルサイと、同時進行しながらも、そのディアギレフが、作曲途上のペトーシュカに惚れこみ、その想いの後押しもあって、一気に完成させたのが、ペトルーシュカ。
「恋をしたわら人形(ピノキオ)は豊かな感情をもって、自らの悲哀を最後は亡霊となって人々の前に現れる。
いじめられっ子が、最後は霊や憎しみの返礼として復元し復讐する。
いまや、チープなオカルト映画みたいだけれど、わたしのような世代には、そんな恐ろしい映画やドラマが流行ったものだ。
ペトルーシュカは、サーカスという、これまた哀感あふれるシテュエーションの中に生きた悲しみの存在。
そのシテュエーションは、外部からは華やかな世界だけれど、内部は悲喜こもごも、嫉妬や差別の横行する辛い世界。
ペトルーシュカは、人間社会への警鐘でもありましょう。
最後、ペトルーシュカは、霊となって怒りもあらわに登場。」
以上、「」は、過去記事から引用。
ニューヨークフィルの歴代指揮者が「ペトルーシュカ」だけは、揃って、同団で録音してます。
思えば、ブーレーズには、NYPOでも、ハルサイを録音して欲しかったな。
①バーンスタインは、実に活きがよくって、ハツラツとした表情が、いかにも、おなじみのレニーっぽい。
後年のイスラエルフィルとの再録は、悠揚迫らぬ雰囲気もありつつ、でも元気ある演奏だったけれど、NYPO盤は、表情が明るく新鮮な思いを聴き手に与えます。
コンサートスタイルで、かつ劇的。
これで、踊るのはたいへんかも。
②ブーレーズは、ほかの2盤が1947年版なのに対し、初演版の4管編成の1911年版。
録音のせいもあるけど、響きが豊かで、壮麗極まりなし。
テンポ設定は、早めで、キビキビと進行しつつ、切れ味も抜群。
冷徹でありつつ、音は熱い。
バーンスタイン盤より、録音がキンキンして聴こえるのは、古いCDのせいか。
CBS録音の、クリーヴランドとのハルサイとともに、最新の復刻盤はどうなんだろうか。
版のこともありけど、小太鼓が繊細で、音色を感じさせるのがブーレーズならではのこだわり。
1975年、バーンスタインとブーレーズのふたりに率いられて、ニューヨークフィルが来日しましたが、当時、高校生だったワタクシ。
翌日が、試験だったのに、文化会館で、ブーレーズの演奏会を聴きました。
試験は、見事に、赤点だったのですが、斜め横に、バーンスタインも隣席し、指揮棒を持たないブーレーズの颯爽とした指揮と、オーケストラの精度の高さに驚きました。
このときのプログラムがまた面白くて、マイスタージンガー、イタリア、キルクナーの曲、ペトルーシュカの4曲。
このときは、ふたりで、ストラヴィンスキーの三大バレエを演奏してるんです。
ブーレーズのイタリアやベト2、バーンスタインのマーラー5番にエロイカですよ!!
高校生だったわたくし、もう、興奮しまくりでしたよ。
いま思えば、さらなる赤点覚悟で、この4演目、すべて聴いておくべきでした。
③メータのCBSデジタル録音は、そのジャケットもふくめ、ハルサイに次いで、評判を呼んだものでした。
いま聴き返すと、先代の2人の個性と雄弁さに比べると、ちょっと常識的。
普通に素晴らしい演奏なんだけど、この曲に必須のリズム感とか躍動感が弱めかな。
デジタル初期の硬さも、録音面からも影響してるみたいで、CBSじゃなくて、デッカの絢爛ゴージャスな録音だったら、もっとグラマラスなペトルーシュカになっていたんじゃないかしら。
メータにしては、スリムにすぎるかも。
60年代のロスフィルとの旧盤の方が活力がみなぎってます。
※ペトルーシュカの大いなる聴きどころは、第4部、すべてが集約されて、血沸き肉躍るような冒頭の再現部が、フルオケで出現するところ。
そこと、最後の、哀しい結末との対比の落差。
今回、NYPO3種で聴いてみて、そのあたりの一気呵成の盛りあげのうまさと、クールなまでの緻密さで、ブーレーズに軍配を差し上げましょう。
バーンスタインもメータも最高に素敵ですが、わたくしには、実演の遠い思い出が、決め手となってます。
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