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2015年8月23日 (日)

モーツァルト 「後宮からの逃走」 ティチアッティ指揮

Proms2015

なんだか気ぜわしくて、しかもクソ暑かったので、チェックが8月に入ってとなってしまいましたが、ロンドンでは、今年も、Promsやってます。

今年のアニヴァーサリーにちなんで、シベリウスの全交響曲やその作品、ショスタコーヴィチ、ニールセン、スクリャービン、バルトーク、ブーレーズ、バーンスタインなどなど、多くの作品がたっぷり並べられてます。

そして、その演奏会は、毎度のとおり、BBCsoと、各地のBBCオケ、ロンドンの主要オケに加えて、今年は、ネルソンスとボストン響、MT・トーマスとSFSO、テミルカーノフとペテルブルク、ビシュコフ&ラトルとウィーンフィルなどなど、多彩な顔触れです。

外来では、ネルソンスがマーラー6番とショスタコ10、ラトルがウィーンフィルとなんと、エルガーの「ゲロンティアス」。
そして、ビシュコフは、フランツ・シュミットの交響曲やります。
あと、大物では、ハイティンクが今年も登場して、ECOとザ・グレート。
 ラスト・ナイトは、オールソップの指揮で、カウフマンもプッチーニで共演。
9月12日までです、ロンドンの夏は長いんです♪

だいたい10日ぐらいは、オンデマンドで、BBCの特設サイトで、高音質で聴くことができます。

尾高さんのウォルトンや、ニッキーのコルンゴルト、ガーディナーの第5&幻想なんかをすでに楽しみましたが、今日は、モーツァルトの「後宮からの逃走」のコンサート形式上演を聴きましたよ。

    モーツァルト    「後宮からの逃走」

 デルモンテ:エドガラス・モントヴィダス コンスタンツェ:サリー・マシューズ
 ブロンデ:マリー・エリクスモーエン   ペドリオ:ブレンデン・パトリック・グネル
 オスミン:トビアス・ケラー         太守セリム・パシャ:フランク・ソーエル

  ロビン・ティチアッティ指揮 オーケストラ・オブ・エイジ・オブ・エンライトメント
                    グラインドボーン祝祭オペラ

                (2015.8.14 @ロイヤル・フェシバル・ホール)


まだ32歳。
いま注目のイタリアの血を引く、ロンドンっ子、ロビン・ティチアッティの指揮する「後宮」。
CDでの幻想しか聴いてなかったけれど、古楽から近現代まで、それぞれの演奏スタイルに合わせて、フレキシブルに対応しつつ、溌剌とした清新な音楽を爽やかにやってのけるティチアッティ君。

Proms_1

そして、歌心と、オペラの呼吸をまるで生まれながらに体得しているかのようなオペラ指揮者としての素質を、ここに感じました。
若くして、グラインドボーンの音楽監督にも就任し、そのディスクも、フィガロ、ヘンゼル、オネーギン、ばらキシ、Pグライムズと、ユニークな選択ぶり。
イタリアものや、ワーグナーを意図的に避けているフシもあり、したたかさもうかがわれます。

今回の「後宮」は、グラインドボーンのプロダクションをそのままプロムスに持ち込み、簡易なステージオペラ上演としたものです。
本上演の方の演出は、マクヴィカー。
衣装や、小道具はそのままのようです。

Proms_2

 ジングシュピールとして、独語の台詞が随所に織り込まれた作品ですが、全体は2時間20分と、ちょっと長め。
その台詞部分は、聴いているだけだと、正直長く感じられます。
 でも、会場は、大いに盛り上がっているようでして、ときおり、笑いや爆笑が起きて、大盛り上がりです。
このあたりは、ライブや映像ではないと、面白みが伝わってきませんね。
 オスミンが間抜けに描かれ、おちょくられるような内容ですからね、きっと、イギリス人のユーモアのセンスが散りばめらた内容となっているのでしょう。

そんな耳だけで聴いた、このオペラ。
やはり、指揮者と古楽のオーケストラの、血沸き肉躍るような躍動的なサウンドが、極めて魅力的でした。
モーツァルト当時の、トルコ・異国情緒を醸し出す、数々の打楽器が入る賑やかな音楽にも係わらず、それらは元気いっぱいの反面、しっとりとした情緒や、感情の機微も生き生きとした表情とともに、しっとりと描き分けているように思いました。

去年、手兵のスコットランド室内管と来日してましすが、無理しても聴けばよかったです。

歌手では、モントヴィダスが、明るくて伸びのあるテノールでしたし、マシューズのコンスタンツェは、立派すぎる声で、伯爵夫人クラスかなとも思いましたが、すてきなものでした。

グラインドボーンの映像が、きっと映像になるでしょうから、また、その時も楽しみにしましょう。

こんな高品質の演奏が連日行われるプロムスが羨ましく、そして、ハーディングに次ぐ、有能な英国指揮者に、今後ともに注目であります。
 それにしても、台詞が長かったけれど、その合間に、波の音や、鳥のさえずりなんかも流されて、なかなかの雰囲気であったことも申し添えておきます。
(画像は、BBCのサイトから拝借しております)

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コメント

このお方は、スイスTudorのドヴォルザークの『新世界』『アメリカ組曲』しかCDを持っておりません。故に投稿資格ございませんが、ご紹介下さったように、オペラも手中に納めておいでのようで、頼もしげな人ですね。指揮界も、ガッティ、バッティストーニ、それにティチアーティ、若い御仁にしっかり仕切って貰わないと、衰退を嘆く事にしかなりませんから。

投稿: 覆面吾郎 | 2019年6月 2日 (日) 11時59分

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