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2015年8月28日 (金)

マーラー 交響曲第4番 アバド指揮

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東日本は、秋が急激にやってきて、連日の曇り空と、しとしと雨。

まだ学生さんたちは、夏休みなのに、なんだか気の毒、としかいいようのないその雰囲気のなさ。

お盆の頃から、季節感はなくなってしまいました。

そのお盆には、いつもの、地元のお山に早朝登って、この時期の季節早どりの、コスモスと相模湾を写真におさめてきましたが、この日も、薄曇りで、しかも、コスモスは二分咲きぐらいで、ちょいと寂しい感じ。

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  マーラー  交響曲第4番 ニ長調 

          S:ルネ・フレミング

   クラウディオ・アバド指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

                     (2005.5 @ベルリン)


やっぱり、マーラーはいいな。

久しぶりに聴くマーラーです。

その作品いかんを問わず、ほんとうに、久方ぶりのマーラーは、ほぼ10ヶ月ぶりくらい。

 初めてマーラーの音楽を、意識して聴いたのは何番で、誰の演奏だったろう・・・。

いまや、正確に覚えておりませんが、もしかしたら、FM放送のレコード音源放送での、バーンスタイン&NYPOの6番だったかもしれません。

または、テレビで観た、バーンスタインのトーク教育番組における、4番だったかもしれません。

70年代初頭の出来事でした。

 しかし、急速に訪れた、わたくしの70年代マーラーブームは、FMエアチェックでは、ドホナーニBPOの1番、アバドVPOの4番、ジュリーニVSOの9番、小澤BPOとフランス管の8番などでした。。。
 ともかく、やたらと未知数のマーラーの音楽は、FMを録音して、聴きまくるしかなかった。

そんななかでの、アバドの4番は、独唱がゼーダーシュトレムのもので、ともかくクールで優しい感じの演奏で、その印象は、いまも変わりません。
 その2年後ぐらいに、DGに録音した同じウィーンフィルとの演奏では、歌手は、もっとコケットリーな、フォン・シュターデとのものでしたね。

以来、正規には、アバドは、合計4つの4番の演奏を残してます。

一番古い、ウィーンフィル&シュターデとの演奏から30年を経て取り上げられた、以降の3つの演奏。

 ①ウィーンフィル      シュターデ  1977
 ②ベルリン・フィル     フレミング  2005
 ③マーラー・ユーゲント  バンゼ    2006
 ④ルツェルン祝祭管    コジェナー   2009


歌手の選択も、面白いです。

③の軽やかな、バンゼを除けば、いずれもメゾないしは、その領域の声域をカヴァーできる声の持ち主ばかり。
FMのゼーダーシュトレムも、メゾ領域まで歌う人だったから、なおさらです。

アバドが抱いた、天国的ばかりでない、この4番という曲の、ゆるやかで優しい、でも、ちょっと人を諭すような感のあるイメージ。
それを醸し出すのが、ふくよかなメゾ音域の歌手に託した4楽章でした。

しかし、今回、恥ずかしながら初開封した②のCD。
7年間も、未開封。
 なぜ、聴いてこなかったというと、ルネ・フレミング様の濃厚なお声が、シュトラウスにはいいけれど、マーラーの、まして、こちらの天国的な曲にはそぐわないのではないかと危惧し、触手が伸びなかったのでありました。

その印象は、やはり的中し、アバドとベルリンフィルの築きあげる、緻密でありながら明るい色調のパレットには、フレミングの濃い色の原色カラーは、正直、幻滅でした。

カップリングのベルクは、その濃厚ボイスが極めて魅力的で、アバドとBPOも、カラフルな色調でもって、素敵な演奏を仕立てあげているように思いました。
ベルクは、それでいいのです。

マーラーの4番は、自分的には、無垢でピュアなイメージを、あくまで求めたいので、アバドとBPOの演奏にもかかわらず、その歌声は、ちょっとやり過ぎ感を感じた次第です。

でも、いいんですよ、素敵ですよ、彼女の歌は・・・・

しかし、アバドとBPOが紡ぎ出す、3楽章の優しく、爽やかな草原の世界。
素晴らしすぎ。

アバドが愛したマーラー。
2番、4番、6番、9番あたりが、きっと一番好きで、晩年になるほどに、9番に傾倒していったのでしょうか。。。。

 アバドとムローヴァの間に育まれた息子、ミーシャ君のジャズ・ベーシストとしての、CDデビューが本日でした。

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ふたりにそっくりの、生真面目な風貌のミーシャ。

期しくも、この日、母・ムローヴァの、プロコフィエフのコンチェルトのCDの発売日と重なりました。

その母も、この符合に、喜びを隠せずに表明してますが、天国のクラウディオも、いつものあの笑顔でもって、最上級の微笑みを浮かべていることでしょう。

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コメント

アバドのマーラー『第4』はシュターデのソロと、VPOを振った旧盤しか、それも2530-966と言う番号の、アナログLPで持っております。いまだにCDでの買い替えを、していない体たらくでして。どちらかと言えば、粘りのないすっきりマーラーでした。お取り上げの新盤は恥ずかしながら、未聴であります。旧盤との解釈の違い如何なるものかと、興味はそそられますが‥。ソリストともども、余り『ご立派過ぎる』演奏になっていなければ、宜しいのですけれども。

投稿: 覆面吾郎 | 2019年10月11日 (金) 06時56分

アバドの4番、残りのルツェルン盤も未視聴ですが、こちらのベルリン盤は、よくよく聴けば、清潔かつ高邁なな精神にあふれた美しい演奏に感じます。
ベルリンフィルとの絆も深まり、わたしには大切な1枚と、聴き返してみて痛感します。
でもフレミングは好みではありませんが。。。

投稿: yokochan | 2019年10月15日 (火) 08時37分

柴田南雄さんの御表現では無いですが、アバドのマーラーに対するアプローチは、皮肉っぽさやグロテスクな側面を殊更抉り出したり、強調したりと言う事に御執心では、無いようですね。異形のシンフォニストでは、無いですよ‥と言う訳でしょうか。

投稿: 覆面吾郎 | 2019年10月16日 (水) 19時27分

アバドのマーラーには、ナイーブな少年時代の思い出や、祖母が読んでくれた本など、多感な子供時代の反映があるように思いますし、本人も語ってました。
そういう意味では、「アバドのマーラー」ともいえるかもしれない独自の世界があるものと思います。

投稿: yokochan | 2019年10月21日 (月) 08時17分

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