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2015年9月28日 (月)

ショスタコーヴィチ 交響曲 お願いランキング

Heiwapark

数年ぶりの広島。

宿泊先が近かったので、晩と朝、平和記念公園まで歩いてきました。

常に更新されている、彩り鮮やかな、おりづる。

折り紙も再生しながら、循環させる仕組みも出来上がっていて、広島の人々の気持ちがつながっていることを、稀にしか訪れない自分でも、強く感じることができました。

それにしても、今回の日本の安保法案採択の一連の出来事は、虚しかった・・・・・。

政権与党も、烏合の野党も、どちらも情けない。

本音をお互いが言葉にしないもどかしさを、常に感じました。

 9月25日は、ショスタコーヴィチの109回目の誕生日。
そして、ちょっと遡って8月9日は、1975年の没後から40年。

今回は、15曲ある、ショスタコーヴィチの交響曲の、自分の好きなランキングやっちゃいます。

Onegai_tako

 ブルックナーとマーラーのブームが訪れて、完全定番化した現在。

そのブーム勃興の渦中、その後に来るのは誰だ!

それを、問題提起したのは、亡き、若杉弘さんでした。

ワーグナー、ブルックナー、マーラーを連続して、演奏しつくした生前の若杉さんの発言。

そして、それは誰でしょう的に、具体的に語らずに、旅立ってしまった若杉さん。

音楽監督時代、その指揮台にあまり立つこともなく、無念の死を迎えてしまった新国立劇場でのプログラムの中で、病魔に倒れる前は、自身の指揮で、と予定されていたのが、ショスタコーヴィつの「ムツェンスクのマクベス夫人」。
残念ながら、若杉さんは、そのピットに立てず。

ですから、ポスト・ブルックナー+マーラーは、ショスタコーヴィチと、その後の流れのなかに確信できます。
 ですが一方、そんなポスト云々は無意味とも思ったりもしてまして、交響曲の概念はもうすっかり変貌してしまい、それは、もうマーラーで集結していて、後がなかったのではないかと思ったりもしてます・・・・・。

ショスタコーヴィチの15曲の交響曲は、交響曲であってそうではない。

ソ連という国体の影がちらつき、かつ、その本音の実態が見えない。
なんだったんだろう。

わたくしが、ショスタコーヴィチにむちゃくちゃのめり込んだのは、例の、ヴォルコフによる「ショスタコーヴィチの証言」という書簡で、分厚い、その本を読破しました。
 ハイティンクが、ちょうど全曲録音に挑んでいるなかで、その証言集は、まさにリアルに受け止めていたのですが、それが、こともあろうに、虚構ではないかとの説も、のちに出ました。

いまは、なにが真説か不明ななかにありますが、音符として残されたショスタコーヴィチの楽譜は、間違いなく本物なのですから、そんなややこしい経緯はともかくとして、その楽譜をいかに解釈するかだけの、純粋な問題になっているかと思います。
 そんな中で、やはり、楽譜のみを信じ、シンフォニストとして、マーラーの延長線上的な解釈の徹した、ハイティンクの演奏の諸所は、自分では一番客観的で、正しい存在ではないかと思います。
ただし、生々しさや、毒気がまったくなく、整いすぎていることも事実。

でも、わたくしのショスタコーヴィチのランキングのなかで、ハイティンクの占める割合は高いです。
そして、今後ますます、しがらみにとらわれない、よりニュートラルな音楽表現が次々に生まれてくるものと思います。
 ヤンソンスの次世代クラスで。
ふたりのペトレンコ、ネルソンス、セガン、P・ジョルダン、クルレンツィス、そして、われが川瀬氏はいかに。

 自分的な一方的ランキングします。

 ① 交響曲第4番     ハイティンクCSO、ラトル、サロネン

 ② 交響曲第13番    ハイティンク、オーマンディ、コンドラシン、プレヴィン

 ③ 交響曲第15番    ハイティンク、ヤンソンス、オーマンディ、ロジェヴェン

 ④ 交響曲第6番     ムラヴィンスキー、ハイティンク、プレヴィン

 ⑤ 交響曲第14番    ロストロポーヴィチ、ハイティンク、オーマンディ

 ⑥ 交響曲第10番    カラヤン旧盤、ネルソンス、コンドラシン、ラトル

 ⑦ 交響曲第8番     ハイティンクACO、プレヴィンDG、ヤンソンス

 ⑧ 交響曲第11番    ハイティンク、ヤンソンス

 ⑨ 交響曲第12番    ハイティンク、ヤンソンス

 ⑩ 交響曲第7番     バーンスタインCSO、ハイティンク、ヤンソンスRCO

 ⑪ 交響曲第5番     オーマンディ、バーンスタイン旧

 ⑫ 交響曲第9番     バーンスタイン、ハイティンク、コンドラシン

 ⑭ 交響曲第1番      バーンスタイン、ハイティンク

 ⑮ 交響曲第2、3番      ハイティンク、ヤンソンス  

  ハイティンクばかりのこのランキング(笑)

ソ連・ロシア的な演奏からは、意識して遠ざかってまして、コンドラシンとロジェストヴェンスキー、キタエンコは、いつか全部揃えたいと思ってます。

ショスタコーヴィチ。
今後、さらなるボーダレスな演奏解釈に、各方面の指揮者にオーケストラから期待したいと思います!

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コメント

  今晩は。ご無沙汰しております。安保国会、ブログ主様が仰るように空疎なものがありましたね。でも、今の政治はナットランと口にできるだけ日本はいい国なんじゃないかと自分を慰めたりしております。某隣国みたいに国民が「我が国の指導者様は何もかもがサイコー!」なんて言ってる(言わされてる?)国よりはマシかもしれないとか。
 ワーグナー、プッチーニ、シュトラウス、シベリウスと様々なランキングをして来られたブログ主様ですが、私はその都度コメントしたかったのにダンマリを決め込んでまいりました。理由は優柔不断だからです(笑)。どの作曲家のオペラも交響曲もどれも好きなので絞り込めないのですよ(笑)。タコ先生のシンフォニーも赤っぽい2番・3番、何が言いたいのかよく分らない4番、歌曲なのか交響曲なのかボーダー引くのが難しい14番の4曲以外はどれも好きで好きで…この4曲もいずれ楽しめる時が来るかもしれませんし…強いて挙げるならバルシャイ指揮の1番、ショルティ指揮の8番、ロストロ指揮の7番あたりが上位に来そうです。1番はマジで凄いですよね。19歳であのレベルと完成度。レーモン・ラディゲというフランスの作家がいて、二十歳で病気で亡くなった人なのですが、18歳で「肉体の悪魔」っていう凄い恋愛小説を書いております。岩波や新潮の文庫で読めます。あれに匹敵する世界芸術史上の奇跡はタコ1番だと思っています。ラディゲやタコさんがあれだけの仕事をしていた時私は中二病のガキでした。やはり凄い人は凄いですよね。
 小生は、ブログ主様イチオシのハイティンクやマリスを~恥ずかしげもなく申し上げますが~ほとんど聴いていない愚か者でして、欧州勢とロシア・ソ連勢の演奏のいいトコどり的なバルシャイの全集がいちばん好きです。
 5番ならアンチェル&チェコフィルが好きですし、最近聴いたコンドラシンは凄かったです。第3楽章ラルゴなんかは凄絶でした。この指揮者のタコ交響曲は全部揃えないと…と小生も痛感した次第です。
  乱文長文失礼いたしました。
 

 

投稿: 越後のオックス | 2015年10月 1日 (木) 20時08分

越後のオックスさん、ご無沙汰です。
まったく、なにごとも、いやな世相ですね。
こんな世の中に、ショスタコを聴くのもまたオツなものです。
15曲のバリエーション豊かな交響曲は、それこそ聴き手それぞれの楽しみ方で、いろんな側面が見えたり隠れたり。
わたくしは、1番が以前より苦手なのですが、素晴らしく評価されてますね。
わたしも虚心を捨て、もう一度聴きこまなくてはと思います。
ご返信遅くなり、申しわけありませんでした。

投稿: yokochan | 2015年10月14日 (水) 12時47分

今日は。
過去記事に書きこみ失礼いたします。
お互い本当に好きですよね、タコ先生の交響曲。
最近、ロストロさんとヤンソンスとオレグ・カエターニ
の全集を買ったのですが、カエターニ盤が大当たりでした。
父上の才能を見事に受け継いだ人です。
特に1番、8番、13番、14番が端正でスマートで立派な演奏です。
某hmvで購入すると本当に今、廉価なのですね。
ミラノのオケもなかなか優秀です。

投稿: 越後のオックス | 2018年11月 9日 (金) 16時34分

タコ先生と、マーラーさまの自己ランキングは、またいずれ、いまの耳で更新したいと思ってます。
ガエターニさんの演奏盤はまったく聴いたことありませんが、さほどによろしいのですね。
イタリアのオケによる、ショスタコ全集なんて、よっと前なら考えられない音盤です。
欧州や日本のオケで全集があるのに、アメリカのオケでは、いま進行中のネルソンスが初、というのも思いがけないことですね!

投稿: yokochan | 2018年11月14日 (水) 21時40分

若杉弘さん。慶応大学経済学部ご卒業でありながら、御親族の反対を押し切り音楽家の道を歩まれた、硬骨と信念の人ですね。愚生のような凡人は、ただ羨望と感嘆の念を抱くばかりです。

投稿: 覆面吾郎 | 2019年6月 5日 (水) 18時53分

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