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2015年10月

2015年10月24日 (土)

バックス チェロ協奏曲 ウォールフィッシュ

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秋まっさかり。

コスモスはエリアによっては、もうおしまいなんてところもありますが、紅葉の前を飾る淡い色どりは、去った夏を懐かしんだりで、ちょっと切ないですね。

このところ、なにかと忙しいのと、精神的にもまいっているので、音楽も聴いてなかった。

朝やたらと早く目覚めたので、大好きな英国音楽のひとつを聴きつつPCに向かいました。

Bax

   バックス   チェロ協奏曲

       チェロ:ラファエル・ウォールフィッシュ

    ブライデン・トムソン指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団

                      (1986 @ロンドン、オールセインツ教会)


アーノルド・バックス(1883~1953)の音楽は、シャンドスレーベルのおかげで、かなりの録音がなされ、レコード時代にはその名前すらあまり聴かれることがなかったのに、いまでは体系的にその作品のほとんどを聴くことができるようになりました。

7つの交響曲や、数々の交響詩や管弦楽作品に、協奏的な作品。
室内楽、器楽、声楽曲などなど、オペラを除いてすべてのジャンルにその作品を残しました。
生粋のロンドンっ子でありながら、ケルト文化を愛し、イングランド北部・スコットランド・アイルランドの地をこよなく愛した作曲家。

そして、ロマンティストで、ちょっとナイーブなイケメンで、女性にももてた。
ハリエット・コーエンというピアニストとは、バックスは妻子がありながら、ロンドンでも、公然の仲になっていたし、彼女を伴って、アイルランドの地を旅したりもしたが、彼女はバックスの晩年まで付き添い、献身的にその作曲活動を支えた。

バックスの音楽の魅力は、イギリス音楽ならではの、気品と抒情を持ちつつも、シャープでダイナミックな自然描写にすぐれているところで、そこにはさらに豊富なファンタジーとミステリアスな様相も込められているところ。
 その独特なメロディラインには、どの曲にもバックスならではのパターン的な特徴があって、それにハマると、もう抜け出せなくなってしまいます。

そのバックスのチェロ協奏曲は、長く埋もれていましたが、今日聴いたウォールフィッシュによって甦演された桂品です。

1931年秋、ハリエット・コーエンは、スペインのチェリスト・作曲家のガスパール・カサドとコンサート・ツアーを行い、そして彼をバックスに紹介しました。
そのカサドの勧めもあり、翌32年に、生まれたのがこの協奏曲。
当然にカサドに捧げられ、演奏もされたものの、その後数十年、忘れられた作品となり、ベアトリス・ハリソンによって再演。
その後もまた埋もれ、そしてウォールフィッシュによる演奏が86年。
録音としては、そのあとは、2014年に新録音が行われている様子で、ぼちぼち世に出てくるのかしら・・・・。

この曲が生まれる経緯となったスペインの大チェリスト、カサドの名を冠したコンクールで、ウォールフィッシュは優勝しているのも因縁かもしれませんが、なにより、カサドの妻が、日本人ピアニストの原智恵子であることにも驚きを感じます。
原智恵子は、2001年に亡くなってますが、日本よりは、ヨーロッパでは名ピアニストとして知られた存在だったようで、その音源も聴くことができます。
 こうして、曲ひとつから、いろんな関係や結びつきを紐解いて、あれこれ想像することも楽しいものですし、ネット社会だから情報がすぐさま手に入る恩恵ですね。

さて、この作品、全体で3楽章、33分という大作ですが、オーケストラは小編成で、金管はトランペットが両端楽章にあらわれるのみで、弦楽に木管、ハープとティンパニという構成であります。

シャープな第1主題、そしていつものバックスのパターンのとおりに、懐かしく抒情にあふれた第2主題を持つ第1楽章。
チェロはさほどの名技性を発揮してませんが、ふたつの異なるムードの主題を変転しつつも弾き分けると言う点で、なかなか難易度が高いのかもしれません。

ノクターンと題された第2楽章が、極めて素敵なところが、この曲の白眉です。
チェロのロマンティックな独白に、オーケストラの各楽器が、しっとりと、優しく応じ、絡み合います。
その夢幻的な世界に、いつまでも浸っていたくなります・・・・。
ケルトの神秘的な森に、帳が降りて、木々が、露でしっとりと覆われるような、そんなイメージを目を閉じながら聴くといだくことでしょう。

早いパッセージが上下するモルト・ヴィヴァーチェ、第3楽章。
一番短い楽章となってますが、軽い疾走感が短調ということもあり、少し切迫した印象を与えます。
しかし、徐々に大らかな様相となり、チェロは懐古的な語り口となり、ヴィオラソロとの競演もどこかとても懐かしく感じます。
そのまま、曲は明るい色調を維持しつつ、エンディングのイメージを築き上げていって終結となります。

 ウォールフィッシュの明るく艶のあるチェロは、このレーベルに多くあるほかの英国作品同様に、すてきなものです。
そして、響きを多く取り入れた録音は、ブライデンとLPOというバックスに最適のコンビの音色を、とても雰囲気豊かにおさえております。

早朝は、曇り空だったけれど、この時間、空はすっかり秋晴れとなって高く広がりました。

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2015年10月14日 (水)

マーラー 交響曲第7番「夜の歌」 レヴァイン指揮

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六本木ヒルズ、バラのモニュメントとともに、下から見あげるの図。

平日にもかかわらず、多くの観光客。

その言葉に耳を傾けてみれば、聴こえてくるのは、かのお隣の巨大な国のことばばかりじゃない。
もちろん英語もあるけど、ロシア語に、東南アジア風の言葉とか、さまざま。

完全な観光ルートなのね。

最近は、どこへいっても、いや、なんでこんなところに、っていうくらいに外国人が見受けられるようになりました。

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   マーラー  交響曲第7番 ホ短調 「夜の歌」

      ジェイムズ・レヴァイン指揮 シカゴ交響楽団

                      (1980.7 @シカゴ)


久しぶりにマーラー聴く。

しかも、7番なんてだいぶ聴いてなかった3年ぶりかしら。

そして、さらに、レヴァインの演奏で聴くのも、ほんと久しぶりで、レコード以来だから、もう30年ぶり!

初めて買った7番のレコードがこれです。

前にも書いたけど、7番のちゃんとした初聴きは、ショルティ&シカゴのレコードが発売されたときのFM放送。
70年代初頭、さっぱりわからなかった。

次が、ギーレンがN響に来演してやったときのFM放送のエアチェック。
ギーレンは、相前後して6番も指揮したから、いま思えばスゴイことだった。
このカセットで、この作品の旋律をいくつか覚えた程度で、やっぱり難解だった。

そして、本格的にマーラー熱に取りつかれだした70年代後半から80年初頭。
これまたFM放送を録音した、ベルティーニとベルリンフィルの演奏。
これが決定的にこの曲に馴染んだきっかけの演奏で、べらぼうにオーケストラは上手いし、当時まだあまり知られていなかったベルティーニという指揮者の素晴らしさを体感したものだった。

次いで、ほどなく入手したレコードがレヴァイン盤。
2枚組の4600円は、貧乏サラリーマンにはキツかったけれど、それこそ、すり減るくらいに聴きまくった。
ここでは、シカゴの名人芸に目をひんむくことになり、レヴァインという指揮者を次々に聴いてゆくきっかけとなったのでした。

わたくしの7番史をさらに続けると、CD社会になって、ついに登場したのが、アバドとこれまたシカゴ響で、ここでも、切れ味の良さと歌心に感服。
ともかく、シカゴだらけの7番。

さらに全部揃えたバーンスタインの旧盤。
それからテンシュテットにインバル、バーンスタインの新盤、ハイティンク盤。
だいたいこのあたりまでで、マーラーの音盤はもうあまり買わなくなってしまい、ちょっと食傷ぎみに。

でも、聴けば聴いたで、マーラーはやはりいいもんだ。

なんでもござれ、自身の感情吐露の世界は、1905年当時のウィーンの爛熟した世紀末藝術と合わせて脳裏に浮かべることで、また新たな気持ちで聴くことができる。
アルマのことや、クリムト、ココシュカなんかも思いながら。

それぞれ脈連なく並ぶ5つの楽章は、真ん中にスケルツォ、それを挟む2つの「夜曲」。
そして最初と最後の両端楽章は、ソナタ形式のめくるめくほどに劇的な第1楽章と、ロンド形式の明るすぎの大団円に向かう終楽章からなっていて、奇妙といえば奇妙な音楽。

いまのわたくしは、ギターやマンドリンも鳴る4楽章の安らかな世界が、もっとも好き。
あと、第1楽章の第2主題もロマンティックで好きだな。

そんな好きな箇所が、このレヴァイン盤はとても、爽やかかつ良演の最大公約数的・優等生的な演奏となっているんです。
全体を見れば、このレヴァインのマーラーは、とても健康的で明朗快活、一点の曇りなし、なのです。
この複雑な作品を、ここまであっけらかんと明快に紐解くようにしてわかりやすく演奏してしまう当時のレヴァインは、アメリカが生んだひとつの才能でした。
ゆえに、オペラでも、この才人は、歌手たちからも愛されるほどにわかりやすく、歌いやすい指揮者として活躍しているし、ヨーロッパでも、バーンスタインとは対局にあるアメリカの存在として受け入れられたのでしょう。

マーラーの毒気みたいなものは、この人のワーグナー演奏と同様に、そげ落ちてしまって聴こえますが、こんなわかりやすく、そして美しいマーラー演奏も、いまでも充分アリだと思います。

そうそう、このレコードジャケットがまた秀逸でした。
この曲のイメージにぴったり。
裏は、いかにも当時のアメリカ人的なレヴァインの若きお姿。

楽しい晩が過ごせました、いい夢みれそう。

過去記事

「アバド&シカゴ交響楽団」

「テンシュテット&ロンドンフィルハーモニー」

「金聖響&神奈川フィルハーモニー 演奏会」

「バルビローリ&ハルレ管」

 

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2015年10月11日 (日)

神奈川フィルハーモニー第313回定期演奏会  川瀬賢太郎指揮

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暗く立ちこめる曇空の土曜日。

これから聴く、ショスタコーヴィチの音楽を先取りしたような気分で、みなとみらいホールに、この日は、横浜駅から歩いてみました。

またこの日は、横浜ジャズプロムナードという恒例催しが行われていて、街中で、ジャズが流れてましたよ。

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  ショスタコーヴィチ  交響詩「十月革命」 op131

               ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 op77

        Vn:三浦 文彰

  シベリウス       交響曲第5番 変ホ長調 op82

     川瀬 賢太郎 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

                       (2015.10.10 みなとみらいホール)


ショスタコーヴィチ(1906~1975)没後40年、シベリウス(1865~1957)生誕150年。
ともにアニヴァーサリー作曲家ですが、同時に、ロシア→ソビエト連邦という巨大な国の元、または影響下にあったふたりなのです。
 ショスタコーヴィチは、巧みにその本音を隠しながらときにシニカルに、ときにあきれかえるほど露骨に、体制におもねり、そして批判を繰り返した。
そして、シベリウスは、圧政に対する、民族の誇りと祖国愛を歌い上げた。

そんな二人の音楽の対比を楽しめた素晴らしい演奏会でした。

①「十月革命」、交響曲でいえば、13番と14番の間にあるけれど、その時期のシリアスで内面的な作風とはうってかわって、あっけらかんとした、虚しささえ覚えるプロパガンダチックな音楽。
そんな15分間の音楽をCDではなく、ライブで聴くと、オーケストラの皆さんが、それこそ必死こいて演奏されているのを、そして川瀬さんの颯爽とした指揮ぶりを、拝見してるだけで、妙に興奮してしまいました。
神戸さんのティンパニの炸裂と、平尾さんのスネアの小見味よさを味わえました。
カッコいいし、ダイナミックなので、ちょっと爽快だけど、しかしまぁ、なんてヘンテコな曲でしょうか・・・・面白かったけど。
 思えば、10月革命にまつわる他の作品、2番と12番の交響曲とともに、曲作りは面白いけれど、内容的には、どうも虚無感がつきまとうように感じますね。

②チャイコフスキー、ベートーヴェンに次いで、3度目の三浦さんのヴァイオリン。
いつものとおり、ひがみじゃないけど、前髪が気になる(笑)
 それはそうと、こちらは、かなりシリアスな音楽で、交響曲でいえば、9番と10番の間。
まともに体制側から批判をされた時期、こっそり引っ込めてしまったこの因縁の作品を生で聴くのは初めて。
 夜想曲と題された夢想と沈滞を繰り返す第1楽章から、三浦さんの繊細で透明感あるヴァイオリンは、冴え渡ってます。
つぐ、スケルツォも鮮やかに決まり、オケとの掛け合いも楽しく、聴くわたくしもノリノリでしたよ。
 そして、古風で荘厳なたたずまいすら感じるパッサカリア楽章。
オケの背景も深刻極まりないものです。
 長大・超絶技巧のカデンツァでの、三浦さん。
この若者の集中力と気迫に圧倒されました。
ホールは静まり返り、一挺のヴァイオリンに聴衆の耳は釘付けとなりました。
 そして休むことなく突入するブルレスケには大興奮。
ショスタコの常套手段的な、無窮動ミュージックに完全に飲みこまれてしまいますが、それでも冷静かつ沈着な三浦さんの演奏姿には恐ろしいものがありました。
川瀬さんの指揮ぶりにも熱がこもってきて、怒涛のクライマックスを築き、さすがに前髪掻き乱れつつの三浦ヴァイオリンと息もつかせぬ壮絶エンディングとあいないりました
 ワタクシ、思わず、ブラボーしちゃいましたよ。

相変わらず、ショスタコを聴いたあとは、一体何だったんだろ、的な狐につままれた思いが去就するのですが、ともあれ、三浦さんのヴァイオリンは凄かった!

拍手に応えて、何度も登場するなか、三浦さんは手ぶら、川瀬さんはヴァイオリンを手に、ちゃっかり喝采を受ける茶目っ気のある指揮者に、会場は笑いに包まれました。

③休憩後は、シベリウス。
その田園的・牧歌的な雰囲気は、大好きです。
冒頭のホルン。前半のショスタコとうってかわったその音色と、音楽の雰囲気に、耳が浄化されるような思いです。
救いのないショスタコの聴後感が払拭されました。

あぁ、やっぱりシベリウスはいいわ~

透明感のある神奈川フィルならではの弦と、柔らかな木管、輝かしい金管、それが見事に溶け合ったシベリウス。
北欧の響き、ことに、かの地のオーケストラから感じる、突き抜けるような冷凛とした音とは対局にあるような柔らかなシベリウスに思いました。
日本人が演奏し、日本人が聴く、身近なシベリウス。
そして、神奈川フィルの聴き手にとってはハマのシベリウスでした。
 川瀬さんは、ことにオーケストラを抑え、各ソロが突出することも控えているように感じます。
最後に持ってくる曲としては、華やかな結末に欠けるこの5番を盛りあげるのは、なかなかに難しいこと。
もちろん音楽が創成され、自然豊かな野山を感じさせるようにクレッシェンドしていく第1楽章の鮮やかなエンディングには興奮しました。
そして、6つの途切れ途切れの和音で、最高のクライマックス築くのに、抑えに抑えた川瀬さんの音楽造りは、とても効果的です。
じわじわくるシベリウスの醍醐味を味わわせてくれたように思います。
 そして、間に挟まれた、それこそ田園風の第2楽章は、優しく可愛く、そして楽しい聴きものでした。

来シーズンは、1番と7番を、本場の大御所、親日家のオッコ・カムで聴ける神奈川フィル。
楽しみ極まりなし。

今回も、アフターコンサートは、個人的にお休みして、雨がポツポツし始めたMM21地区を抜けて横浜駅に向かいました。

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ハマのシベリウスのあとのベイサイド。なんのこっちゃ。

さぁ、次回はコルンゴルトですよ

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2015年10月 9日 (金)

神奈川フィル 来シーズンラインナップ

Minatomirai201509a

各オーケストラの来シーズン演目が、次々に発表されてます。

そして、もちろん、わたくしは、神奈川フィルハーモニーです。

横浜の3つのホールで、それぞれの特性にあった3つのシリーズ定期。
楽しみ方も、場所により、それぞれなところがいいんです。

「みなとみらいシリーズ」

・コダーイ ガランタ舞曲、プーランク 2台のピアノのための協奏曲
 幻想交響曲      わーーい、幻想オープニングだ!
       ピアノ:佐藤卓史・田村響

  川瀬賢太郎        2016.4.9 (土)

・ドヴォルザーク  スラヴ舞曲 全曲   見て、腹筋崩壊か

  広上淳一          2016.5.21 (土)

・ウィリアム・テル序曲、バーバー ヴァイオリン協奏曲
  ショスタコーヴィチ 交響曲第15番   

     石田バーバー、コルンゴルトに次ぎ念願叶う。
     そして、ウィリアムテルとタコ15という絶妙のシニカル組合せはナイスすぎ
          ヴァイオリン:石田泰尚

  高関健           2016.7.28 (木)

・ブラームス ピアノ協奏曲第1番、シューマン 交響曲第4番
     真夏の王道プログラムは、渋い秋を先取りか
           ピアノ:若林顕

  小泉和裕         2016.8.27 (土)

・ゴルドマルク ヴァイオリン協奏曲 マーラー 交響曲第5番
     すげぇ豪華一日、ウィーンにまつわるユダヤ系作曲家と
     ウィーンフィルにまつわる二人の演奏家
           ヴァイオリン:ライナー・キュッヘル

  
  サッシャ・ゲッツェル   2016.9.17 (土)

・シベリウス  フィンランディア、交響曲第7、1番
     おーーーっ、カムさん登場やで

  オッコ・カム        2016.10.15 (土)

・武満徹 映画音楽、伊福部昭 ヴァイオリン協奏曲第2番、
 チャイコフスキー 交響曲第4番   渋いけど、最後の爆発大期待
           ヴァイオリン:加藤知子

  秋山和慶         2016.11.18 (金)

・ミヨー 世界の創造、屋根の上の牛、シェーヌ トランペット協奏曲
ドビュッシー 海、ボレロ    くぅ~、憎いね、このプログラム
    かなフィルのミヨー、みんなで聴いてみよーー
           トランペット:アンドレ・アンリ  

  パスカル・ロジェ     2016.12.16 (金)

・バッハ(エルガー編)幻想曲とフーガ、ハチャトリアン(ランパル編)フルート協
 ラフマニノフ 交響曲第3番   これまた渋い中にもキラリ、ラフ3大好きなんだ
           フルート:上野星矢

  川瀬貫太郎        2017.1.21 (土)

・ベートーヴェン 交響曲第8番、シューベルト ザ・グレート
    大と小、泣く子もだまるプログラム、ここはドイツだ

  飯守泰次郎        2017.2.18 (土)

「音楽堂シリーズ」

・C・P・E・バッハ シンフォニア、ハイドン95番、ベートーヴェン 田園
    前回登場の続き、鈴木さんの新鮮で楽しい解釈が聴けそうな春

  鈴木秀美          2016.4.23 (土)

・パウルス スペクトラ、ラヴェル クープランの墓、ハイドン102番
    超渋演目 キンボーさんが紹介に努めてるアメリカの作曲家にも注目

  キンボー・イシイ      2016.6.4 (土)

・バルトーク ディベルティメント、ハイドン ヴァイオリン協、オックスフォード
    ハイドンの協奏曲は聴いたことないぞ、バルトークとの組み合わせも妙なり
            ヴァイオリン:郷古廉

  川瀬貫太郎         2016.7.9 (土)

「県民ホールシリーズ」

・モーツァルト ドン・ジョヴァンニ抜粋、オルフ カルミナ・ブラーナ
    現田さんならではのプロ。どちらも好物、楽しみだなぁ~

  現田茂夫          2016.7.16 (土)

・ムソルグスキー はげ山、プロコフィエフ ピアノ協奏曲3番、展覧会の絵
     ゲッツェルさんのロシアプロ。どれも超激アツだぜ、きっと
            ピアノ:上原彩子

  サッシャ・ゲッツェル   2016.9.22 (土)

・ベートーヴェン   交響曲第9番
    まだ今年聴いてないのに、2年目の川瀬第9に期待、なんて書いちゃう自分

  川瀬賢太郎        2016.12.3 (土)

・セビリア、ハンガリー狂詩曲、カヴァレリア、モルダウ、・・・イタリア奇想曲
    プロムナード風、ニューイヤー風、カラヤンっぽい名曲集は宝箱や~

  小泉和裕          2017.2.4 (土)

「特別演奏会」

・名古屋フィル合同演奏会 
  モーツァルト ピアノ協奏曲21番、ショスタコーヴィチ 7番レニングラード
    すごいな、すごいぞ、巨大オケでタコ7大行進やど
            ピアノ:菊池洋子

   川瀬貫太郎       2016.6.25 (土) みなとみらい

・ウェールズSQとの共演
  ヘンデル 合奏協奏曲、シェーンベルク SQとオケの協奏曲
  バルトーク オケコン

    多面的な協奏曲づくし、崎谷さんのウェールズ四重奏団と現田さん

   現田茂夫        2016.10.28 (金) ミューザ川崎

毎年、プログラム発表には、わくわくドキドキ。

以前、神奈川フィルで聴きたいあの曲、この曲なんて記事を書きましたが、それも次々に実現している。
2010年に、お願いランキングしたのは以下のとおり。

 ①マーラー 千人、②「ニーベルングの指環」、③ツェムリンスキー 「人魚姫」、④コルンゴルト ヴァイオリン協奏曲(Vn:石田泰尚)、⑤「惑星」、⑥「我が祖国」、 ⑦「アルプス交響曲」(または家庭交響曲)、⑧「トーランガリラ交響曲」、⑨「ポストホルン」デレナーデ、⑩「ローマ三部作」の10傑。

さらに追加で、
 「ショスタコーヴィチ4・6・15番」、「シェーンベルク ペレアスと浄夜」、「ペトルーシカ」、「メリー・ウィドー」、「シベリウス1番」、「ベルクとバーバーのヴァイオリン協奏曲(石田さん)」、「ドヴォルザーク 8番とチェロ協奏曲(当然に山本さん)」、スクリャービン「法悦の詩」、「アルルの女(わたしは聴いてない)」、「ラヴェルのすべて」

太字は未聴のものだけど、このあと、ほとんど聴けてる、こんな幸せないね。

まだ今シーズンは、折り返したばかり。

行こうぜ神奈フィル、行こうぜ、横浜。 
   
   

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2015年10月 7日 (水)

ベルリオーズ 幻想交響曲 ティチアッティ指揮

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10月の小便小僧は、もろ、ハロウィーンでした。

本来は、ケルトに由来する季節の変わり目を意識した、収穫祭プラス魔除け的な宗教儀式だったハロウィーン。

かつては、アメリカの物量的な豊かさの象徴的なリッチなお祭り、みたいに自分には映っていて、「奥さまは魔女」とか、ピーナッツの漫画「スヌーピー」で観て、そんなものがあるのか的な遠い事象でした。

しかし、気づけば、わが日本では、そんな由来・起源なんて、まったく関係なく、クリスマスやバレンタインを宗教性とは無縁のカレンダー上の季節のお祭りにしてしまった国柄ですから、毎年、大盛り上がりとなっております。

まぁ、それはそれでいいとして、わたしのようなオッサンは、ただそれを眺めるだけで、お部屋で静かに音楽でも聴いているに限りますな、秋の夜長ですからして。

今年の10月31日は、土曜日ですから、さぞかし賑やかな終末になることでしょうな。

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浜松町の小僧クンも、ほれ、ご覧の通り、かわゆくなってますよ。

ほんと、よく出来てる。

Hamamatsucho_201510_berlioz

  ベルリオーズ  幻想交響曲 op14

         ロビン・ティチアッティ指揮 スコットランド室内管弦楽団

                       (2011.10 @エディンバラ)


今月のツキイチ幻想は、若手ホープ(古い言葉かな)の、英国指揮者・ティチアッティの指揮で。

9月は、忘れてしまい、1ヶ月サボりました。

さて、ティチアッティは、1983年生まれのイタリア系のロンドンっ子で、祖父は、作曲家。
父は弁護士、母は理学療法士、兄はヴァイオリニスト、姉は神学者といった、錚々たる優秀な家系のもとあって、もともとは、正規の指揮の勉強は受けておらず、ヴァイオリンやピアノ、打楽器をユースオケで演奏しつつ、15歳くらいから、指揮も始めたそうな。
 ラトルとC・ディヴィスに学んだのは、その豊かな家系からくる恵まれた環境だったからかもしれませんね。

指揮者としては、2005年にデビュー。
その後、ムーティとスカラ座に迎えられるという栄誉を得て、2007年には、スゥエーデンのイエグレといい都市のオーケストラの首席指揮者に就任。
グラインドボーンのツアー指揮者もつとめ、2010年には、スコットランド室内管の首席、バンベルク響の首席客演、2014年には、ユロフスキのあとを受けて、グラインドボーンオペラの音楽監督に就任してます。

順風満帆の32歳。

客演の状況を見てると、スカラ座、コヴェントガーデン、ゲヴァントハウス、バイエルン放送、ドレスデン、チェコフィル、フィラデルフィアと、まさにすごい。

ですが、この人、その音楽造りも、大胆ななかにも、以外と慎重派にうかがえ、かつてのラトルのように、英国にとどまり、じっくり大勢していくのではないかと、期待も込めつつ思っています。
 いまの世界の指揮界、若返りも急で、オーケストラ地図も欧米ばかりじゃなくなり、有望株は奪い合いとなっているので、ティチアッティ君も、メジャーポストにひっぱり出されてしまうかもしれませんね。。

 さて、その彼の音楽ですが、昨今のトレンドのとおり、古楽奏法もしっかり体得し、ピリオドを適宜用いた解釈から、現代作品まで、幅広いレパートリーを築きつつあります。
同時に、ティチアッティの強みは、オペラが振れること。
実験的な要素も試せて、かつ伝統の強みもあるグラインドボーンのポストは、ますます彼のオペラ解釈を強くすることでしょうし、一方、手兵のスコットランド室内管の機動力と柔軟さが、彼のやりたいことを叶えてくれる環境を築いてくれることでしょう。

2011年、まだ20代だったときのこちらの「幻想」。
ヴィブラートを控え気味に、ツィーツィーっという、この曲にしては耳新しく、新鮮かつ大胆な奏法が各所で目立ち、そうした意味で、いろんな発見もあります。
 だが、思ったよりは、まっとうで、同じピリオドでも、かつてのガーディナーとか、ミンコフスキの方が、もっと大胆だった。

このあたりの中庸さは、実は見通しのよさと、しなやかな旋律の歌わせ方、全体の構成感の豊かさにつながるものとして、わたくしは受け止めました。
アバドからラトル、ハーディングにつながるものを感じます。

全曲で繰り返しを入れて、約53分。
ちょっとゆっくり目ですが、速いところは大胆でスバズバ行きます。
断頭台は揺るぎない歩みですが、切れば血の吹きだすような鮮度の高さと強さがあり。
終結のヴァルプルギスでも、過剰な熱狂に溺れることなく、音楽の生々しさを追求しているようで、明るさすら感じる白日感がありました。
 そして、一番気に入ってるのが、野の情景のしっとりとした抒情的な演奏です。
室内オケということもあり、ほんと瑞々しく、そして美しい景色が広がってます。

今後がますます楽しみなティチアッティ。
すでに、ベルリオーズ・シリーズや、シューマンの交響曲、新世界やブラームスの渋いところ、オペラもいくつも出てまして、われらが、川瀬賢太郎さんとひとつ違いの、この若者の演奏も川瀬君とともに、追いかけてゆく楽しみがひとつ増えました。

最後に、来シーズンの神奈川フィルのオープニングは、川瀬・幻想ですよ
むふふ

過去記事

  「モーツァルト 後宮からの誘拐 Proms2015」

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