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2017年1月 1日 (日)

ジョルダーノ 「アンドレア・シェニエ」から

2017

「お世話になりました」の、大晦日から1日経つと、「おめでとう」の応酬となる、これほどに時間の経過が鮮やかな二日間ってない。

仕事もでもそう、毎日、顔を突き合わせてるのに、数日合わないだけで、「よいお年を」、「おめでとうございます」、のやりとりが日本中で交わされる。

世界の国々では、どうなってるんでしょうね。

節目、折り目を大切にする日本、四季もくっきりしていて、それぞれに催しが地域ごとにある。
宗教にも寛大で、八百万神に囲まれてる。

そんな日本の風習に、自分も思いきり浸ってま~す。

だらだらと導入部。

そして、おめでとうございます、今年もよろしくお願いいたします。

ペースは鈍りますが、ブログは、2017年、ゆるゆると再開です。

新年初回は、今年のアニヴァーサリー作曲家、生誕150年のジョルダーノのオペラから。

大物アニヴァーサリーはいない今年、わたくしには、ジョルダーノかな。

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  ジョルダーノ 「アンドレア・シェニエ」から アリア

   アンドレア・シェニエ:マリオ・デル・モナコ

   マッダレーナ:レナータ・テバルディ

   ジェラール:エットーレ・バスティアニーニ

 ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ指揮 ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団

                            (1959.6 @ローマ)


ジョルダーノ(1867~1948)の代表作「アンドレア・シェニエ」。

プッチーニのひとまわりあとの世代だが、イタリアのヴェリスモ作曲家として、マスカーニやレオンカヴァッロ、チレーア、アルファーノと並ぶ存在。

プッチーニとの共作で多くの名作を産んだ、イルリーカの台本に基づく。

フランス革命時のパリを舞台に、理想と信念とに燃える詩人アンドレア・シェニエと、貴族の令嬢マッダレーナとの熱い愛、そして、そこに横恋慕しつつも悩む、令嬢家の召使いから、革命に身を投じ、革命政権の高官となるジェラールとの、まるでトスカのような3人の絡み合いのオペラ。
アリアがふんだんに盛りこめられ、ソプラノ・テノール・バリトンという3役が主要人物をなしている。
しかし、全曲に出ずっぱりで、歌いどころ、演じどころも多いのが、タイトルロールのアンドレア・シェニエのテノール。
愛にも、国を思う愛国心にも、そして詩作にも一途に一本義なシェニエ役は、ドラマティックなテノールが必要。
歴代の名テノールが録音してます。

今朝は、3人のアリアを抜き出して聴いてみました。

 アンドレア・シェニエ  「ある日、青空をながめて」

 ジェラール        「国を裏切るもの」              

 マッダレーナ       「わたしの死んだ母」

 アンドレア・シェニエ  「五月の美しい日のように」


シェニエのふたつの情熱的なアリアは、まったくもって素晴らしくて、テノールの声を持っていたなら、絶対に歌いたい。
自然を賛美しながら貴族の前で歌う「ある日、青空をながめて」は、やがて、暴政と市井の民の貧しい生活を見ようとしない貴族への批判に転じる。

同様に情熱的なジェラールのクレドともいうべき熱い心情吐露は、祖国を愛すがいまや、暴力に訴える身の上となってしまった自嘲と、マッダレーナへの愛を歌う。
このアリアも大すきで、これは車のなかで歌ったりてしまう。

かたや革命によって家は没落、母も亡くなり、極貧に耐えるマッダレーナの切々としたアリア。愛するシェニエが捕らえられ、彼を救ってくれるのなら、わが身を捧げましょうと、ジェラールに向けて歌う。
泣けるようなメロディに、心動かされ、涙も滲む。
そう、ジェラールも感動し、彼女を諦め、同じ愛国者であるシェニエを助けようと奔走する・・・・・。

終幕、処刑を前にしたシェニエの辞世ともいうべき澄み切った心境と、愛を、これまた高まる情熱とともに歌う。

最後に、断頭台に消えるシェニエとマッダレーナの熱い二重唱も相当なハイテンションであります。

こんな3人、デル・モナコ、テバルディ、バスティアニーニは、理想的な歌でありました。

シェニエは、あとはコレルリとカレーラス、マッダレーナはスコット、ジェラールはカプッチルリが好き。

10数種のオペラがあるジョルダーノ、長命なわりに謎も多いが、激情が生む興奮度の高いその音楽は、しっかり聴くと意外と楽しく旋律も豊かで、聴きごたえあります。
「フェドーラ」と「シベリア」しか聴いてませんが、今年は機会があればチャレンジしたいところです。

ポピュリズムが世界に蔓延しつつあるが、シェニエの歌にある純粋な高潔の志は忘れてはいけないと思う、そんな2017年の始まりでありました。
 

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コメント

この録音、KINGrecordの対訳付き盤のK15C-9099~101の@¥1500のLPなら、今でも持っています。Deccaレーベルが日米のみで『London』の名称で販売され、キング-レコードのドル箱レーベルだった事は、yokochan様の良くご存知の事かとお察しします。指揮及びシェニエ、マッダレーナ、ジェラール役の演唱の美しさと迫力、世評をなぞったようなコメントになりますのも気恥ずかしく存じますので、あまり多くは語らずにおきますね。

投稿: 覆面吾郎 | 2019年9月22日 (日) 20時24分

覆面吾郎さん、こんにちは。
こちらのレコードは、デル・モナコが亡くなったときに、一挙に発売されたモナコの全オペラ集のものです。
まだ、ロンドン=デッカレーベルの販売権をキングレコードが持っていた時代です。
テバルディ、デル・モナコの黄金コンビは、デッカのイタリアオペラの大看板でしたね。
作品によっては、ベルゴンツィだったりでしたが、バリトンは、全部バスティニーニにしてほしかったものです・・・

投稿: yokochan | 2019年9月24日 (火) 08時02分

数年前のサイトで、東京オペラ-プロデュースがジョルダーノのマイナー-オペラ『弄ばれし者の饗宴』を本邦初演なさったとかで、ほほう、さすがに東京のオペラ団体!味なレパートリーをやってくれよるわ‥と、羨望の念で見ておりましたよ。MYTOなる放送局録音やライヴをCD化して呉れていたレーベルから、全曲盤が出ておりましたようですが、買いそびれてしまいました。『Mala-Vita』全曲盤は、つい先日タワレコのオンライン通販で、届きましたが、失敗作に期待が募ります。

投稿: 覆面吾郎 | 2019年9月24日 (火) 15時20分

東京オペラプロデュースは、春と秋、2度のマイナーなオペラ上映を行ってまして、私はこれまで1度しかご縁はなかったのですが、毎回、ご指摘のような蝕手の伸びるようなものばかりです。
失敗作といわれた「Mara-Vita」、音源があるのですね。
まだ4作しか聴けてないジョルダーノ。
マスカーニやレオンカヴァッロ、レスピーギなどとともに、余生と相談しながら、いろいろ発掘してみたい作曲家であります。

投稿: yokochan | 2019年9月26日 (木) 07時51分

Bon-Giovanniレーベルですよ。故-永竹由幸さんがANFコーポレーションなるレーベルをやっておいでの頃に、輸入しておられましたね。個人経営のレコード店の親父さんがやっているレーベルとか‥。foneレーベルから『I-Ranzau』‥ランツァウ家の人々‥と言う、マスカーニの作品も見つけ、永竹由幸さんの『オペラ名曲百科-上巻』にも残念ながら取り上げられておりませんでしたが、オケの響きと旋律にどことなく『我が友フリッツ』を思わせホロリとさせられる所も、在りました。以前スコット&ドミンゴの『二重唱集』に、ジョルジョは戦っている‥が、収録されていたそうですが、聴いておりません。CBS、今のSONY原盤でクルト-アドラー指揮でしたでしょうか。

投稿: 覆面吾郎 | 2019年10月 4日 (金) 10時19分

なるほど、ボンジョヴァンニレーベル、よく見かけます。
そしてランツァウ家・・、まったく知りませんでした。
友人フリッツの作者の顔としてのマスカーニ、激情派ではなく、やはりメロディにあふれた抒情派とみるべきでしょうね。
件の二重唱のLP、ジャケットのみ記憶にあります!

投稿: yokochan | 2019年10月 6日 (日) 10時56分

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