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2017年1月29日 (日)

ディーリアス 北国のスケッチ グローヴス指揮

Shizukuishi

既出写真ですが、岩手県の雫石あたりの風景。

いかにも、北国の雰囲気がたっぷり。

春近い頃でしたが、いまの冬真っ盛りのこの地は、こんな場所に足を踏み入れることさえできないでしょうね。

季節に応じて、いろんな音楽がありますし、ことに四季のめりはりが鮮やかな日本には、美しい言葉の芸術もたくさん。

同じ島国の英国も、夏はやや短いながらも、その四季はくっきりしてる。

そんな機微を英国の作曲家たちは、詩的なタッチでもってたくさんの作品を残してきました。

そんななかのひとり、大好きなディーリアスを。

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 ディーリアス  「北国のスケッチ」

   サー・チャールズ・グローヴス指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

                         (1974.12.22@ロンドン)


この素敵な曲を、弊ブログにて取り上げるのは2回目。
前回は、ハンドレー指揮のアルスター管によるシャンドス録音。
「フロリダ」組曲とのカップリングで、北国と南国の鮮やかな対比による、ナイスな1枚でした。

そして、今回は、レコード時代から親しんできた、グローヴスの演奏で。

社会人となって、ひとり暮らしを始めたころに、シリーズ化された、音の詩人ディーリアス1800。
そのすべてを、石丸電気で購入して、ディーリアス漬けの日々。

寂しい侘び住まいが、なおさらに切なく、それから故郷の山や海が懐かしく、人々が愛おしくなる想いで満たされた。

そんな望郷とノスタルジーが、わたくしのディーリアス愛。

4つの部分からなる、北国の四季を模した組曲。

  Ⅰ 「秋」・・・秋風が木立に鳴る

  Ⅱ 「冬景色」

  Ⅲ 「舞曲」

  Ⅳ 春の訪れ「森と牧場と静かな荒野」

どうでしょうか、このいかにもイギリスの北の方の景色を思わせる素敵なタイトル。
日本なら、さながら、北海道か、信州あたり。

三浦淳史さんの解説によるE・フェンビーの言葉によれば、若き日は放蕩の限りを尽くしたディーリアスも、歳を経ると、寡黙となり、「人間は空しい、自然だけがめぐってくる!」という思考を持って過ごしていたという。

まさに、この言葉を思わせる、めぐりゆく四季、自然を、そのまま感覚的にあらわしたような音楽なのです。
ここでは、おおむね、静かなタッチの音楽が続き、唯一、舞曲では、フォルテが響く。
春がやってくる前の喜びの爆発。
しかし、それまでの、秋と冬の心に沈みこむような静けさと、幻想的な沈鬱ぶりは、いかにもディーリアスらしいし、夜のしじまに映える、あまりにも美しい音楽だ。

で、それを打ち消す明るい舞曲。
そして最後は、めぐり来た春。
ソフト・フォーカスで、若干の曖昧さも保ちながら、ふんわりとした音楽となっている。
これもまた、ファンタジーである。

ビーチャムの育てたディーリアス・オケ、ロイヤルフィルを指揮したグローヴスの演奏は、わたしにとっては、懐かしくも、完全なるものです。
デジタル時代の、ハンドリーと、少し鄙びたアルスター管もいいが、こちらは、アナログのぬくもりを感じさせてくれる。

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こちらは、初出時のオリジナル・ジャケット。

ターナーの絵画をあしらったシリーズもいいけど、この写真もいい。

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コメント

おおっ管理人様はディーリアスがお好きなのですか? 私は一にシベリウス、二にヴォーン・ウィリアムズ、三は北欧の他の作曲家、四はディーリアスやフィンジなどのほかの英国作曲家、五になってやっとブルックナー、六以下はほかの独墺系作曲家……と言った具合で、クラシックマニアからは相当な変わり者とみなされておりました。なので、こうした記事を見るととてもうれしいです。

北国のスケッチ……いいですね~。久しぶりに聴きたくなりました。グローヴズのこのLP持ってます。冬景色や春の訪れの場面などは本当に素晴らしいものだと思います。

もう一つ、隠れた名作『生命の踊り』も良いですね。フェンビーによると、ディーリアス自身は自作の中でも特に優れたものだと考えていたようですが、一般的にはそうみられていない、と記していますね。ですが、はじけ飛ぶようなパッションはまさにぐつぐつと煮え立った生命エネルギーの噴出のようで、あまり知られていないのが惜しまれます。

投稿: walman | 2017年2月14日 (火) 22時35分

walmanさん、こちらにもありがとうございます。
そうです、わたくしは、ワーグナーと英国音楽がとてつもなく好きなのであります。
英国ものでは、ディーリアスがダントツで、当然にフィンジ、アイアランド、バックス、RVW、エルガー等々、すべて愛聴してます。
生命の踊りもいいです。
抒情のディーリアスは、驚きのバーバルぶりをときに見せますが、それらの対比が、とてもステキですね!

投稿: yokochan | 2017年2月17日 (金) 23時57分

久しぶりに『北国のスケッチ』を聴きました。改めて驚くのはディーリアスの音楽の持つ「大気感」。秋は秋なりの、冬は冬なりの、そして春の目覚めにはまさにそれにふさわしい大気の雰囲気を持っています。ディーリアンはこれにほれ込んでいるんだろうなぁ……と思います。私もその一人ですが。

ちょっと不思議に思うのは三曲目の『舞曲』です。これは何を表しているんだろう。木枯らしが舞うことを描写しているのでしょうか? 

ディーリアスにはこの曲の対局ともいえる『夏の歌』がありますが、管理人様はこの曲を取り上げていらっしゃいますか? 私にとってはディーリアスと初めて出会った思い出深い曲です。バルビローリの演奏に、こみあげる涙が止まりません。

投稿: walman | 2017年2月24日 (金) 01時21分

おひさしぶりです。私もいろいろ聞くのですが、いつの間にかディーリアスの音楽に戻ってきますね。仕事のBGMにyoutubeでいろいろ聞いていますが、Delius:Composer,Lover,EnigmaというBBCのテレビ番組がアップされているのを発見して興味深く見ました。英語は半分もわからないのですが、曲はわかりますので。内容はどうもディーリアスの性癖にも焦点を当てたもののようで一筋縄ではいかない人ですよ…というもののようですが、ドラマティックな内容でした。
 ディーリアスつながりで、最近はパーシー・グレインジャーにハマっています。ディーリアスに比べれば俗的で、半ばクラシック音楽扱いされていないかもしれませんが…。一番有名なのは、ロンドンデリーの歌のアレンジでしょうか?彼についてもオーストラリア映画で半生を描いたpassionという映画をyoutubeで見ました。これも未成年が見れないような内容も含まれているのですが、興味深いものでした。それでは、また。

投稿: | 2017年5月25日 (木) 09時48分

すみません。香川のudonでした。

投稿: udon | 2017年5月25日 (木) 14時04分

udon さん、こんばんは、ご無沙汰でした、そして、ご返信遅くなってしまいました。
Deliusの映画はいくつかありますが、いずれも、納得しつつも、自分の中でのディーリアスと違うので、そんなものか・・と思いつつ、自分のディーリアス像を崩さないようにしてます。
グレインジャーの映画は未視聴ですが、映像が伴うと、イメージは大きく影響しますね。
映画もいろいろ観ますが、芸術家をテーマにしたものは、ことに欧米の映画は、下系のセクシャルな場面もかなり挿入しますね。
生み出した音楽の価値には、関係がなく、音楽だけを聴きたい方には不要なイメージ操作かとも思いますが、どうなのでしょうか。
まぁ、人間だし、あたりまえのことなのですが、映像にしなくても・・・と。

投稿: | 2017年5月30日 (火) 22時27分

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