メンデルスゾーン 交響曲第3番「スコットランド」 アバド指揮
ある夜の東京タワーと紫陽花。
本格的な梅雨となり、湿度も高めで、体もまだついていけない、そんな6月の終わり頃。
今年もめぐってきた、クラウディオ・アバドの誕生日。
1933年6月26日、ミラノ生まれ。
ヨーロッパには梅雨がないから、きっと今時分は、清々しい初夏の陽気なのでしょう。
新しい録音や演奏が途絶えたとしても、自分的には、アバドは、まだ生きています。
アバドの得意とした作曲家、メンデルスゾーンを聴きます。
メンデルスゾーン 交響曲第3番「スコットランド」
クラウディオ・アバド指揮 ロンドン交響楽団
(1967.2 @キングスウェイホール、ロンドン)
「イタリア」でもよかったけれど、いまの気分は、スコッチ。
アバドが、50年代後半、ウィーンでスワロフスキー教授に学んだあと、指揮者としてのキャリアをスタートさせ、63年に、ミトロプーロス指揮者コンクールに優勝し、注目を集め、バーンスタインに認められ、ニューヨークフィルを指揮。
その後は、65年に、今度はカラヤンに推され、ザルツブルクで、ウィーンフィルを振って、マーラーの復活。
順風満帆の若きクラウディオ。
レコーディングでも、66年にウィーンフィルを指揮して、デッカにベートーヴェンの7番でデビュー。同年、ロンドン響とプロコフィエフのロメオ抜粋を録音。
そして、翌67年に、このメンデルスゾーンと、ベルリンフィルとブラームスのセレナードをDGに。
アバド、33歳の録音。
この演奏、もう11年前に一度記事にしてます。
85年の全曲録音も、トータルに素晴らしいけれど、アバドの青春譜とひとことで片づけるには、まことに惜しい、後年の録音にはない瑞々しさと、煌めきにあふれた桂演。
メンデルスゾーンの音楽にある明るい歌心を、まったく嫌味なく、素直に感じて、そのまま音にしてしまった感があって、音楽は生まれたての駿馬のように、すくっと立ち上がって、緑の丘や野山を駆け抜けるような、そんな爽快さにあふれてる。
この時にしか成しえなかったであろう演奏かもしれない。
このレコードが国内発売されたのは、1971年で、もうクラヲタしてて、アバドのファンにもなっていた自分だけど、そこでは購入することなく、4番のFMのエアチェックで我慢していた。
2曲を、ちゃんとレコードで聴いたのは、その10年後ぐらいで、アバドは、シカゴ、ロンドン、ミラノ、ウィーンを股にかける大指揮者になっていた・・・・。
いま、相応の歳の大人となって、再びじっくりと聴くアバドのスコッチ。
第3楽章の憂いと、優美さが、相交わる歌の饗宴に、アバドのこの若き演奏の神髄を聴く思いだ。
ほんとに美しいので、いつまでも浸っていたい。
前にも挿入しましたが、国内初出のときのレコ芸の広告。
このころに戻ったらな・・・・・
もう一度、アバドの次から次に出る音盤と、目覚ましいキャリアアップぶり、そして行けなかったいくつもの来日コンサートを追いかけてみたい。。。。。
歳を経ると、むかしのことばっかり。
夢も昔のことを、ほんとよく見るようになったよ・・・・
一輪の赤いバラを、アバドの誕生の日に。
| 固定リンク
コメント