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2017年11月27日 (月)

フィリップ・ジョルダン指揮 ウィーン交響楽団演奏会 2017.11.26

Minatomirai

日曜の夜のみなとみらいは、風が強かったがゆえに、空気も澄んで見通しがよかったです。

そして、みなとみらいホールで、見通しもよく、すっきり・くっきりの快演を堪能したました。

Wiener_symphoniker

   ベートーヴェン  交響曲第5番

   マーラー      交響曲第1番

   J・シュトラウス  「トリッチ・トラッチ・ポルカ」

              ポルカ「雷鳴と電光」

     フィリップ・ジョルダン 指揮 ウィーン交響楽団

                (1976.11.26 @みなとみらいホール)


75年のジュリーニ、2006年のルイージに次ぐ、3度目のウィーン交響楽団の演奏会。

ウィーンのセカンドオーケストラみたいに思われてるけど、ウィーンフィルは、ウィーン国立歌劇場のコンサート用のオーケストラで、いまでこそメンバーはほぼ一定のようだが、かつては、連日続くオペラの影響も受けてメンバーも変わったりということもあり、ウィーンの正統シンフォニーオケはウィーン響で、オペラ主体で、伝統ある定期演奏会もやるのがウィーンフィルという感じだったのが70年代頃まででしょうか。

ワルターやカラヤン、ベームも始終指揮をしていたけれど、ウィーン響は、長く続く首席指揮者が意外といなかった。
長かったのは、カラヤンとサヴァリッシュで、その後はジュリーニ、ラインスドルフ、シュタインも一時、ロジェストヴェンスキー、プレートル、エッシェンバッハ、デ・ブルゴス、フェドセーエフ、ルイージと、目まぐるしく指揮者が変わっているし、独墺系の人が少ないのも特徴。

でも、そんなウィーン響が好きで、レコード時代のサヴァリッシュの印象がずっとあるから。

前置き長いですね。

だから、今後の指揮界をしょって立つひとりの、P・ジョルダンには、長くその任について欲しいと思うし、おそらく初来日のジョルダンをともかく聴きたかった。
 スイスのドイツ語圏、チューリヒの出身であり、根っからのオペラ指揮者だった、アルミン・ジョルダンを父に持つフィリップが、オペラの道から叩き上げて、いまやパリ・オペラ座に、やがてウィーン国立歌劇場の指揮者にもなり、さらにバイロイトでもおそらく中心的な指揮者になりつつあることは、サラブレットの血筋とともに、スイス人的なオールマイティぶりにもあるものと思われる。

パリ・オペラ管とのベートーヴェン全集は、映像ですでに残されていて、いくつか視聴したが、今回のウィーン響との演奏は、現在チクルスで取り組み中であり、オーケストラの違いもあって、よりジョルダンらしさが徹底されていた。
 日本来日、初音出しが、第5なのも劇的。
対抗配置で、ベーレンライター版。
心地よいほどの快速なテンポでぐいぐい進むが、せかされたり、味気なかったりという想いはまったくない。
繰り返しは省略され、1楽章と2楽章、2楽章と3楽章は、指揮棒を止めず、ほぼ連続して演奏された。
全体が一気に演奏されたわけだが、緻密なスコアがあのモティーフで全体がつながり、そして暗から明という流れも明確になり、曲の密度もぐっと増した感がある。
 大振りの若々しい指揮ながら、オーケストラを完全に掌握していて、巧みに抑制をかけたりして考え抜かれた演奏でもあった。
全曲、おそらく30分ぐらい。
息つく間もなく歓喜のエンディングで、いきなり、ブラボーも飛び交いました。

ジョルダン&ウィーン響は、ベートーヴェン全集を収録中で、ウィーン響のサイトから拝借してここに張り付けておきます。第5も少し聴けます。
 
休憩後は、マーラーの1番。
2006年のルイージとの来日でも、この曲聴きました。

当時の配置の記憶はもうないが、今回のジョルダンのマーラーは、ベートーヴェンに引き続き対抗配置。
そして、改訂版では、3楽章のコントラバスはパートのユニゾンとされ、ルイージもそのとおりに演奏し、初改訂版だったので驚いたが、今回のジョルダン指揮では、慣れ親しんだソロパートによる演奏。
このソロがまた、艶やかで美しかった!
 そして、ルイージが避けた、終楽章のホルンパートのスタンドアップ。
ジョルダンは伝統に準じ、晴れやかにホルン全員立ち上がりました。

こんなことでわかる演奏の特徴。
アバドも一部そうだけど、装飾を排し、音楽の本質にピュアに迫るルイージの姿勢。
マーラー演奏において流れてきた伝統や、オーケストラのこれまでの伝統のなかで、過度なアーティキュレーションを抑えつつ、マーラーの持つ音楽の豊かさ、歌心において、新鮮な解釈を聴かせてくれたのがジョルダンだと思う。
伝統と、父親の姿をも意識するジョルダンと、新しい音楽の風潮が、フィリップのなかで、見事に昇華されて、彼の音楽観が生まれているんだろう。
 そんななかで、普段見過ごしがちな第2楽章が極めて面白かった。
ジョルダンの刻む、弾むリズムに、オーケストラが生き生きと反応し、新鮮なレントラーだった。そこにはウィーンの響きも。
 そして当然に、一気に、でも冷静さももって突き進んだフィナーレ。
自然な盛り上げでもって、高らかなファンファーレでもって爆発的なエンディング。
 そう、ものすごいブラボーでした。。。
ひっこんだと思うと、あっというまに出てくる精力的なジョルダン。
オケ全員を、一斉に振り向かせてホール後ろの客席にもご挨拶。

そして、アンコールは、爆発的な2曲。
みなとみらいホールは、最高に熱くなりました!

2020年、ウィーン国立歌劇場の指揮者になると、当然にウィーンフィルとの関係も深くなるので、ニュー・イヤーコンサートにも登場することでしょう。
明るい雰囲気と、優れた音楽性とその背景にある音楽への愛情と確信。

P・ジョルダンとウィーン交響楽団に注目!

コンサートのあとは、野毛で一杯。

神奈川フィルもお休み続きで心苦しい。
なんときゃ行かなくちゃ。
そして、ベイファンのお店でした。

Wiener_symphoniker_2

ジョルダン過去記事


 「ニーベルングの指環 オーケストラハイライト パリ」

 「バイロイト音楽祭 ニュルンベルクのマイスタージンガー」

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コメント

yokochan様

こんにちは。ウィーン交響楽団の歴史やクラシック音楽(ウィーン・フィルや指揮者)など、ご丁寧に紐解いて下さり、ありがとうございます。なかなか予習が捗らないところ、素敵な教材を頂き感謝しています。数十ものBlogやTwitterやFacebookを見ましたが、「繰り返しは省略」については初めて知りました。

瞬く間に広がるTwitterを眺めていますと、どうやら初来日はPMF公演。今から10年前の2007年とのことですので、当時32歳でしょうか。又、全楽章アタッカへの想いや裏付けとなる説明と共に語られたのかどうか、業界関係者との打ち上げにて「音楽的な必然性がある」と力説なさったそうです。

今日まで「力説」に隠されたものは何か分からずにいましたが、《緻密なスコアがあのモティーフで全体がつながり、そして暗から明という流れも明確になり、曲の密度もぐっと増した感がある》との御感想を拝読し謎が解けたようで嬉しくなりました。

指揮者と言えば、インタビュアーに対し「何故そう思うか」まで、ご丁寧に補足する几帳面なマエストロもいらっしゃいます。昨日、朝日の夕刊にてサイモン・ラトル氏はベルリン・フィル(響き)についてChâteauneuf-du-Papeに例えたそうですが、私はベルリン・フィルそのものよりラトル氏の御人柄に感じ入りました。力強い個性を表現する13種のブドウ品種、そしてインターナショナルさを表現したかったのだと思います。

色々なBlogやTwitterやFacebookを読みましたが、一番yokochan様の御感想が心に響きました。私はサントリーホールにて、初フィリップ公演を鑑賞致します。ありがとうございました。

投稿: michelangelo | 2017年11月28日 (火) 15時50分

ほー、ジョルダン
横浜銀行にいくとチラシあるんでね よく見るが
みなとみらいでやるコンサートのチラシ
プロムシュテット・ゲバントハウスのグレートのチラシと
ジョルダン・ウィーン響・ウンメー のチラシは勃起ビルに囲まれたボロ事務所にございます
ジョルダンはアルミン・ジョルダンの息子でありましょうか
しかし、あすこのみなとみらいは外国やんねぇ
チャリコで時たましかたなく行くが、道が石畳なっておって、ガタピシしやがる 
最近は山手の丘から磯子の川に降りるコースがチャリコ気分爽快であるが、眺めるみなとみらい勃起ビルはなんとも異様でありまする
 

投稿: 真坊 | 2017年11月28日 (火) 22時04分

michelangelo さん、こんにちは。
遅くなってしまいましたが、ブログ記事をお読みいただいたうえ、コメントまで、どうもありがとうございました。
これからのご鑑賞ですね。
お粗末な幣ブログはお忘れになって、じっくりとお楽しみいただけましたら幸いです。

ジョルダンの豊かな音楽性は、音源で感じた以上に、ライブで映えるようにも思いました。
ラトルの緻密に考え抜かれた指揮も素晴らしいですね。
ロンドン響での方が、よりラトルらしい強靭さが出るかもしれません。

ジョルダン鑑賞記、貴ブログも楽しみにしております。
またよろしくお願いいたします。

投稿: yokochan | 2017年11月30日 (木) 21時02分

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