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2018年1月 1日 (月)

ワーグナー 「ニーベルングの指環」 ティーレマン

New_year

2018年が始まりました。

本年もよろしくお願いいたします。

ゆっくりのペースで、今年も「さまよえるクラヲタ人」を書き連ねてまいりたいと存じます。

新年、のっけから、超大曲を。

これまでにないことをしてやろうと思いまして。
まだ全部聴いてなかったこのBOX。

で、なにも、正月早々にこれを聴いたわけでなく、年末の夜間に、日々、少しづづ聴き進め、大晦日に大団円を迎えた聴き方をしたものです。

かつての昔の、レコード時代の豪華な装丁と重量感がウソのような紙製のBOXに、少し陳腐なジャケット画像。リブレットは文字だけで、舞台写真のひとつもありゃしない。

でも、この音盤に収録された演奏は、はなはだ、重厚で壮麗なものでございます。

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   ワーグナー 舞台祝祭劇「ニーベルングの指環」

      クリスティアン・ティーレマン指揮 バイロイト祝祭管弦楽団
                        バイロイト祝祭合唱団
            合唱指揮:エバーハルト・フリードリヒ
            演出 :タンクレート・ドロスト

                 (2008年 バイロイト音楽祭)



Rheingold_2008

ワーグナー 楽劇「ラインの黄金」

 ウォータン:アルベルト・ドーメン   ドンナー:ラルフ・ルーカス
 フロー :クレメンス・ビーバー    ローゲ:アルノルト・ベズィエン
 フリッカ:ミッケーレ・ブリート     フライア:エデット・ハラー
 エルダ :クリスタ・マイヤー      ファゾルト:クワンチュル・ユン
 ファフナー:ハンス・ペーター・ケーニヒ アルベリヒ:アンドリュー・ショア
 ミーメ :ゲルハルト・シーゲル    ウォークリンデ:フィオヌーラ・マッカーシー
 ウェルグンデ:ウルリケ・ヘルツェ フロースヒルデ:シモーネ・シュレーダー

Walkure_2008

ワーグナー   楽劇「ワルキューレ

 ジークムント:エンドリヒ・ヴォトリヒ   
 ジークリンデ:エヴァ・マリア・ウェストブロック
 フンディンク:クワンチュル・ユン     ウォータン:アルベルト・ドーメン
 フリッカ:ミッケーレ・ブリート       ブリュンヒルデ:リンダ・ワトソン
 ゲルヒルデ:ソーニャ・ミューレック    オルトリンデ:アンナ・ゲーバー
 ワルトラウテ:マッティーナ・ディーケ 
  シュヴェルトライテ:シモーネ・シュレーダー

 ヘルムヴィーゲ:エデット・ハラー
  ジークルーネ:ヴィルケ・テ・ブルメルシュトーレ

 グリムゲルデ:アンネッテ・キューテンバウム  ロスワイセ:マヌエラ・ブレス

Sigfried_2008

ワーグナー  「ジークフリート」

   ジークフリート:ステファン・グールド    ミーメ:ゲルハルト・シーゲル
   さすらい人:アルベルト・ドーメン      アルベリヒ:アンドリュー・ショワァ
   ファフナー:ハンス・ペーター・ケーニヒ  エルダ:クリスタ・マイヤー
   ブリュンヒルデ:リンダ・ワトソン      森の小鳥:ロビン・ヨハンソン

Gottergemarung_2008


ワーグナー  「神々の黄昏」

 ジークフリート:ステファン・グールド  ブリュンヒルデ:リンダ・ワトソン
 グンター:ラルフ・ルーカス         ハーゲン:ハンス・ペーター・ケーニヒ
 アルベリヒ:アンドリュー・ショアー    グルトルーネ:エデット・ハラー       
 ワルトラウテ:クリスタ・マイヤー     第1のノルン:シモーネ・シュレーダー      
 第2のノルン:マルティナ・ディケ     第3のノルン:エデット・ハラー   
 ウォークリンデ:フィオヌーラ・マッカーシ ウエルグンデ:ウルリケ・ヘルツェ       
 フロースヒルデ:シモーネ・シュレーダー

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2006年から2010年までの5年間の「リング」は、ティーレマンとドルスト演出による上演。

少し、戦後のバイロイトのリングを振り返ってみよう。

 1951~1958   ヴィーラント・ワーグナー クナッパーツブッシュ
                              カラヤン
                              カイルベルト
                              クラウス

 1960~1964   ヴォルフガンク・ワーグナー ケンペ
                             クロブチャール

 1965~1969   ヴィーラント・ワーグナー   ベーム
                             スウィトナー
                             マゼール

 1970~1975   ヴォルフガンク・ワーグナー  シュタイン

 1976~1980   パトリス・シェロー        ブーレーズ

 1983~1986   ピーター・ホール         ショルティ
                              シュナイダー

 1988~1992   ハリー・クプファー        バレンボイム

 1994~1998   アルフレート・キルヒナー    レヴァイン

 2000~2004   ユルゲン・フリム         シノーポリ
                              A・フィッシャー

 2006~2010   タンクレート・ドロスト      ティーレマン

 2013~2017   フランク・カストロフ       ペトレンコ
                               ヤノフスキ

66年間にわたる、バイロイトのリングの系譜をこうして一望してみると感慨深い。

演出上のメルクマール的な存在は、51年の新バイロイト様式のスタートだったヴィーラントのものと、さらにそれを色彩的にも進化させた65年のもの。
 そして、76年のシェロー演出。血族以外の演出家が、バイロイトに革新をもたらし、実験劇場たる存在をならしめた。
 あとは、さらに社会性を付加し、演出に人類の問題さえも語らせた88年のクプファー。
それ以降は、完全に観たわけではないが、バイロイトのリングは、世界のなかの劇場のひとつみたいな存在のそれに、なってしまったような気がする。

音楽面でいえば、クナッパーツブッシュとカラヤンで始まって、そのどのサイクルも、その指揮者の力量と成長を垣間見ることのできる素晴らしいものといえると思う。
しいてあげると、雄大な叙事詩をえがいたクナッパーツブッシュ。
凝縮した熱いドラマを聴かせるベーム、鋭い目線でライトモティーフをクリアに聴かせたブーレーズ、巨大な造りで、ぐいぐい引っ張る一方で、とても繊細な場面も作り出すティーレマン。
あとは、ペトレンコで、5年を全うしていたら、さらに完成度が上がったであろうと思わせるが、とても新鮮な切り口を見せてくれた。
シノーポリも同じく、ミレニアムの年の1年で急逝してしまったものだから、その後の熟成を知ることができなかった。でも、あとを継いだフィッシャーが何気に素晴らしい。
同じく、投げ出したショルティのあとのシュナイダーもよかった。
さらにシュタインの安定感とベームを思わせる熱さも懐かしい。

音楽の方は、音源がかなり復刻していて、バイエルン放送局の質の高い録音に感謝しなくてはなるまい。

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Rheingold1

このサイクルの演出は、演劇・映画系の出身のドロスト。
FM放送時の解説も聞いてるはずだが覚えてない。
海外紙の評論を遡って見てみたが、あまりない。
わずかにみつけたものを読んでみたら、「SF」とか、「スターウォーズ」とかの言葉が見受けられた。
Ring1dwkulturbayreuthjpg_2

そんな認識のもと、舞台画像をあれこれ検索してみたら、なるほどのもので、ただし神々は ホワイト軍団で、正しき正統派。
アルベリヒたち、ニーベルング族は、異星人で、ダークサイド。
巨人さんも、同じく、正統派への対抗勢力。
ジークムントとジークリンデ、フンディングたち、ギービヒ家は、人間界。
ラインの娘、ノルンたちは、異界。
で、何故か、ジークフリートは、毛深い荒人。
なんだかよくわからんが、属腫を見た目でも際立たせようとしたのだろうか。
神と異界と人間界。
いずれにしよ、あまりファンタジーを感じない、そしてワーグナーの音楽と結びつくとも思えない感じだけど・・・・

舞台は想像の域を脱しないが、音楽面は、非のうちどころのない完璧さ。
全4部作を通して聴くと、ティーレマンのワーグナーの音楽に対するぶれのない取組みかたがよくわかる。
ライトモティーフは、そのモティーフの意味や存在が本来持ってる意味合いのまま、ちゃんとしっかり鳴る。いろんなところに絡み合って出てくるそれらのモティーフも、ちゃんと意味を持ちながら聴こえ、なおざりに鳴らされているようには聴こえない。
 凡庸な演奏だと、ただ単に主要なモティーフだけを、それこそ気持ちよくなぞっただけで、通り過ぎてしまうけれど、ティーレマンは、そうした表面的なワーグナーの音楽の快楽から遠いところにいる。
 ティーレマンが登場したころは、その音楽への取り組み方が執拗であったりして、無暗にパウゼを入れて見たり、タメが大時代めいていたりで、効果取りに聴こえてしまうことが多かったが、バイロイトで指揮をするようになり、そのスケールの大きな音楽造りは、より自然になってきて、先に述べたように、ワーグナーのドラマを音で、しっかりと語るようになったと思う。
 そういう意味で、舞台上でどんな演出が行われていても、音楽はワーグナーの本質をしっかりと表出しているから安心なのだ。
 4つの楽劇が、それぞれの特質のあるがままに、聴かれることのうれしさ。
とりわけ、ワーグナーの作曲技法がより高度に達した「神々の黄昏」は、長大な物語を、全4部作の終結として、ひとつひとつ紐解いてゆく面白さと充実感にあふれてる。
 さらに、このティーレマン・リングは、普段、退屈しがちな地味な対話の場面も、息を抜かせることなく聴かせてくれる。
「ワルキューレ」のヴォータン夫妻の会話、(わたしは大好きな場面の)ヴォータンの独白。
「ジークフリート」のミーメとヴォータン、エルダとヴォータン、「神々の黄昏」の3人のノルン。そんな場面たち。

5年間のティーレマン・リング、一部欠落もあるが、エアチェックしたもので、毎年聴いたけれど、スタート時のものより、こちらの2008年がよりよくて、さらに最終の2010年は歌手の按配も含めて、もっと充実していた。

ほの暗い声を活かし、悩めるヴォータンとなったドーメン。
いまでも現役ばりばり、同じみの明快かつ力強いグールドのジークフリート。
シーゲルの芸達者なミーメと、ベヅィイエンの狡猾そうなローゲ、美声のケーニヒのハーゲン。
あと感慨深く聴いたのが、ヴォトリヒのジークムント。以前より、喉の奥の詰まったような声で窮屈な思いを抱くことが多かったが、今回、良い録音のせいか、その暗めの声質が、とても悲劇臭を醸し出していて何とも味わい深く聴いたものだ。
そのヴォトリヒも2017年、急逝してしまった。新国で何度か聴いたのも思い出のひとつ。

好調な男声陣にくらべ、女声陣はやや弱いか。
リンダ・ワトソンは力演だけれど、馬力に頼り過ぎた感じ。
ウェストブロックは、ビジュアルはいいが、ちょっと大味。
でも、クリスタ・マイヤーのヴァルトラウテがとてもよかった。

以上、ともかく、ティーレマンの指揮につきる、2008年リング・ライブでした。
もう10年前。
ことし、リングはお休みで、次は4人の女性演出家による共作になるとか。

元旦に、黄昏の3幕後半を聴き直し。

今年も、元気で、ワーグナーを中心に、大好きな音楽が聴けますように。

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コメント

よこちゃん様、明けましておめでとうございます
いつも記事の内容にそぐわないコメントばかり申し訳なく思っております
ワグネリアンであるよこちゃん様に何かを語るなんておこがましいのですが『楽劇』とは誰が付けたのか言い得て妙だと感心しきり…。
マイスタージンガーにしろワルキューレにしろよく知られた一部分しか聞いていない不届き者であります。
今年もバイロイトの中継をBSでやってくれると思うので楽しみたいと思っております。 2018年も幅広いジャンルを網羅した貴殿の記事、大いに期待しております。本年も宜しくお願い致します
1/16にラミレス監督のトークショーまた行って来ま~す。
ベイスターズ、去年以上にガンバれbaseball

投稿: ONE ON ONE | 2018年1月 1日 (月) 17時15分

ONE ON ONEさん、あけましておめでとうございます。
あっという間の正月でしたが、穏やかにお過ごしでしたでしょうか。
駅伝に狂気乱舞で、ここ数年の正月は終わってしまいます。
あとは、DNA、今年こそ優勝で完璧です。

本年も、硬軟取り混ぜ、ゆっくり更新したいと思いますので、よろしくお願いします。

投稿: yokochan | 2018年1月 3日 (水) 21時42分

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