バッハ ゴールドベルク変奏曲 フレデリック・ハース
ひとひらの桜の花びら🌸
咲いた桜も美しいが、散る桜も儚くも美しい。
急襲した暖かさは、例年になく早く桜や、春の花々を開花させ、あっという間に散らしてしまった。
四季のメリハリがますます遠のく日本に、どこか不安を覚える。
3~4月は、公私ともに忙しくて、まともに音楽を聴けず、季節の移ろいの速さもそれに加えて、焦燥感を抱いている。
いまもそれは継続中だが、早くに目が覚め、夜寝れない方への音楽を、早朝の目覚めに聴いてみた。
そして、やたらと清新な気分になった。
バッハ ゴールドベルク変奏曲 BWV988
チェンバロ:フレデリック・ハース
(2010.10 @アセス、ベルギー)
ハースは、1968年生まれのベルギーのハープシコード奏者。
12歳のときからハープシコードを弾き始め、名教授につき、その奏法や楽器の研究に携わり、現在はブリュッセルの王立音楽院の教授も務めているイケメンさん。
ヘレヴェッヘとも関係が深いとのことで、その録音の通奏低音などで参加しているかもしれない。
繰り返しを忠実に行い、全曲は77分。
しかし、この長さ、まったく長いと感じさせない。
学究肌の経歴ながら、そんなことを微塵も感じさせない瑞々しさにあふれたバッハ。
そして、それぞれの変奏にあふれる豊かなニュアンス。
安心して、ずーーっと聴いていられる。
過度に表現しすぎない、でも、しっかりとバッハの音楽の精髄を聴かせてくれるハースのゴールドベルクでした。
25番目の変奏曲がとりわけ深く、瞑想的に聴くことができました。
この演奏のあと、手持ちの音源をつまみ聴きしてみましたが、自由すぎるグールドをはじめ、ハープシコード版、ピアノ版、いずれもみんな全然違って聴こえるところが面白かった。
ハープシコードは、楽器による音色の違いもあるからなおさらに。
かようにして、バッハの音楽には、ともかくいろんな可能性と閃きがあふれているのだと、いまさらながに痛感した次第。
このハースさんの録音で使用されたチェンバロは、1751年のアンリ・エムシュ作のもの。
で、まさにこの古楽器を奏して録音した場所が、ベルギーのアセスにある城。
こんな画像を見ながら聴いたハースさんのゴールドベルク。
眠れぬ朝の夢想なり。
| 固定リンク
コメント